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次の日。
目が覚めるとわたしは奈琴に連絡を取った。
天樹奈琴(あまぎ なこと)
寝起きなのか、ゆるふわボイスをケータイの奥から撒き散らす奈琴。
しかし、
木崎姫歌(きさき ひめうた)
わたしがそう言うと、
天樹奈琴(あまぎ なこと)
と、引くくらい沢山の情報を与えてくれた。
吾蓮に今の話を聞かせてやりたいものだ。
本物のストーカーはかくあるものだ、と。
その後も奈琴は吾蓮に関して、微に入り細を穿ち丹念に丁寧に執拗にしつこく粘着質に執着を持って教えてくれた。
途中から願望とも妄想ともつかない発言を繰り出し始めたが、全無視。
必要な情報だけを抜き出して頭に収めていく。
情報化社会を生き抜くためには必須のスキルである。まあ、変態の情報屋(イケメン限定)からの情報でなければ、そう必要もないスキルではあろうが。
しかし、このクソ女を調子に乗せ過ぎてはいけない。
天樹奈琴(あまぎ なこと)
天樹奈琴(あまぎ なこと)
天樹奈琴(あまぎ なこと)
などと、愚にも付かない妄想に他人を介入させ、その上で貶すという最悪なコンボを見舞ってくれるからだ。
誰がメスブタだ、誰が。
天樹奈琴(あまぎ なこと)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
天樹奈琴(あまぎ なこと)
流石に聞くに堪えない、表現に堪えない言動が目立ってきたので、友人として現実への帰還命令を発した。
奇行にはもう慣れっこだが、ついていけるかどうかは、また別の話である。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
ふと枕元に目をやると、時計は八時を示していた。
そろそろ階下に降りなければいけない時間だ。無駄話で時間を食っていたようである。
木崎砂姫(きさき さき)
扉の向こうから妹の声も聞こえて来た。情報収集もここらが潮時だろう。
そこでわたしは、最後に一つだけ奈琴に訊ねた。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
天樹奈琴(あまぎ なこと)
再びトランスモードに入る奈琴。
例によって必要な情報だけを頭に残し、わたしは深く深く、
笑みを浮かべた。