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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

神楽 凜々愛

……………

影城 不死夜

…あの、凜々愛さん……

神楽 凜々愛

……………

影城 不死夜

いい加減わかってください

神楽 凜々愛

…………嫌だ

影城 不死夜

これはどう足掻いても避けられないんです

神楽 凜々愛

………………ボク……嫌…だ

影城 不死夜

…………このままで良いのですか?

神楽 凜々愛

………嫌だ

影城 不死夜

凜々愛さん、アンタの傷は割と深いんです。受け入れて下さい。

神楽 凜々愛

……嫌だ!絆創膏で、治る!

影城 不死夜

さすがに無理があります!

桃音「凜々愛麻酔の注射すんのにいつまで駄々こねてんねん!!」

ここは(廃)漆門地下闇病院。

百峰 桃音

凜々愛〜、一瞬だけなんやからさぁ。ね?頑張ろうや〜?

神楽 凜々愛

……〜っ!

凜々愛は断固拒否か、勢いよく首を振った。そんなに嫌なのか。

影城 不死夜

そんな荒治療で放っておく訳にはいけないんですよ…

ここで前回までを見てない人、 忘れた人のために復習しよう!

凜々愛は任務中に敵に右肩をザックリの切りつけられた。そして応急処置のために桃音のライターの火を(勝手に)使って自分の日本刀の刃を炙り傷口に当てて止血した。いわゆる麻酔無しの荒治療だ。

狼石 悟郎

凜々愛殿は幼い頃から注射が苦手でのう

桜木 壱茶

えぇ可愛っ

悟郎の治療が終わり、凜々愛が注射に駄々をこね初めて10分以上経った。子供かよ…弾丸や刃物の方がダントツに痛いのに、なんで注射は無理なんだが…

影城 不死夜

あの…凜々愛さん?

百峰 桃音

凜々愛ぁ、頼むて〜

神楽 凜々愛

……っ!わかった!やる…!

ついに決心がついたのか強気で言った。

神楽 凜々愛

……桃音、手ぇ、握ってて

涙目で桃音に手を差し出す。

百峰 桃音

アンタ何歳やねん…

神楽 凜々愛

……24歳

百峰 桃音

ウチより1個下やな

そう言いながら桃音は凜々愛の手を握った。しかも握る力やたら強い…

影城 不死夜

力抜いて下さいね

プスッ💉

神楽 凜々愛

……っ!!

そう言いながら不死夜は凜々愛の腕に麻酔の注射をさした。

百峰 桃音

ほーら、大丈夫大丈夫

桃音は凜々愛を慰めるように言った。手はまだ握ったままだ。恐らく治療が終わるまでずっとこの状態にするつもりだろう。手を離す気配が全く無い。

神楽 凜々愛

…………

麻酔を刺した後、凜々愛は遠くを見つめているようで全く不死夜による縫合を見たりなどはしない。ていうか、いつもの物静かな凜々愛に戻ってる。

百峰 桃音

急に静かやな!?
あんなに駄々こねてたのに!?

影城 不死夜

はい、終わりましたよ

しばらくして、凜々愛の治療が終わった。

神楽 凜々愛

……ありが…

影城 不死夜

!!

凜々愛が礼を言い切れる前に、不死夜は突然何かの気配を察知した。

パシッ

ヒュッ!

グサッ!

百峰 桃音

えぇ!!?

咄嗟に机に置いてた医療用のメスを何本かを取り、天井に向かって投げた。天井に刺さった医療用のメスは人型を描いているように見えた。

「うわあ!!?」

狼石 悟郎

!何奴!?

桜木 壱茶

いや待てぇ

壱茶が武器を構える悟郎の肩に手を当てて止めた。医療用のメスが刺さった天井から聞き覚えのある声がした。

パカッ

天井の一部が開いた。

琉芭 大輝

何すんだよ不死夜!!

そこから大輝が顔を覗かせた。 いやなんでいるんだよ。

神楽 凜々愛

……!大輝!?

百峰 桃音

何してんの!?

琉芭 大輝

!桃音…凜々愛たちも居たのか

琉芭 大輝

いや、それより殺す気か不死夜!
当たったらどうすんだよ!

大輝はその場で不死夜に反発した。

影城 不死夜

使い慣れたメスは絶対に外しませんのでご安心を。それに万が一当たっても僕が手当てしますから

琉芭 大輝

まず医療用のメス投げんなよ!人の命救う物で人殺そうとすんじゃねぇ!

百峰 桃音

それは全くの同感やけど、大輝とりあえず降りたら?

桜木 壱茶

んなとこから話されてもなぁ。忍者かよお前さん

大輝は天井から降りた。

影城 不死夜

やっぱりアンタでしたか。ヒトの天井の中を通るのやめてください。

琉芭 大輝

仕方ねぇだろ。危うく捕まりそうになったんだからよ

狼石 悟郎

お主、任務帰りか?

百峰 桃音

またアレか?敵組織に忍び込んで直接情報抜き取るやつ

琉芭 大輝

それだ

琉芭 大輝

でも情報抜き取った後に敵に見つかってな、撒いたところで通気路に入ったら地上に出れなくなったんだ

桜木 壱茶

情報部も大変だなぁ

神楽 凜々愛

……情報部って、殺傷は許可されてるの?

百峰 桃音

一応どの部も必要に応じてならOKやで

代わりに桃音が答えた。

琉芭 大輝

まぁそもそも暗殺部以外は殆ど武器とか使わねぇしな。

琉芭 大輝

そうだ。そういや桃音達はまだ本部に戻ってねぇのか?

百峰 桃音

いや?まだ戻ってへんで

琉芭 大輝

そうか…じゃあ知らねぇかな

琉芭 大輝

”IBUKI”本部に「武器管理部」が再開するってよ

それを聞いた途端、ここにいる皆の気持ちが昂った。

百峰 桃音

マジ!?

狼石 悟郎

何!?

神楽 凜々愛

……!!

桜木 壱茶

っしゃあ!!

影城 不死夜

そう、この中で唯一”IBUKI”に所属していない不死夜以外は……

影城 不死夜

…再開?逆に”IBUKI”に武器商人とか居なかったんですか?

百峰 桃音

それが居らんかってん!

神楽 凜々愛

……今までは、各々で手入れしてた

琉芭 大輝

情報部の同僚に聞いたんだが元々あったが、とある時期に全滅して今までは居なかったとか

影城 不死夜

全滅…?なぜ武器職人達が?

百峰 桃音

それが誰も知らんねん。確か店長がまだ暗殺部に居た時に何故か全滅してん

桜木 壱茶

?ちょっと待てぇ、店長が元暗殺部だぁ?あの怪しげな気配のおっちゃんがぁ?

百峰 桃音

あれ?知らんかったん?

狼石 悟郎

我もじゃ…

百峰 桃音

あの人元々暗殺部でめちゃくちゃ強かってんて。んで、そっから昇格して店長になったとか何とか…

百峰 桃音

…噂によるとな、”死神”を追い込んだとか。てかあとちょっとの所で殺し損ねたとか……

それを口にするとざわついた。

琉芭 大輝

おい!”死神”ってあの…!?

桜木 壱茶

誰だぁそれ?

百峰 桃音

壱茶知らんの!?

桜木 壱茶

知らねぇ

壱茶の無知さに、多分こいつ裏社会生まれじゃないなとここにいる皆が思った。

百峰 桃音

何年か前に暗黒街に潜む犯罪者達を痕跡を一切残さず始末した伝説の最強の殺し屋や

百峰 桃音

そのせいで暗黒街の人口が半減したとか

狼石 悟郎

半減!?

桜木 壱茶

逆に暗黒街にそんなに犯罪者居たのかよぉ!?

琉芭 大輝

ちょっと待て、じゃあその時に急に現れなくなったハッカー達は…まさか…?

大輝の顔が青くなった。

神楽 凜々愛

……多分、殺されたと思う

神楽 凜々愛

……マフィア以外にも、殺し屋や情報屋も、始末する。たぶん、武器職人も…

百峰 桃音

手ぇ染めた奴は片っ端から消される…みたいなもんやわ

琉芭 大輝

マジかよ…じゃあ俺の首も危ねぇじゃん

大輝は自分の首を押さえながら言った。

百峰 桃音

遭遇した人は皆殺されるから誰も見てへん。ただ都市伝説として存在するねん。

神楽 凜々愛

……で、でも店長は…

桃音は黙って頷いた。

百峰 桃音

店長が唯一生き延びたってことやわ

神楽 凜々愛

……嘘っ!

百峰 桃音

仮面の下には”死神”にやられた傷がある…っていう疑惑もある

琉芭 大輝

で、でもよ…それは疑惑なんだろ?

百峰 桃音

うん。だからホントかどうかは分からん

桜木 壱茶

つぅか、店長仮面付けてたのかぁ

この言葉で不死夜以外の皆が今更?と思った。しかし……

百峰 桃音

せやった〜。壱茶目ぇ見えへんから分からんのか

琉芭 大輝

目以外の感覚が鋭すぎて全盲のイメージが薄いんだよな

神楽 凜々愛

……ボクも、それ思ってた

狼石 悟郎

我もじゃ

桜木 壱茶

忘れんじゃねぇよお前さんら
ぁ!

影城 不死夜

…………………………

翌日

〜”IBUKI”本部 広間〜

店長

本日より「武器管理部」を導入します

武器商人達 「「「お願いしゃす!」」」

パチパチパチ👏

百峰 桃音

(うわぁ…すんごいメンツ)

拍手をしながら桃音は圧倒されていた。いや、多分ここにいる全員がそうなってると思う。

なぜなら”IBUKI”に加入してきた武器商人たちは皆ガッチリしたゴリゴリの男しか居なかった。

百峰 桃音

(ここだけ男子校みたいやな)

そもそも”IBUKI”は どの部も男女混合で割合も半々になってる。それに対し武器管理部のような全員男子しかいない部はここには無いのだ。そしてむさ苦しい。

ここで説明しよう! 現在の”IBUKI”の組員はざっと100人くらいである。暗殺部は30人くらい、情報部と研究部は各15人くらい、医療部と処理部は各20人くらいだ。今現在遠征で別の地区に行っている人もいるので本部に残ってるのはもう少し少ない。

そして死人が出るので、この100人から増えたり減ったりしている…… (↑主に暗殺部の殺し屋↑)

〜武器管理部室前 階段〜

百峰 桃音

ここって武器管理部やったんや

神楽 凜々愛

……ずっと閉鎖されてたよね

”IBUKI”には閉鎖された謎のドアがあった。それが何なのかは誰も知らなかった。なぜなら現役時代の店長の同僚は皆死んでしまったからだ。

桃音と凜々愛は武器管理部に足を運んだ。早速手入れしてほしい武器をあった。昨日の任務でだいぶ自分達の武器を追い込んでしまったのだ。

百峰 桃音

なんか…鍛冶場のむさ苦しさが階段まで伝わってくるな

神楽 凜々愛

………

百峰 桃音

ほな、行こか

神楽 凜々愛

……コクッ(* . .))

2人は共に1歩踏み出した

〜武器管理部室〜

百峰 桃音

こんにちは〜!
武器の手入れお願いしま〜す

神楽 凜々愛

……お願いします

挨拶をしながら武器管理部室に入った。

武器職人(カウンター)

おっす!!

正面にあるカウンターに立っている1人の武器職人の男が出迎えた。

武器職人(カウンター)

武器の手入れっすか。あいよ!

桃音と凜々愛は各々の武器をカウンターに乗せた。

武器職人(カウンター)

おぉ、あんた銃使いこなしてますなぁ

武器職人(カウンター)

日本刀!かっけぇ!!さてはあんたもコイツのの凄腕だな!

武器職人は桃音と凜々愛の武器を見て目を輝かせて言った。

百峰 桃音

なんで分かんの?

桃音は武器職人に問う。隣にいる凜々愛も不思議に思っている。

武器職人(カウンター)

長年修行してきたからなぁ

武器職人(カウンター)

ここには色んな所から武器職人が集まってるんでさぁ

百峰 桃音

へぇ〜

武器職人(カウンター)

ちなみに、天照出身も居ますぜぇ

百峰 桃音

あまでら?

神楽 凜々愛

……!あ、天照武器商店!?

桜木 壱茶

おうおう、お2人さんも御一緒かぁ

狼石 悟郎

む、お主らもか

凜々愛が目を丸めていると背後から壱茶と悟郎がやって来た。

百峰 桃音

あ、和服コンビ!

桜木 壱茶

和服コンビって…笑

狼石 悟郎

我らのことか

壱茶が苦笑いをする。

武器職人(カウンター)

お、天照武器商店をご存知ですかい?

狼石 悟郎

なっ!天照武器商店じゃと!?

その名を聞いて悟郎も驚動した。

桜木 壱茶

ん?聞いた事あるようなぁ…?

武器職人(カウンター)

裏社会の武器職人のトップが集まる商店です。そんでその1人がここに加入したんだよ。

桜木 壱茶

あ〜

カァン!カァン! カァン!カァン!

奥の部屋から金属音が聞こえてきた。

百峰 桃音

鍛冶場あんの?

武器職人(カウンター)

えぇ、この奥に武器を手入れ鍛冶場があるんですよ

「オラオラァ!緩んでるぞ!気合い入れろお前らぁ!!」

「は(あ)いぃ!! 姉貴ぃ!!!」

「サボンじゃねぇそこ!!」

「さーせん!!」

百峰 桃音

…ん?

鍛冶場から1人の女の声と、それに続く複数の男の声が聞こえた。

武器職人(カウンター)

あ、この人っす

百峰 桃音

え?女子おんの?

武器職人(カウンター)

あぁ、居ますぜ

武器職人(カウンター)

彼女は天照恵留(える)さん。
天照武器商店の親方の一人娘さ

武器職人(カウンター)

天照武器商店と、この武器管理部の紅一点さ。たぶん君らと歳が変わらないぐらいなんだけど優秀なんだよ

百峰 桃音

マジか、凄っ!

神楽 凜々愛

……天照さんに、娘いたんだ

武器職人(カウンター)

あぁ。人呼んで……

「”鋼の弁財天”さ」

百峰 桃音

”鋼の弁財天”...?

武器職人はニヤリと口角を上げて言った。弁財天とは七福神の1人で唯一の女神だ。

武器職人(カウンター)

弁天様って七福神の中で唯一の女神だろ?そこからきてるんだ!

武器職人(カウンター)

それに加えて驚異の鋼のメンタルの持ち主なんだよ

百峰 桃音

なるほどね

狼石 悟郎

初耳じゃのう…

百峰 桃音

でも…さっきの集会の時居らんかったよな?

武器職人(カウンター)

いや?居たぜ?

百峰 桃音

え?マジ?

ここに来た者の皆の頭の中は???に埋もれた。

武器職人(カウンター)

あ、そっか。姉貴1番後ろにいたからアンタらは見えなかったんだな

武器職人(カウンター)

うちの男ども全員ゴリラで大柄だから、隠れてて見えなかったんだろ

そう。実は先程の武器職人達の群れの1番後ろに体格差に負けた女性職人がいており、桃音達はもちろん他の組員も彼女の存在に気付いてすらいなかったのだ。

百峰 桃音

そりゃ分からんわ

桜木 壱茶

自分は気付いてたぜぇ、女の子がいるのがぁ

武器職人(カウンター)

なんで…ん?

武器職人は壱茶の白杖を見て彼は盲目だと気がついた。

武器職人(カウンター)

お前…目が見えねぇのか?

狼石 悟郎

こやつは全盲じゃ。しかしエコ…エコ?

百峰 桃音

エコロケーションやで悟郎

武器職人(カウンター)

エコロケーションってあれか?イルカやコウモリがやるやつか?

百峰 桃音

そそ。よぉ知ってんなぁ

桜木 壱茶

説明あんがとぉ

桜木 壱茶

あん時、他の男達の気合いある声に掻き消されてたが自分の耳は誤魔化せねぇぜぇ?

武器職人(カウンター)

す、すげぇなぁ

桜木 壱茶

へっへ。だから分かったんだぜぇ

桜木 壱茶

可愛い子ちゃんが居るってなぁ

百峰 桃音

は?

神楽 凜々愛

………

1部を除く一同が凍りつく。

桜木 壱茶

っつう事でぇ!ナンパしてくるぜぇ☆

狼石 悟郎

?なんぱ?

壱茶が白状で床をリズム良く叩きながら歩きだした。かなり上機嫌だ。

百峰 桃音

お姉ちゃんがゆーてた壱茶の女タラシってこの事かぁ

神楽 凜々愛

…………

武器職人(カウンター)

いや確かに姉貴はすっっげぇ美人だが、男勝りで気が強いぜ?つか元ヤンだから気を付けろよ!殴られても俺知らねぇぞ!?

武器職人は小声で叫んで言った。

神楽 凜々愛

(……元ヤン)

凜々愛はチラッと桃音を見た。

百峰 桃音

コラこっち見んな

※桃音は元ヤンです※

狼石 悟郎

天照武器商店か…

武器職人(カウンター)

俺は忠告したぞー!

桜木 壱茶

なぁ嬢ちゃ…

〜鍛冶場〜

核山 康一

やぁ!女子もいるんだな!
名前なんて言うんだ?

壱茶より先に康一が話しかけた。 というかお前も来てたのか。

その天照恵留という女は薄茶色の目に薄紫の布を頭に巻き後ろでリボンを結んでとめていて、髪はどの角度から見ても見えないように隠されている。袖を破り捨てた薄茶色の着物の上衣に厚い黒のベルト、黒のショートパンツを履いてる。黒のロングフィンガーレスグローブを嵌めていて白い膝下足袋に厚底のレディースの下駄を履いている。スタイルは良く、着物から胸の谷間が出ていている。

全体的に祭りの衣装を思い出させるような服装をしている。(伝われ)

天照 恵留

ん?なんだお前?

百峰 桃音

え、康一!?

狼石 悟郎

彼奴も居たのか

武器職人達

”IBUKI”にこんな愉快な奴がいるのかぁ!

武器職人達

そいつ暗殺部だぜ!

武器職人達

マジ!?暗殺部って冷酷な奴しかいないと思ってたぜ!

康一は早くも武器職人達と仲良くなっていた。流石コミュ力の塊だ。そして暗殺部が冷酷とはなんだ冷酷とは。

百峰 桃音

(確かにたまに冷酷な奴も居るけどな〜)

桜木 壱茶

チッ…先越されたか

百峰 桃音

いや康一は別にナンパしに来たわけとちゃうから!アンタと違って!

桃音の声に気付いた恵留は彼女の方を見た。

バチッ★

百峰 桃音

桃音は恵留と目が合った。

天照 恵留

早速客が多いな。オイそこのお前ら!うちに何の用だい?

恵留は桃音達の方へ歩きながら言った。

百峰 桃音

あ、武器の修理お願いしな来やした

天照 恵留

あぁ、そうかい

狼石 悟郎

そうじゃ、我らもじゃった

桜木 壱茶

そうだなぁ

悟郎は二刀流の刀を、壱茶は長い分同鎖を1本と短いのを4本出した。

天照 恵留

へぇ、大した武器(エモノ)だな

桜木 壱茶

へっへ、嬢ちゃん可愛いなぁ

天照 恵留

ん、そうかい

タラシ発言を聞き流す恵留。

天照 恵留

分同鎖全部で5本じゃねぇか!こんな重いもん担いで戦ってんのかお前!?

百峰 桃音

壱茶脳筋やからな

天照 恵留

よくこんな重装備で動けるもんだな

核山 康一

重装備なら俺もそうだぜ!

奥の方で武器職人と話していた康一がこちらへ来た。そしてダボッとしたナイロンジャケットの開け、内側に仕込んでいた十何個かの手榴弾やらサバイバルナイフを見せた。

核山 康一

この通り!あと機関銃さ!

百峰 桃音

そんな仕込んでたん!?

天照 恵留

マジかよ…ところで手直しして欲しい武器はあんのかお前?

核山 康一

いや?ねぇけど?

天照 恵留

お前喋りに来ただけなのかよ!

核山 康一

まぁな!

康一はニカッと笑って言った。 暇なのかお前は…

武器職人達

ところでよぉ姉貴!そいつただのお喋り野郎じゃねぇぜ!

百峰 桃音

(いやただのお喋り野郎やて)

武器職人達

あぁ!”爆弾軍曹”だっけな?

先程まで康一と話していた休憩中の武器職人が口を開いた。

”爆弾軍曹”とは康一がこの裏社会で呼ばれている異名だ。爆弾使いと元軍曹からきたのだ。

天照 恵留

”爆弾軍曹”?

武器職人達

知ってますかい?

天照 恵留

ケ○ロ軍曹なら知ってるぜ

ケロッ♪ケロッ♪ケロッ♪ いざっ 進っめ〜ッ♪

桜木 壱茶

懐ぅ

※作者はドロロ推しです※

天照 恵留

それってアレか?アタイで言う”鋼の弁財天”みたいなやつか?

核山 康一

弁財天?

百峰 桃音

七福神のや

核山 康一

あぁ!そうなんだ!

核山 康一

神の名前かぁ。かっけぇ!

武器職人達

おい和服コンビ、お前らもしかして”狼男”と”逆戟”か?

1人の武器職人が言った。 和服コンビとは恐らく悟郎と壱茶のことだろう。

狼石 悟郎

誰が和服コンビじゃ

桜木 壱茶

へっへ、そうだぜぇ
なんで知ってんだぁ?

武器職人達

噂を聞いたんだよ

百峰 桃音

今日入ったばっかやのに噂回んの早ない?

そう言うと今度は桃音と凜々愛を見た。

武器職人達

そっちの銃刀コンビは…”人間兵器”と”人斬り人形”か?

銃刀コンビ………桃音が銃の達者で凜々愛が剣術の達者だからか?

百峰 桃音

なんやねん、銃刀コンビって

百峰 桃音

てか”人間兵器”って異名あんま好きちゃうねんウチ

神楽 凜々愛

……ボクも

死んだ目をした銃刀コn……いや、桃音と凜々愛が言う。この武器職人は特に悪気は無いのはわかっている。しかしそんな真っ直ぐな目で言われてもな…

武器職人達

あっ、すんません!!

2人の反応を見た瞬間、すぐに謝った。

百峰 桃音

いや、ええけど…

天照 恵留

何言ってんだよ。お前ら高校の頃のアタイよりはマシじゃねえか

神楽 凜々愛

……そうなの?

百峰 桃音

なんて呼ばれてたん?

天照 恵留

”マウンテン・メスゴリラ”だよ

百峰 桃音

それただの悪口やん

天照 恵留

な?お前らの方がマシだろ?
だから気にすんなそんな事

百峰 桃音

そういうのんとちゃうねんなぁ

天照 恵留

ちなみに”ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ”って呼んでくる奴はいなかったぜ

百峰 桃音

学名で呼ぶ奴がおるか!

バンッ!バンッ!

すると銃声が鳴った。

狼石 悟郎

曲者か!?

天照 恵留

落ち着け”狼男”

狼石 悟郎

狼石悟郎じゃ

天照 恵留

悟郎か。曲者じゃねぇよ

天照 恵留

射撃訓練だよ

恵留は悟郎の肩に手を当てて言った。武器管理部室の隣に鍛錬場があるのだ。どうやら繋がっていたようだ。

天照 恵留

そういやさっき銃の試し打ちがしたいって来たやついたな

天照 恵留

今鍛錬場の入口のドア壊れてっからさ、ここ通らねぇと入れねぇんだ

百峰 桃音

そうなんや

百峰 桃音

ウチも久々にやるわ

天照 恵留

おう、行ってらっしゃい

そう言いながら桃音は武器管理部室に向かった。

百峰 桃音

(それにしても誰やろう?)

桃音はカウンターのある管理室を横切って向かいのドアに手をかける。

百峰 桃音

(ま、どうせ暗殺部の誰かやろ)

そう思いながらドアを開けた。

〜鍛錬場〜

琉芭 大輝

全然中心に当たらねぇな

いやアンタかいっ!!

百峰 桃音

(アンタ情報部やろ?なんで鍛錬場におんねん!?)

意外な人物にフリーズしてしまった桃音。そこには情報屋兼ハッカーの大輝が射撃訓練をしていた。

ここは道場と射的訓練場がセットになっているような鍛錬場だ。が、とは言っても予算の都合上か、そんなに広くはない。射的訓練も5人が定員で道場はあくまでも対戦用で1組ずつしか使えない。

琉芭 大輝

やっぱ桃音みたいにはいかねぇか

後輩 殺し屋

いや誰も百峰さんには敵いませんよ

そう言いながらイアーマフを取り外した大輝の横で、暗殺部の殺し屋が言った。 てかあの人ウチの後輩やん。

ちょっと驚かせようか

百峰 桃音

呼んだ〜?( *°∀°* )

2人の背後をとって話しかけてみた。

「「うわあ!?」」

百峰 桃音

そんなに驚く!?

桃音の声に2人共声を上げた。確かに気付かれないように気配は消したけども…

後輩 殺し屋

先輩!

琉芭 大輝

も、桃音!いつの間に!?

百峰 桃音

今来たとこやで

百峰 桃音

○○(後輩)くんよぉ、アンタ今ので背後取られてたら死ぬで〜?

桃音は後輩の殺し屋に言った。

後輩 殺し屋

す、すみません…

百峰 桃音

まぁそれはさておき、大輝も射的訓練してんの?

琉芭 大輝

あぁ

琉芭 大輝

俺も銃使うからな

百峰 桃音

そうなんや

後輩 殺し屋

先輩って、いつから銃を?

後輩が桃音に問う。

百峰 桃音

あ〜…いつやっけ?

百峰 桃音

昔過ぎて覚えてへんわ

琉芭 大輝

そんなに前からかよ…!?

百峰 桃音

ウチ実家が殺し屋家系やねん。幼少期から射的やら殺人術叩き込まれてん

そう言いながら桃音はイアーマフを装着し、銃を持ちスライドを引き、大輝と後輩の方を見ながら的に銃口を向け…

バンッバンッ! バンッバンッ!

発砲した。見ると全ての弾が的のど真ん中に風穴を開けていた。

百峰 桃音

クリッティカァル ヒ〜ット♪

※タ○ト風

琉芭 大輝

す、すっげぇ…!!

後輩 殺し屋

さすが先輩…!!ベテランですね!!

琉芭 大輝

なんでノールックで撃てるんだ!?

桃音の匠技に2人は目を丸めていた。

天照 恵留

思ったよりスゲェ腕してるなぁ

鍛錬場の入口から声がした。

百峰 桃音

恵留!いつから居ったん?

恵留が開けっ放しの入口のドアの端にもたれ腕を組んでこちらを見ていた。

天照 恵留

お前がノールックで
撃ち始めたところからだ

百峰 桃音

じゃあウチの射的、
一部始終見たってことか

後輩 殺し屋

あ、俺仕事なので行きます

百峰 桃音

おー、頑張っ!

後輩の殺し屋は鍛錬場を出ていった。

百峰 桃音

怪我したらまっすぐ医療部に行きや!

琉芭 大輝

(後輩思いの桃音…可愛すぎる///後輩もう行っちまったけど)

天照 恵留

お前いつから殺し屋やってんだ?

入口から離れ、桃音の方へ歩きながら問う。

百峰 桃音

12からや

琉芭 大輝

12歳!?

大輝は驚きを隠せなかった。 恵留も目を丸めていた。

百峰 桃音

ちなみに凜々愛はもっと小さい時からやで

神楽 凜々愛

……そうだよ

「「「うわあ!!?」」」

神楽 凜々愛

……Σ(OωO )ビクッ!?

突然、恵留の背後から凜々愛がヌッと出てきた。誰も気づかなかった為、全員が声を上げた。そして凜々愛本人はその彼らの声に驚いた。

百峰 桃音

凜々愛!心臓止まるかと思ったわ!

神楽 凜々愛

……ごめん

桃音は胸元を掴むように押さえながら言った。心臓バックバクだ。

天照 恵留

凜々'花'お前気配消すの得意なのか?

百峰 桃音

凜々'愛'な。ちょっと惜しいけど!

天照 恵留

あ、悪ぃ。アタイ人の名前覚えるの苦手なんだよ。顔は絶対に覚えられるけどな

そう、優秀な武器職人である恵留には欠点があった。それは人の名前を覚えることが不得意ということだ。

琉芭 大輝

康一と逆じゃねぇか

ちなみに康一は人の名前は絶対に覚えられるが、顔を覚えるのが苦手だ。

結局どうしようもないパターンだ。

神楽 凜々愛

……まぁね。気配消すの、癖になっちゃってるんだ

天照 恵留

どんな癖だよ

ギィ…

武器管理部室に繋がるドアが開いた。

核山 康一

なぁ、悟郎見てないか?
急に居なくなったんだよ

桜木 壱茶

気付いたら気配無くなってたんだよぉ

康一と壱茶が入ってきた。 悟郎が行方不明らしい。

天照 恵留

お、重装備コンビ

桜木 壱茶

またコンビ名かよぉ

天照 恵留

だってお前ら2人とも重装備だろ

桜木 壱茶

いやそうだけどよぉ

壱茶はへっへ と苦笑いした。

核山 康一

重装備なら大輝もじゃね?

核山 康一

つか射撃訓練してたのお前だったのかよ!意外だなぁ!?

神楽 凜々愛

……ボクも、思ってた

百峰 桃音

ウチもさっきアンタかい!!って思ったわ

琉芭 大輝

皆してそうなのかよ

琉芭 大輝

まぁ確かに俺は情報屋だから装備しないイメージ強いかもしれねぇけど

大輝は呆れた顔をした。

天照 恵留

お前情報屋だったのか

琉芭 大輝

ああ

天照 恵留

情報屋が重装備してんのか?

琉芭 大輝

護身用だよ護身用

天照 恵留

ちょっと全部出してみろ

琉芭 大輝

いいぜ

大輝はジャケットの中に装着しているショルダーホルスターから銃を取り出し、対戦用の道場の段差に置いた。

琉芭 大輝

あとは…これと……これと……

さらに両方の袖から小型のナイフやメリケンサック、ズボンの裾から小型の銃とスタンガンが出てきた。

武器以外にもジャケットのポケットからは情報をコピーする為の空のUSBや、ピッキングする為の器具、そしてコンタクトのケースと眼鏡と手錠が出てきた。さらに1つに束ねている髪にヘアピンが3、4本ほど隠していた。

百峰 桃音

めちゃくちゃ仕込んでるやん!

天照 恵留

用意周到じゃん。ル○ンかよお前は

おーとこには〜♪ 自分の〜♪ せーかーいがぁ ある♪

琉芭 大輝

誰がルパ○だ

百峰 桃音

その銃ワルサーP38?笑

琉芭 大輝

それ本当のルパ○

核山 康一

IQ300なのか?

琉芭 大輝

ル○ンだよそれ。
俺のIQは200だ。

天照 恵留

バケモンかよ!?

※ちなみに大輝はIQ200、 麗はIQ400、不死夜は鑑定不能※

上には上がいます。

桜木 壱茶

相棒は次○大介かぁ?笑

琉芭 大輝

だからルパ○じゃねぇ!

核山 康一

それ(相棒)俺だ

琉芭 大輝

なんだよこのル○ン攻めは!

天照 恵留

仕方ねぇだろ。
作者がルパ○好きなんだからさ。

琉芭 大輝

それだけは言うな

※作者は中一の頃に次元に一目惚れ※

琉芭 大輝

んで、これが最後だ

恵留による言ってはならないメタ発言につっこんだ後、襟足に手を当て背中から鉄パイプを取り出した。

百峰 桃音

いやどっから出してん!?

核山 康一

しかも鉄パイプ!?

天照 恵留

ル○ンじゃねぇな、ド○えもんだな!

あったま テッカテ〜カッ♪ さぁえてっ ピッカピ〜カッ♪

琉芭 大輝

今度はドラ○もんかよ!

百峰 桃音

(曲古いな!)

すると下駄の音が近づき、ドアが開いた。悟郎が入ってきた。

そうだ。行方不明になってたんだコイツ

狼石 悟郎

む、お主ら!一体どこに行っておったのじゃ?探していたぞ

康一・壱茶「「それはこっちのセリフだぁ!」」

天照 恵留

五ェ門!どこ行ってたんだい?

狼石 悟郎

いや悟郎じゃ

百峰 桃音

またつまらぬものを斬ったんか?

狼石 悟郎

斬っとらんわ。なんの話じゃ

桜木 壱茶

桃音ちゃん一旦ルパ〇から離れようかぁ

壱茶の言葉に桃音はスンと黙る。

琉芭 大輝

悟郎とてつもない方向音痴だもんな

様子から察するに、悟郎は迷子になったことに自覚がないようだ。恐らく桃音が行く鍛錬場に興味が持ったので後から付いて行こうとしたら間違えて出口へ出てしまい、そこから軽く彷徨ったようだ。

百峰 桃音

これ手錠やん!?

桃音が手錠を取って言った。

核山 康一

あっ(察

天照 恵留

これで敵をとっ捕まえて尋問拷問でもすんのか?情報屋の旦那

桃音の横から手錠を取って言った。

琉芭 大輝

……まぁ、それも可能だがな

核山 康一

(うわぁ懐かしっ…絶対あの時のだろ)

康一は大輝の隣で目を逸らして悟った。

神楽 凜々愛

……眼鏡?大輝、目悪いの?

今度は凜々愛が、大輝の眼鏡を取って言った。ホントにド〇えもんかお前は。

核山 康一

こいつとてつもないド近眼だぜ

大輝の代わりに康一が答えた。

琉芭 大輝

ああ

桜木 壱茶

ちなみに視力はぁ?

琉芭 大輝

……0.01だよ

大輝はそっぽ向いて言った。

桜木 壱茶

低っ!?

天照 恵留

それ見えてんのか!?

琉芭 大輝

裸眼だとこの距離でも康一の顔がボヤけて見える

康一と大輝との距離は数十cm。 視力0.01の視界が気になる方は ググってください。

天照 恵留

何やったらそんなことになんだよ

桜木 壱茶

IQの高さと視力の低さ激しすぎんだろぉ笑笑

琉芭 大輝

うるせぇな、ほっとけ!

百峰 桃音

(そんなに悪いん?まぁ知ってたけど!)

大輝の驚異的な視力の悪さに皆が唖然とする中、桃音は回想し始めた。

先日、ウチが廊下を歩いてたら大輝が床を這いつくばってた。

百峰 桃音

(え…?何してんの???)

少し離れた所に眼鏡が落ちてた。彼の動作から、大輝は手探りで眼鏡を探していたのに気づいた。

百峰 桃音

(あぁ!眼鏡落としたんか)

百峰 桃音

はい、大輝

桃音はしゃがんで眼鏡を拾い大輝に渡そうとした。

琉芭 大輝

ん?

琉芭 大輝

(声がしたんだが…桃音か?)

大輝は桃音の顔を見るがボヤけて見える為、桃音と確信できず目を細めた。

琉芭 大輝

失礼

百峰 桃音

え…?

琉芭 大輝

あ、桃音だ

百峰 桃音

ひゃああっ!?//////

百峰 桃音

(んな事もあったな…//////)

桃音は顔を赤らめた。

〜路地裏〜

影城 不死夜

フーッ…🚬

ここで時を昨日の夜まで戻そう。桃音たちが帰った後、薄暗く誰も通らない静かな路地裏に不死夜が独り1本目のタバコを吸っていた。

影城 不死夜

………………

「あの人元々暗殺部でめちゃくちゃ強かってんて。んで、そっから昇格して店長になったとか何とか」

「…噂によるとな、”死神”を追い込んだとか。てかあとちょっとの所で殺し損ねたとか……」

「店長が唯一生き延びたってことやわ」

不死夜は先程”死神”について話していた桃音の言葉を思い出していた。

「仮面の下には”死神”にやられた傷がある…っていう疑惑もある」

影城 不死夜

…………

怒りや憎しみに満ちた不死夜はタバコをグシャリと握り潰した。

影城 不死夜

やはり僕はまだ死ぬ訳にはいけませんでしたか……

「姐さん」

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