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知輝
徠菜
知輝
徠菜
屋上に来て欲しいな、
知輝
多分また、告白される。
これは自惚れてる自覚はあるが、僕はよくお金目当てで告白される
僕はそこそこお金持ちな方の家柄だから、そんな僕と結婚したらって女の子達が僕自身ではなく
僕の家がもってるお金の方に目が眩んでいる。
父さんも母さんも早く彼女を作りなさいという。
それも多分僕が今まで彼女を作ったことが無かったからだろう
けど僕は彼女を作るつもりはない
なんでって言われたら…そうだな…例えば
君が一人の主人公だったとする
しかも
お金持ちでなんでも出来て顔もそこそこ整ってて女の子に対しての対応も完璧
そんな人を見つけたら女の子1人は君を好きになる。
だけどその女の子達は君じゃなくて
多くはお金を夢見ている。言えば本当の君を見ていない。
それでも君は、
彼女が欲しいと思う?
知輝
そうボソッと呟く。
徠菜
知輝
徠菜
知輝
彼女もまた、僕のお金に惹かれている1人だろう。
いつも僕は思う。
なんでこんな家に産まれたんだろうって。
とある雨の日、元気な産声を上げて産まれた僕。
そこから間違えてたのかもしれない
産まれてからずっと、家で母さんと父さんとまともに話したことはなかった。
話したとしても必要最低限な事。
僕は幼いながらに思った。
“これ”はひとつの試練だと
これは僕に必要なものなんだと
そうやって自分を誤魔化していた
母さんは頭が良く、よく僕に勉強を教えてきた。
父さんは演奏で世界に行った。よく僕に演奏の仕方を教えてきた。
答えがひとつでも間違っていれば母さんからこっぴどく叱られる
弾く場面をまた間違えれば父からぶたれる
叱られるのも、ぶたれるのも、これも必要なものなんだと信じてやまなかった。
父
知輝
父
そう言ってぶたれる。 成人男性の手は固く、そして重かった。 痛いと言えば痛いが泣きだしたら更に父さんからも叱られるので幼ないながらに我慢していた。
知輝
父
父
父さんはひとつ大きな溜息をつきながら他の人への指導を始める。
父
父
そう言って生徒を褒める父さん、僕にはそんな事言ってくれたことないのに
父さんはお気に入りの生徒にはこっぴどく甘い、吐きそうなくらいには。
けどお気に入りじゃない生徒もいる、だがその生徒にも猫を被って接している
それなのに、僕には、僕だけには
厳しかった
僕は何回やめようとしても、挫けても、もしかしたら父さんに褒めてもらえるかもしれないと淡い期待を抱いて演奏を続けた。
僕は父さんも怖くて嫌いだったがそれよりも怖いのは
母さんだった。
母
知輝
母
母
母
簡単なことと母は言うが幼い頃の僕にとっては難しかった。
けどこれをこなさないと、また母さんに怒られるから
昔、勉強をしなかった日が1日だけあった。母さんが出張でいなかった時。
僕は少しだけ嬉しかった。
何故って?母さんと会わずに済むから。
それでも、地獄はやってくる
1日だけ勉強をしていなかったと、さっき僕はそういった。
僕は勉強を久しぶりに休めて嬉しかった。
けど、次の日にこっぴどく母さんに叱られた。
母
母
知輝
母
そう言って僕を叱ってくる母さん
酷い時は1時間以上は叱られていた、正座するのは当たり前。
いつも叱られたあとは足が痺れていたのを思い出す
母
そうやって僕を叱ってくる母さんと
父
こうやって殴ってくる父さん
僕は幼ないながらに頑張っていたのに、それを踏みにじられていたような気がして
知らない人に越されたような気がして
助けてと言っても助けてくれないような気がして
辛かった。
それでも生きていられたのは
柊弥
彼、柊弥のおかげだ。