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人々が行き交う大通り
そのなかで、路傍の石のように
通りの端に、佇む者がいる
その者は、どこぞの民族衣装のような 場に浮く派手な格好をしており
時折、道行く人に視線をやってはため息をつく
それを何度も何度も何度も
何かを諦めたいようで、諦めきれない姿があった
言葉は吐息と共に、空気に染み込んでいく
その、ある種の未練がましい思いを聞く人はおらず
相も変わらず、その者はため息をついた
僕は昔、一世を風靡した怪異だった
夜になると、僕の話をする人がいつもいた
僕の存在を思いだし、震えがる人がいた
僕の話を聞いて、子供は皆泣いていた
それが、僕を満たしてくれた
僕という怪異が人々の記憶に残り続ける
それがどれほどの偉業であり幸せか
かの口裂け女や、きさらぎ駅
有名な都市伝説の仲間入りを果たすのも目前だった
そう、目前だった
男
僕が生まれたのは、ある掲示板だった
そこから、僕は日本国内に急速に広まった
【神隠しを起こす怪物】
それが僕の、怪異としての根源
神隠しという、現象の具現化
男
呑気に言っているこの男こそが、僕を作った人間
そして、僕を殺した人間
神隠しというどうしようもない現象
それを起こす怪物となったら、それは興味が惹かれるものだろう
だが、しばらく経つと人は飽きるものだ
男
『面白さ』を求められた時点で、僕はもう死んでいたも同然だった
そして、僕という存在は塗り替えられた
【神隠しの儀式を行う怪物】
【神隠しを防ぐ怪物】
【神に負け、現世に留まった怨霊】
【人知₡ず居な₡なる放浪者】
【時代■遡る男性】
【人々と一$に生活₪る生命体】
【ただそ₣に佇฿存¢₱
そして…
【神▶₭►よっ◉忘▪去▦€た>間】
だんだんと、輪郭はぼやけ、朧気なものを押し詰められ
僕は■■から人間になった
僕は、僕は、僕は、
僕の名前は───
-.)$+;‘₣₱„◈₮₹
ああ、もう──
消えてい
有栖
未紀
有栖
未紀
有栖
未紀
有栖
二人が離れると、その灰は
忘れられた成れの果ては、風に飛ばされていった
昔ある掲示板には、こう書かれていた
【人々が恐れ、忘れた、過去の栄光に縋る怪物】