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暗黒街の銃声

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暗黒街の銃声

13 - 警視庁公安部暗黒街課

♥

60

2024年01月30日

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数ヶ月前、人の通らないこの路地裏で” 殺戮の悪魔”と呼ばれ恐れられている殺 人鬼、早乙女瑠花が無惨な死体の頭を握りその表情を見ながら興奮していた。

「キャハッ♡ヤバ~いっ ♡♡////」

「超いい顔してる♡/////」

その死体は警官服を着ていた。瑠花の顔手足には真っ赤に染まっていた。

「やっぱ最高だわぁ♡血 みどろ死体の歪んだ表情って!♡/////////」

「”IBUKIに入ってからはこーいうのダメなの分かってるんだけどなー、やっぱどうしても辞められないなぁ!」

「でも特にクソ喰らえなサツの方が・・・」

「最高に心地い い!!♡♡/////」

~警視庁本部庁舎~ 〜公安部暗黒街課~

”次のニュースです。昨晩〇〇市(=暗黒街)の路地裏に察官の遺体が発見されました。”

矢田野 遼

警察官がか…

テレビの前に立って腕を組みながらニュースを睨みつけているのは公安の男。

彼の名は矢田野 遼。キリッとした藍色のツリ目にくせ毛の髪に頭のてっぺんにはクルッとしたアホ毛。彼の目と同じ色の軍服のような制服、中には黒のネクタイに白のシャツを着ている。 手には黒手袋、黒い長いブーツを履いている。

ここは"公安部暗黒街課”。国際テロや過激派などの捜査や取り締まるのが警視庁公安部の仕事。その中で唯一銃撃戦が許されている最も危険でエリートなのがこの”暗黒街課”。ここは犯罪係数日本一の暗黒街と呼ばれる東京某市。ここで起きる数々の犯罪を主に取り締まり、日本の平和を守るのが彼らの指名だ。

ついでに言うと、暗黒街課は公安の中で最もイカつくまるでゴリラな部署であることでも有名だ。この矢田野遼という男も所謂エリートゴリラなのである。

柳原 優介

また集団虐殺事件か…

そこへ柳原優介と言う遼の相棒でペアを組んでいる男が彼の隣に来た。

優介はグレーの目にツンツンヘアをした男。遼と同じ制服を1式着ており頬にはいくつかのそばかすがある。本人曰く「 そばかすは俺のチャームポイントなんだよ!」…だそうです。

矢田野 遼

あぁ。もうこれで何件目なんだよ

そう言いながら椅子に腰掛け、デスクに置いていたパックのいちごミルクのストローを咥えて飲んだ。

ドサッ

柳原 優介

しかも結構前からだよな

優介はデスクの上に過去の事件に関するファイルの山を置いた。

柳原 優介

でもよ、過去の連続集団虐殺の被害者は全員テロリストや詐欺グループなどの犯罪組織ばかり……

椅子にもたれかかって、その中の1つのファイルを手に取り目を通す。

矢田野 遼

はっ!!

ブシャァ!

遼は優介の言葉を聞いて頭に稲妻が走ったかのように閃いた。そしてそれと同時に手元のいちごミルクのパックを握りつぶし、中身が漏れ辺りに飛び散った。

柳原 優介

うお!どうしたぁ!?

矢田野 遼

おい優介!その事件、凶器の手がかりは確か見つからなかったよな!?

柳原 優介

あ、ああ。未だに不明だが……少なくとも刃物や鉄器は使用していない可能性が高い。恐らく鈍器かもしれないな

矢田野 遼

俺の勘だがわかったぞ…犯人が!

遼は勢いよく立ち上がった。

柳原 優介

はぁ?

矢田野 遼

集団虐殺、凶器は鈍器の可能性有、被害者は犯罪組織、そして今回の察官殺害事件………………

矢田野 遼

この条件から察すると恐らく……

「8年前の”暗黒街課集団虐殺事件”と同一犯かもしれねぇな」

その言葉に周囲は一旦静まり返ってから ざわついた。

柳原 優介

なっ……本当か!?

矢田野 遼

あぁ。それに、あの時”唯一生き残った”俺だからこそ言える!連続殺人が起き始めたのもその時期からだ!

柳原 優介

た、確かに…言われてみれば!

優介はファイルのページをめくりながら言った。

矢田野 遼

ふっ……ははっ!

矢田野 遼

ようやく尻尾を出したな、殺人鬼め

遼は不敵な笑みを浮かべて呟いた。握りしめていたいちごミルクのパックを更に手に収まる程に小さくして握り潰した。

柳原 優介

ちょっと…遼……

矢田野 遼

お前だけは絶対逃がさねぇ…一生許さねぇ……

矢田野 遼

この俺が必ず、貴様をブタ箱にぶち込んでやるぜ…!!

遼の心は恨みや憎しみに満ちていた。

柳原 優介

お前いい加減さぁ刑務所のこと”ブタ箱”って言うのやめろよ。気持ちは分かるけどよ…!

柳原 優介

つーか!お前のデスクいちごミルクで悲惨になってるけど!!手袋もビショ濡れじゃねぇか!

矢田野 遼

あ、やっべえ!すみませーん!誰か!テッシュ箱ごと持ってきて下さい!!

我に返った遼は己の現状に目を剥き、すぐさま手袋を脱ぎデスクを拭いた。

モブ公安

何やってんだアイツ…?

〜某ショッピングモール〜

百峰 桃音

瑠花~、次どこ行く~?

早乙女 瑠花

そだねー

桃音と瑠花は紙袋を肩にかけて歩いている。中身はお目だった服や靴が入っている。今日は非番なのでショッピングモールでセール品を買いに来たのだ。

早乙女 瑠花

お目ての物買えたし、
カフェでお茶しよ!

百峰 桃音

ええな!

バン!バン!

きゃあああ!!!

百峰 桃音

なんや!?

早乙女 瑠花

!?

カフェに向かおうとすると突然桃音たちの真後ろから銃声が鳴り響いた。他の客たちは悲鳴をあげ屈んだ。もちろん桃音たちも届んだ。

強盗犯

全員動くな!!

振り向くと1人の男が銃を天井に向けていた。銃口からは煙が出ていた。

百峰 桃音

(なんかコイツさっきから怪しいなと思ってたらやっぱり…!!)

桃音は少し前から怪しんでいた。

強盗犯

おいテメェ!

早乙女 瑠花

わっ!?

強盗犯は最も近くにいた瑠花を掴み引っ張り立たせた。そして彼女の頭に銃を突きつけた。瑠花は人質として捕えられたしまったのだ。

百峰 桃音

瑠花!

強盗犯

コイツの命が惜しくりゃ
金と車を用意しろ!!

百峰 桃音

ちょいちょい嘘やろ…

百峰 桃音

(てかコイツ強盗すんのになんでショッピングモール選んだん???)

モブ客(女)

け、警察……

百峰 桃音

(おいアンタ要らんことすんな!)

恐怖で腰を抜かした1人の客の女がオドオドしながらカバンからスマホを取り出そうとする。

バンッ!

モブ客(女)

きゃあっ!!

するとそれに気づいた強盗犯は客の女に目掛けて威嚇射撃をした。弾丸は女の手元ギリギリの位置の床に着弾していた。

百峰 桃音

(アイツ…なかなかの腕前やな)

強盗犯

おい動くな!!
この女がどうなっても
いいのか!?

百峰 桃音

アンタこそ
どうなっても
ええんか!?

強盗犯

は?

バシッ

すると花は突きつけられた銃を手で弾き男の胸ぐらを掴んだ。

早乙女 瑠花

ふんっ

強盗犯

うわああああ!!?

百峰 桃音

あ〜……

ダンッ!!

瑠花は真顔で男を背負い投げして床に叩きつけた。

強盗犯

ぐっ…痛ってぇ!

百峰 桃音

ほーら、言わんこっちゃない

モブ客(男)

す、すごい!やったぞ!!

おおおおおお!!👏👏👏

周囲の客たちが瑠花に拍手をした。

早乙女 瑠花

え?えっと……?//////

早乙女 瑠花

……//////

百峰 桃音

(めっちゃ照れてるやん)

まさか護身術で拍手されるとは思ってもいなかったので、どう反応すればいいか分からず、赤面でオロオロする瑠花。

早乙女 瑠花

あーん、桃音怖かったよぉ

百峰 桃音

嘘つけぇ

裏声で言いながら桃音に駆け寄り、抱きついた。そして2人はそのままゆっくりとその場から離れた。

ピピーーッ!!

百峰 桃音

!!

早乙女 瑠花

!!

次の瞬間、笛が鳴り響いた。

???

動くな!!管察だ!!

百峰 桃音

げっ、この声まさか…?

聞き覚えのある声がした方向を見ると公安警察の女が驚棒を持って立っていた。

その女はキリッとした水色のツリ目で左目は前髪で隠れている。くせ毛のウルフカットで頭のてっぺんにはハート型のアホ毛がクルッとはねている。軍服のような紺色の制服は膝より少し上の丈のスカートで、見えていないがパンチラ防止のために中には指定のショートパンツを履いている。黒の手袋に黒いレースアップロングブーツに黒のニーハイソックスを履いている。中性的な女性だ。

百峰 桃音

矢田野愛美⋯!

早乙女 瑠花

え、誰?

彼女の名は矢田野愛美。この苗字と容姿の特徴で察した人は居るであろう、彼女は先程いちごミルクをぶちまけた矢田野 遼の年子の妹なのだ。

百峰 桃音

瑠花、逃げるで!

早乙女 瑠花

…………

早乙女 瑠花

…うん!

小声でそう言って2人はここで捕まる訳には言わんばかりと、慌てて立ち去って行った。その時桃音は花から警察への殺気を感じた...........。

矢田野 愛美

ん?今誰か立ち去った…?

愛美は桃音たちが居た方向を見るが、既に2人の姿は無かった。

月嶋 沙友理

観念しなさい!これ以上抵抗すると(警棒で)殴るわよ…

強盗犯

くっ…畜生!!

モブ公安

ちょっと月嶋さん!殴るのは駄目だからね!?

再び強盗犯の方に目を向けると月嶋沙友理という愛美の親友でペアを組んでいる女が既に犯人を取り押さえていた。

彼女は薄紫の丸い目にセンター分けの前 髪に長い髪を編み込みの三つ編みをして束ねている。愛美と同じ制服を一式身にまとっている。視庁の中で最もイカつくまるでゴリラな暗黒街課には馴染まないような周囲を癒すゆるふわ系女子だ。

矢田野 愛美

おい沙友理、その辺にしとけ

月嶋 沙友理

はーい

矢田野 愛美

〇月✕日、午前○時✕分、〇〇XX(名前)。窃盗及び脅迫罪により現行犯逮捕だ!

ガチャッ

強盗犯

テメェ…公安が!

手錠をかけられた強盗犯が愛美を睨みつけた。

矢田野 愛美

ハッ!笑どうだい?公の場で囚われる気分は?さぞ屈辱だろう笑

ゲス顔で強盗犯を見下して言う愛美。

月嶋 沙友理

愛美、あんまり犯人いじめちゃ駄目よ?
この人きっと刑務所でちゃんと悔い改めるんだからさ

矢田野 愛美

あぁ。そうだな

モブ公安

いや、さっき殴ろうとした奴が言うんじやねぇ!てかどっちがその辺にしろって
か!

~カフェ〜

桃音と花はパンケーキ専門店の隅っこの席に座っている。今日は珍しく空席が多い。少々裏の仕事関係の話をしても大丈夫そうだ。注文した後、自分たちでコップに水を入れた。

百峰 桃音

はぁ~ホンマ焦ったわ

早乙女 瑠花

だね~

桃音は水を飲んでため息をついた。

早乙女 瑠花

アタシも焦ったよ〜。ホントまさか人質にされるとは思わなかったわ!

百峰 桃音

いや、ウチは正直あの強盗犯が瑠花に叩き殺されへんかの方が心配になったわ

桃音は頬を着いて言った。”IBUK"”では任務外での殺害や一般人を巻き込むことは絶対NGなので、ここで対象外の犯罪者を一般人の前で殺すことも、瑠花の怪力を披露させるのは何がなんでも防がねばならない。が、瑠花も流石にそれを承知していたのか、見た感じ手加減はしていたようだった。

早乙女 瑠花

え〜、桃音酷~い!

早乙女 瑠花

アタシの心配もしてよ!

百峰 桃音

ごめんやて、もちろんしたで

早乙女 瑠花

なら許す♡

百峰 桃音

おおきに

桃音は水を氷ごと飲み一息ついた。

早乙女 瑠花

…ねえ、桃音

百峰 桃音

なんや?

早乙女 瑠花

さっきのサツの女、なんで名前知ってるの?前に会ったことあるの?

瑠花は桃音がその名を呟いた時から疑問に思っていた。あの時、桃音は明らかに虫でも見たような表情をしていたのだ。

百峰 桃音

あ〜…アレね

桃音は苦笑いをつくって言った。

百峰 桃音

結構前の話なんやけどな

桃音は愛美との出会いを語り始めた。

5年前

あれはまだウチが上京したばっかで”IBUK"”に加入する前やった。

バンッ!

百峰 桃音

ふ一っ

あの時ウチは雇い先が無くて自称フリーの殺し屋としてヤクザとかのチンピラを殺してまわっていてん。

百峰 桃音

(さっさと帰ろ。眠い)

矢田野 愛美

動くな!

百峰 桃音

!!

振り向いたらアイツが銃を向けててん。 ウチが殺ってるとこ見られてたらしい。

百峰 桃音

(し、しまった…!)

矢田野 愛美

銃を捨てろ!
両手を上げて、膝を付け!

百峰 桃音

はいはーい(棒)

バンッ!

キィンッ!

矢田野 愛美

うあっ!

早撃ちでアイツの銃を撃って逃げてん。

矢田野 愛美

あ!待て!!

矢田野 愛美

こちら矢田野愛美!○○通り路地裏にて女が銃を発砲し逃走、至急応援をお願いします!!(((無線機

百峰 桃音

(矢田野愛美…か)

百峰 桃音

(応援呼びよったな…!)

んで、しばらく逃げまわってたらガス管 があってな……

百峰 桃音

(しゃーないな!)

バンッ!

ドカン!

ガス管撃って爆発させてん。

矢田野 愛美

うあああ!!

百峰 桃音

あれ?巻き添え食らってもうた?

百峰 桃音

ま、えっか

いや〜…あんな?ウチも殺す気は無かってんけどな。爆発で足止めさせるためやったんやけどな…まぁ死んだならそれでもええかと思ってん。ウチの犯行現場見てもうたんやしさ。

でもそれがアカンかったんかな…その後

ヒュンッ

百峰 桃音

…?

グサッ!

百峰 桃音

アガッ……!?

爆発に巻き込まれてもウチを捕まえたかったのか、(たぶん)アイツが投げた警棒がウチの腹部に貫通してん。

ボトボト🩸

百峰 桃音

何……これ?

百峰 桃音

なん…で……?

あれはめちゃくちゃ痛かったわ。吐血で口ん中が血の味しかなくなったわ。でもそれでもまだ死にたくなたかったから地面を這いつくばって何とかしようと思ってんけど…

ファン!ファン! ファン!ファン!

百峰 桃音

(えっ…囲まれた!?)

最悪なことにウチは既にパトカーやら驚 官に包囲されてたみたいやった。

百峰 桃音

(……こんで、ウチも万事休す…か)

百峰 桃音

(あぁ…もう力が……)

百峰 桃音

(死ぬんか……)

百峰 桃音

(あ、あれ閻魔大王かな?)

百峰 桃音

(ハハッ、ウチも年貢の納め時か)

百峰 桃音

(地獄行きか…)

百峰 桃音

(私の人生ほとんど人殺してたもんな)

百峰 桃音

(わかっ…てた…けど……)

店長

………………

死にかけやったから流石にそっからは覚えてへんけど……

ピッ…ピッ… ピッ…ピッ…

モブ闇医者

心拍数、正常。
意識回復しました。

店長

そうですか。よくやりました

モブ闇医者

はい。恐縮です

百峰 桃音

…ん?

店長

おや、気が付きましたか

百峰 桃音

はっ!どこココ!?

ズキィッ!!

百峰 桃音

…あ”っ!痛ぁ……!

モブ闇医者

おい!傷口が開くぞ!

ズキンッ…ズキンッ… ズキンッ…ズキンッ…

百峰 桃音

〜ッ…!
ハァ…ハァ…ハァ…!

百峰 桃音

んで、どこなん…ココ?

店長

まぁ落ち着いて下さい

百峰 桃音

あ、うん

百峰 桃音

えっと…誰やっけ?

店長

あぁ。私は……

百峰 桃音

あっ!閻魔大王!

モブ闇医者

(え!?えん…閻魔!?)

店長

いや誰が閻魔大王ですか

百峰 桃音

え、ちゃうの?

店長

違うに決まってるじゃないですか

店長

(…関西弁???)

モブ闇医者

(この女誰に向かって言ってんだよ!?)

モブ闇医者

ていうか思った以上に完気だな!?体力バケモンかアンタ!?

気づいたら”IBUKI”の医療部で寝てた。 ウチはあの時見たのは閻魔大王じゃなくて店長やってん。そんで店長が死にかけで包囲されたウチを助けてくれてん。

百峰 桃音

んで、ちょっと話飛んだけどそれがきっかけでウチを”IBUK"に加入してん。

そして現在に戻る。

早乙女 瑠花

へぇ〜、なるほどね

早乙女 瑠花

てか桃音、初対面で店長のこと閻魔大王って言ったの?笑しかも本人の前で?笑

百峰 桃音

瀕死状態であの仮面見てみ?
まじで閻魔大王かと思うでアレは

店員

お待たせしてしました

するとそこへ店員が2人が注文したパンケーキを運んできた。

百峰 桃音

お~!美味しそっ!

店員

ご注文は以上で宜しいでしょうか?

早乙女 瑠花

は〜い

店員はレシートを丸めてプラスチックの筒(伝われ)に入れて立ち去った。

早乙女 瑠花

…………

早乙女 瑠花

(やっぱサツはクズしかいないな…)

~警視庁本部庁舎~ 〜公安部暗黒街課~

モブ公安

いや〜お手軽だったね、愛美くんに月嶋くん!

矢田野 愛美

恐縮です

月嶋 沙友理

ありがとうございます

本部に戻った愛美と沙友理は上司に褒められた。

柳原 優介

ほんと優秀だなあのペア

少し離れた所で優介も感心していた。

矢田野 遼

もちろん月嶋くんもだが、そりゃ俺の妹だからな当然だ。オマケに世界一可愛い

遼はもの凄いドヤ顔で言った。 彼は重度のシスコンなのだ。

愛美が名前で呼ばれる理由は遼と被ってややこしいからだ。そのため、遼も同僚からは基本的名前で呼ばれている。

モブ公安

おい、矢田野!

遼・愛美「「はい?」」

上司に呼ばれて2人同時に振り向いた。

モブ公安

あ、すまない。兄の方だ

矢田野 遼

俺か?

矢田野 愛美

あぁそっちか

ほら、こんな感じ。 兄弟姉妹あるあるだ。

愛美はそのまま事務所を出ていった。

矢田野 遼

なんですか?

モブ公安

大した用事じゃないが一応聞いておく

モブ公安

あれお前の手袋か?

ブオオオン……

先輩の公安が指を指しながら尋ねた。その先を見ると先程汚した遼の手袋が洗って扇風機の前に置いて乾かされていた。

矢田野 遼

はい。あれ俺のです

モブ公安

何やったんだお前?

柳原 優介

コイツさっきパックのいちごミルク握り潰して中身ぶちまけたんですよ

遼の代わりに優介が答えた。

モブ公安

なんで…?

???

通りで甘ったるい匂いしてんなと思ったら…何やってんだが矢田野兄貴

するとここに居る皆が聞き覚えのある男の声が聞こえた。彼の方を目を向けると周囲がざわついた。

その男は糸目に長い前髪をオールバックにした髪。遼たちのと色違いの黒い制服一式を身にまとった、顔面にある大きなバツ印の傷跡が目立つ。

矢田野 遼

け、警視総監!?

モブ公安

敬礼!

ビシッ!

ここに居る全員が敬礼した。 この男、警視総監の名は明智 司。 何故かしょっちゅう公安部に足を運ぶ、ある意味謎めいた上司でもある。

明智 司

ショッピングモール強盗を捕らえたと聞いて来た

矢田野 遼

な、なるほど…

柳原 優介

( つーか前から思ってたんだけど なんでこの人しょっちゅうウチ(公安部)に来てんだ…!?暇なのか…!?(小声) )

明智 司

失礼だな誰が暇人だ。こっちにも事情があるんだよ

優介の心の声がおもくそ漏れていた。

柳原 優介

(やっべ聞こえてた…)

柳原 優介

すみません。事情…とは?

明智 司

いずれ話す

明智 司

ところで強盗犯は今?

明智は遼の方を向いて尋ねた。

矢田野 遼

はい。今は取り調べ室に

明智 司

そうか

モブ公安

ところで矢田野くん…何かあったのか?

矢田野 遼

え?

上司がやや震えた声で遼のデスクの横にあるゴミ箱に目を向けながら言った。見ると先程握り潰したいちごミルクのパックが捨てられていた。

矢田野 遼

あっ、これは!

明智 司

さすが公安1の握力と腕力だな…
射的の腕前だけじゃないな

モブ公安

(あれ?なんか触れちゃいけないとこに触れた?俺が居ない間になんかキレてたのか?)

ゴリラ揃いの暗黒街課というのは承知の上だが、遼の握力と腕力には他のメンバーもドン引きレベルなのであった。

矢田野 遼

あ、あの!実を言うと…

矢田野 遼

最近この辺りで起きる連続集団虐殺について閃いたのですよ

明智 司

!?

矢田野 遼

それと、今回の警察官が殺害された事件と……

モブ公安

?何か関連しているとでもか?

矢田野 遼

えぇ。殺害の手口や連続殺人が始まった時期から考えると、同一犯かと

矢田野 遼

それと…8年前の”暗黒街課集団虐殺事件”の犯人かもしれません

明智 司

な、なんやと!?

モブ公安

ホントか矢田野くん!?

その言葉に2人は驚愕の声をあげた。

矢田野 遼

はい。俺の勘でもありますが

モブ公安

か、勘かよ…

明智 司

その勘で僅かながらの手掛かりになることもある。詳しく聞かせてもらおうか。

遼は先程この場に居なかった故、初耳だった明智と上司にもう一度説明をした。

〜取調室〜

ガチャッ

愛美は取調室のドアを開けて入った。そこには強盗犯が先に机に座らせており、愛美は対面で机に座った。

矢田野 愛美

さて、これからお前の事を全て洗いざらい吐いてもらうからな。覚悟しとけよ?

強盗犯

チッ…!

強盗犯は舌打ちをしながら愛美を睨みつけた。

矢田野 愛美

まずは犯行の動機から聞かせて貰おうか

強盗犯

………

強盗犯は黙り込み、目を逸らした。

矢田野 愛美

…当てようか。
金で雇われたんだろう?

強盗犯

!な、なんで…!?

矢田野 愛美

ほう…その反応だと当たりか

強盗犯

はっ!

矢田野 愛美

お前が雇先で金を儲けて、気が向いたら死んだと見せかけて次の雇先に転がり込む…というのを繰り返しているのは分かっている。

矢田野 愛美

今回もやはりそうだったか…それで?雇先はどこのどいつだ?

強盗犯

そ、それは……

強盗犯

…………

強盗犯は再び黙秘した。今度はどこか怯えているようにも見えた。

矢田野 愛美

どうした?口止めでもされているのか?

強盗犯

…い、言えねぇ。
それだけは言えねぇ!

矢田野 愛美

なに?

強盗犯

言ったら殺される…!

青ざめた表情で話し続ける強盗犯。

強盗犯

俺はそこに転がり込んでから分かったんだ…

強盗犯

そこでしくじった者はえげつない拷問をされた挙句に無惨に殺される…

強盗犯

だから言えねぇ!

叫ぶように言った強盗犯は冷や汗をかき、脚がガクガク震え、机まで振動していた。

矢田野 愛美

いや、その割には普通に喋ってんじゃねぇかよ

矢田野 愛美

ていうか…お前、何被害者ヅラしてんだよ

愛美は怒りを込めて言った。

矢田野 愛美

散々罪を犯しておいて、今度は被害者側へ転がり込むつもりか?ふざけるのも大概にしろ!!

バンッと机を叩いて怒鳴った。

矢田野 愛美

お前が今までやったことで、何人ものの罪の無い人が苦しんでいると思っている?

矢田野 愛美

そんな事も分からないのか…!

拳を握りしめて食いしばるように言った。すぐ側でこの内容をパソコンで記録している補助者も俯く。

矢田野 愛美

…それで、ショッピングモールで強盗したも、その雇先ってやつか?

一旦冷静になろうと息を1つ吐いてから質問した。

強盗犯

…そうだ。目的は聞かされなかった。俺はただ言われた通りに金と車を要求した

強盗犯

それでこのザマだ

矢田野 愛美

なるほどな…

愛美は少し黙り込み、考えた。

矢田野 愛美

(しかし、強盗するにはショッピングモールは相応しくないはずだ。…とすると、やはりコイツはただの捨て駒として利用されたのか)

強盗犯

刑事さんよ、俺が被害者ヅラしてるとか言ってたけどよぉ、今回は俺も被害者みたいなもんだったぜ?

すると強盗犯は先程と打って変わって、もう怖いものは無いとでも言うような態度と口調で言った。

矢田野 愛美

は?何を言う…!開き直るな!

強盗犯

後から気付いたんだけどな、俺が人質として銃を向けた女…思いっきり背負い投げされたんだがな

強盗犯

”殺戮の悪魔”だったかもな

矢田野 愛美

なっ…なんだと!?

強盗犯

ははっ…今思えば俺を捨て駒として使ったのはあの女と鉢合わせるためだったかもな……

不敵な笑みを浮かべながら言った。”殺戮の悪魔”は過去に逮捕したヤクザが口にした時がきっかけで、それ以来公安が重要視して追い続けているのだ。そのこと愛美は勿論、補助者も驚愕していた。

強盗犯

他にも有名人が居たぜ

矢田野 愛美

有名人?

強盗犯

あの赤いジャケットを羽織った関西弁の女。間違いなく”人間兵器”だったな

矢田野 愛美

なに!?

愛美は思わず立ち上がってしまった。

矢田野 愛美

な、なぜ”人間兵器”まで!?

強盗犯

さぁな。でも見た感じ、お友達っぽかったけどな

矢田野 愛美

なっ…

矢田野 愛美

…ということは、お前を餌にして、我々に”人間兵器”と”殺戮の悪魔”を捕えさせるためだったのか!?

強盗犯

まぁ…そういう事だな

こうしてしばらくして、取り調べは終わり、強盗犯は手錠をかけられ、留置所へ連行された。

愛美は取調室を出た後、自分のオフィスに向かう中、考察していた。

あの強盗犯はオレ達を引き付けるための餌として利用され、その矢先に”人間兵器”と”殺戮の悪魔”が居た、だと?

じゃあ…その黒幕の目的は……その2人への復讐か?いや、仮に黒幕が何らかの犯罪組織の場合、隙を見て殺す可能性が高い。何か特別な理由が無ければそんな回りくどい事をする訳がない。

それも、よりによって裏社会で名の知れた銃の凄腕に快楽殺人鬼……。ていうか、アイツの言葉が正しければ、まさかのこの2人は友人関係だったのか!?

結局誰なんだ?どこのどいつなんだ? 公安を動かしてまでその2人を狙うとか……何が目的なんだ?

この合間に愛美は周囲の音や声は全く耳に入ってこなかった。

〜商店街〜

その夜、仕事が終わった愛美と沙友理は気分転換に中華街を通った。日頃の疲れを癒すご美としてタピオカミルクティーを買った。こんな時間に甘いものなんて太る?頑張ったからいいんです〜!

矢田野 愛美

ったく…とんだクズ野郎だったぜ

月嶋 沙友理

ホントにね

月嶋 沙友理

あの人、絶対に刑期を終えても また何かやらかして戻ってくるタイプよ

矢田野 愛美

だろうな笑

矢田野 愛美

(はぁ…それにあの取り調べから頭の中がゴチャゴチャする…貧血か)

タピオカミルクティーを1口飲んでからため息をついた。ちなみに愛美は貧血持ちです。いや、今は仕事終わりの一服(?)だ。違うことを考えよう。

……そうだ!

矢田野 愛美

ところで沙友理、最近はどうだ?

月嶋 沙友理

?何が?

矢田野 愛美

ほら、兄貴のことだよ
脈アリか?

月嶋 沙友理

えっ!?//////

恋愛話しをふっかけた。 実は沙友理は親友の兄であり先輩である遼に片思いしているのだ。愛美はそれを知っており、彼女の恋を応援してる。

月嶋 沙友理

う、うーん…///

月嶋 沙友理

あんまり進歩無し(´•ω•`)

矢田野 愛美

そ、そうか…

月嶋 沙友理

あ!そういえばこの前休憩の時にちょっと長く話せたわよ!

矢田野 愛美

おぉ!よかったじゃないか

そんな恋バナをしながら商店街を進んで行った。

月嶋 沙友理

そういえば遼先輩と優介先輩は?

この話題でふと思った。シスコンである遼は宿舎へ帰る時、必ず優介と共に愛美と沙友理と同行する。つまりいつもは4人で帰っているのだ。

矢田野 愛美

兄貴は8年前の事件について警視総監と話しをしてる。優介先輩はいつも通り、兄貴の巻き添えを食らってる

月嶋 沙友理

あはは…優介先輩いつも遼先輩と強制的に同行されてるよね

矢田野 愛美

あれに至っては同行というより、強制連行だなありゃ

プルルルッ📞

すると愛美のスマホから着信音が鳴った。

矢田野 愛美

はい、矢田野です

矢田野 愛美

……あぁ、○○さん

取り調べ室の補助員からの電話だった。

矢田野 愛美

はい……はい…………

矢田野 愛美

はぁああ!??

月嶋 沙友理

Σ(OωO )ビクッ!?

思わず大声をあげてしまった。

矢田野 愛美

な、なぜだ…!は、はい……

矢田野 愛美

……わかりました

その言葉を最後に、電話を切った。

月嶋 沙友理

どうしたの?

矢田野 愛美

………っ

ピロン♪

月嶋 沙友理

ん?

沙友理のスマホからラインの着信音がした。ここでは言えない内容だからLINEしたということは、すぐに察した。

”今日捕らえた強盗犯が留置所で何者かに殺された。”

月嶋 沙友理

えっ……!?

衝撃のあまり言葉を失った。

月嶋 沙友理

どういうこと…!?
なんでそんな事に!?

矢田野 愛美

とりあえず、署に戻るぞ!

月嶋 沙友理

うん!

愛美と沙友理は踵を返して人混みを避けながら走って署に向かった。

〜商店街の裏道〜

早乙女 瑠花

…………

愛美と沙友理が署へ駆け出したところを……いや、その少し前に愛美を見かけた時から、瑠花は商店街の裏道から彼女たちを目をつけていた。

早乙女 瑠花

(やっぱり何年経っても公安って変わんないのね…アレこそ死んでいい人間よ!)

(いや、あんなの人間じゃない。悪魔だ。悪魔なのはアタシじゃなくてお前らよ!!)

百峰 桃音

瑠花?

憎悪に満ちた瑠花の背後から桃音が声をかけた。その隣には凜々愛と麗もいた。

早乙女 瑠花

あ〜!桃音じゃん!

早乙女 瑠花

それに凜々愛に麗も!

瑠花は振り返って笑顔で明るく言った。

百峰 桃音

こんなとこ止まってて、
なんかあったん?

早乙女 瑠花

べっつに〜?
なんにも無いわよ!

本当は警察目ェつけてた ………なんて言えない。 瑠花は感情を覆い隠して答えた。

姫宮 麗

(瑠花ちゃん…いつも明るいギャルだけど、今の瑠花ちゃんは何か違う気が…)

百峰 桃音

ふーん…

百峰 桃音

(いや、今明らかにえげつない殺意感じてたで?絶対なんかあるやろ)

百峰 桃音

(………って聞きたいとこやけど、聞かん方がええか)

桃音は瑠花の反応を見て心の中でそう言った。桃音は射撃以外にも、ちょっとした特技があった。それは下手な芝居だけは見破れることだ。 そんな芝居打った瑠花を、凜々愛は疑いの目で見つめていた。

早乙女 瑠花

ねぇねぇそれよりさ!

早乙女 瑠花

みんな今夜暇?
うちで女子会ってやつ?しない!?

瑠花は目を輝かせて言った。

姫宮 麗

いいわね!瑠花ちゃんの家初めてだわ!

百峰 桃音

ウチもやわ

神楽 凜々愛

……ボクも

瑠花は背を向けて歩きだした。彼女の自宅はそっち方面のようだ。桃音と麗はその後について行った。

神楽 凜々愛

……ねぇ、瑠花

3人が歩く中、1人立ち止まったままの凜々愛が口を開いた。

早乙女 瑠花

な〜に〜?

瑠花は立ち止まり、振り返った。

神楽 凜々愛

……ここで聞くのも、
どうかと思う…けど

早乙女 瑠花

ん〜?

神楽 凜々愛

……最近ニュースでさ、警察が殺されてる事件、結構あるよね?

早乙女 瑠花

瑠花が動揺した。 ……ちょい、まさか

神楽 凜々愛

……アレ、瑠花がやったんだよね?

ギクッ!

早乙女 瑠花

っ!!

百峰 桃音

ま、まさか…瑠花

姫宮 麗

…嘘っ

場の空気が凍りついた。例の警察が惨殺される事件の犯人が瑠花だったのだ。

早乙女 瑠花

…あっははは。バレちゃったか〜

瑠花は作り笑いをして言った。見ればわかる。心は全くもって笑っていない。

早乙女 瑠花

そーだよ。アレみんなアタシが殺ったんだよ

明確な発言で他の3人は驚愕した。

神楽 凜々愛

……どうして?表社会の人間は殺さないって、”IBUKI”に入る前から言ってたじゃん?

早乙女 瑠花

それは殺してないよ〜?

百峰 桃音

いや…警察やって表社会やで?

早乙女 瑠花

…桃音たちはアレが人間だって思ってるの?

瑠花は真顔で言った。

早乙女 瑠花

裏社会や警察…てか公安はさ、みんなアタシのこと”殺戮の悪魔”って悪魔呼ばわりするじゃん?

「でも本当の悪魔なのは警察なんだよ。」

百峰 桃音

どういう事…?

ガラッと雰囲気を変えて言う瑠花に恐る恐る問う桃音。

早乙女 瑠花

どういう事って、
そのまんまだよ!

早乙女 瑠花

マフィアも警察も、アタシから見たら同じようなものってこと!

早乙女 瑠花

…いや、警察の方が憎くて仕方ないわ!あんなクズの偽善者の集団!!

感情任せに叫んだ。 気が狂ったようにだ。

姫宮 麗

る、瑠花ちゃん…!ちょっと落ち着いて!ちゃんと話そ?ね?

早乙女 瑠花

うるさいっ!!

早乙女 瑠花

何も知らないくせに…なんでこのタイミングでアンタらが来ちゃうのかなぁ…!

麗の言葉に反発した。桃音と凜々愛は瑠花にかける言葉を考えるがなかなか見つからない。

早乙女 瑠花

あとちょっとであのサツ…桃音を殺しかけたサツを殺れそうだったのに…!

百峰 桃音

警察が狙い…?

百峰 桃音

(てかさっきそこに矢田野のクソガキおったんかい!?)

早乙女 瑠花

そーだよ!アタシさ、裏社会の奴らの血塗れで苦痛で歪んだ顔が超好きじゃん?

早乙女 瑠花

ほんとはサツの方がもっともっとずーっと心地良いのよ!!

また気が狂ったかの様に……いや、”〜の様に”とかではない。仕事で同行する時によく見る彼女、狂気に満ちた”殺戮の悪魔”そのものを表していた。

百峰 桃音

てか!そもそも”IBUKI”は任務以外で、ましても標的以外は殺したらアカンて知ってるやろ?

百峰 桃音

なんで警察を殺す方が心地良いん?マフィアとかヤクザだけじゃ気が済まんくなったん!?

早乙女 瑠花

だってアタシの家族は!!

早乙女 瑠花

アタシの親父や組のファミリーは皆!!

「公安に皆殺しにされたんだよ!!」

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