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貴方の夫は殺人犯です。
離婚してください。
さもなくば
貴方を殺します。
美穂子
やだっ…！！
バサッ
美穂子
だ、誰がこんなイタズラ…
美穂子
なんて悪趣味なの
美穂子
（こんな手紙）
美穂子
（今すぐに捨てたいけど）
美穂子
（捨てたら警察に行くのにも証拠がなくなる）
美穂子
理人さんに相談しなきゃ…
夕方
理人
ただいま
美穂子
あ、理人さんっ！
美穂子
おかえりなさい
理人
電話に出られなくてごめん
理人
会議が入っててさ
理人
何かあったの？
美穂子
…これ、見て
美穂子は、ポストに入っていた手紙を理人に見せる。
理人
…なんだよこれ
理人
酷いイタズラだな
美穂子
イタズラだと思っても怖くて…
美穂子
一応警察に相談しようと思うの
理人
…警察？
美穂子
（え、何その反応…？）
美穂子
（なんでそんなに怖い顔をしてるの？）
美穂子
理人さん…？
理人
必要ないよ
美穂子
え？
理人
警察になんて相談する必要ない
理人
ただのイタズラなんだから
理人
俺が殺人犯だとか、美穂子を殺すとか
理人
ありえないし、出来っこないだろ？
グシャ
理人は手紙を握り潰した。
美穂子
あっ
美穂子
（手紙が…）
美穂子
そんなこと言ったって
美穂子
これからエスカレートするかもしれないのに
理人
何かあったら俺に相談して
理人
俺が美穂子を守るから
美穂子
っ
理人
美穂子？
美穂子
う、うん
美穂子
（何なの、この違和感）
貴方の夫は殺人犯です。
美穂子
（そんなわけ、ないのに…）
理人
ほら、今日は大切な話をするんだから
理人
そんな嫌がらせことなんて忘れてご飯にしよう
美穂子
…そうだね
美穂子
（いつもの優しい理人さんとは）
美穂子
（別人に見える）
翌朝
美穂子
…いってらっしゃい
理人
美穂子
理人
何かあったらすぐに電話して
理人
すぐに帰ってくるから
美穂子
分かった
美穂子
ありがとう…
美穂子
（きっとただのイタズラ）
美穂子
（もう何もないはず）
理人
いってきます
ガチャ
理人
なっ…！
理人
なんだよこれっ…
美穂子
きゃあぁっ！！
カァ、カァ、カァッ！！
バサバサッ！！
玄関の前には大量のゴミが撒かれ、カラスが集まっていた。
理人
だ、誰がゴミなんて撒いたんだよ…
美穂子
うそ、やだっ
理人
美穂子、どうしたの
美穂子
…これ、昨日うちが出したゴミよ
ゴミの中を見ると、見覚えのある物ばかりだった。
中には、生理用のナプキンまである。
美穂子
…酷い
美穂子
あんまりよ！！
理人
とにかく、早くここを掃除しよう
理人
俺、会社に遅刻するって連絡してくるから
ガチャ
理人はスマホを耳に当て、家の中に入った。
美穂子
は、早く片付けないと
美穂子
またカラスが来ちゃう…
美穂子
ゴミ袋、取ってこなきゃ
美穂子
…あ
美穂子は、ポストに視線を向ける。
美穂子
（今日、まだ）
美穂子
（確認してない）
美穂子
（…まさか）
美穂子は、恐る恐るポストを開く。
──カチャン
美穂子
ひっ
そこには、昨日と同じ白い封筒があった。
美穂子
何で、また？
美穂子
（きっと昨日と同じことが書いてある）
美穂子
（理人さんが殺人犯なんてこと）
美穂子
（あるわけないのに）
美穂子
（1人で見るより理人さんと一緒に見た方が）
美穂子
（絶対にいいはずなのに）
美穂子
（今すぐに確認しなきゃいけない気がする…）
美穂子
ゴミ袋を取りに行きながら…見よう
ガチャ
カサッ
美穂子は震える手で、封筒の中身を取り出す。
美穂子
何これ
美穂子
…古い雑誌の切り抜き？
未成年公民館無差別殺人事件の真実！！
ひた隠しにされている殺人鬼、少年Aの名前を、独占スクープ。
美穂子
っ
美穂子の心臓が早鐘を打つ。
平成を震撼させた、あの事件を巻き起こした少年Aの名は
当時中学3年生だった
高根理人
美穂子
いやあぁっ！！！
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