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人々から恐れられていた怪物、或いは忘れ去られた哀れな人間

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人々から恐れられていた怪物、或いは忘れ去られた哀れな人間

1 - 人々から恐れられていた怪物、或いは忘れ去られた哀れな人間

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2021年05月08日

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人々が行き交う大通り

そのなかで、路傍の石のように

通りの端に、佇む者がいる

  

はぁ…

その者は、どこぞの民族衣装のような 場に浮く派手な格好をしており

時折、道行く人に視線をやってはため息をつく

それを何度も何度も何度も

何かを諦めたいようで、諦めきれない姿があった

  

昔は僕だって…

言葉は吐息と共に、空気に染み込んでいく

その、ある種の未練がましい思いを聞く人はおらず

相も変わらず、その者はため息をついた

僕は昔、一世を風靡した怪異だった

夜になると、僕の話をする人がいつもいた

僕の存在を思いだし、震えがる人がいた

僕の話を聞いて、子供は皆泣いていた

それが、僕を満たしてくれた

僕という怪異が人々の記憶に残り続ける

それがどれほどの偉業であり幸せか

かの口裂け女や、きさらぎ駅

有名な都市伝説の仲間入りを果たすのも目前だった

そう、目前だった

ふんふんふ~ん

僕が生まれたのは、ある掲示板だった

そこから、僕は日本国内に急速に広まった

【神隠しを起こす怪物】

それが僕の、怪異としての根源

神隠しという、現象の具現化

こんな奴がいたらやべぇよな~

呑気に言っているこの男こそが、僕を作った人間

そして、僕を殺した人間

神隠しというどうしようもない現象

それを起こす怪物となったら、それは興味が惹かれるものだろう

だが、しばらく経つと人は飽きるものだ

なんか面白い要素入れられないかな~?

『面白さ』を求められた時点で、僕はもう死んでいたも同然だった

そして、僕という存在は塗り替えられた

【神隠しの儀式を行う怪物】

【神隠しを防ぐ怪物】

【神に負け、現世に留まった怨霊】

【人知₡ず居な₡なる放浪者】

【時代■遡る男性】

【人々と一$に生活₪る生命体】

【ただそ₣に佇฿存¢₱

そして…

【神▶₭►よっ◉忘▪去▦€た>間】

だんだんと、輪郭はぼやけ、朧気なものを押し詰められ

僕は■■から人間になった

僕は、僕は、僕は、

僕の名前は───

-.)$+;‘₣₱„◈₮₹

ああ、もう──

消えてい

有栖

ねぇ、ミキあれ見て

未紀

ん~?

有栖

あそこ、端に…

未紀

うわ…悪趣味だねぇ

有栖

人の形をした…灰?

未紀

気味悪い…有栖早く行こ

有栖

あ、うん

二人が離れると、その灰は

忘れられた成れの果ては、風に飛ばされていった

昔ある掲示板には、こう書かれていた

【人々が恐れ、忘れた、過去の栄光に縋る怪物】

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