蒼
〜♪〜〜♫
紅
(あ、またあの子歌ってる。)
蒼
〜♫
紅
(いつもここで歌ってるな。何年間歌ってるんだ?……3年、くらいか。そんだけ歌えば有名にもなるわな。)
あの子の歌は、声は、とても綺麗で、透き通っていてでもどこまでも響いてて、でも。
どこか、悲しい。
紅
ねぇ。
蒼
っ?
紅
君さ、ずっとここで歌ってない?
蒼
あ、はい。
蒼
なんで知ってるんですか?
紅
いや。何年間もここで歌ってたからこの辺りじゃ結構有名なんだよ。
蒼
そうなんですか。
紅
うん。ねぇ。聞いてもいい?
蒼
はい?
紅
どうして何年も歌うの?
蒼
届けたい人がいるんです。
紅
え?
蒼
その人とは夕方いつもここであっていて、
蒼
でもなぜか急に一緒にいられないと言われてしまったんですが、君の声と歌とこの夕陽を道しるべにしてまた会いに来るから待っていて。と、言われたんです。
紅
…
蒼
私、意味がわからなかったけど、とにかく夕方ここで歌ってたらあの人が迎えに来るのではと思って。それで歌ってるんです。
紅
…ボソ、蒼(そう)。
蒼
?何か言いましたか?
紅
つ!いや!何も言ってないよ…!
蒼
そうですか。
蒼
あの人に会いたい。
紅
…







