白鳥美鈴
菜穂
白鳥美鈴
私の感覚がおかしかったら言ってほしいのだけれどもしかして彼は普通の良家の息子して育ってはいない...のかしら
さきほど彼が流した涙 あの涙は演技ではありえまい
彼は正真正銘私の何気ない言葉で泣いた
菜穂
そうですわねぇ...
えぇ...えぇ...
えぇ...えぇ...
白鳥美鈴
事情を尋ねたら話すと思う?
菜穂
それは難しいでしょうねぇ...
白鳥美鈴
でしょうね
白鳥美鈴
菜穂
それとなく探りを入れてみて
それとなく探りを入れてみて
白鳥美鈴
私は外から少し深澤を調べてみるわ
菜穂
かしこまりました♪
菜穂
それにしてもお嬢ちゃんいつになく婚約者さまに興味津々ですこと♪
白鳥美鈴
...言わないで
わかってるわ
わかってるわ
認めます これまで会ってきた婚約者候補の男性たちの中で彼に一番興味を惹かれている
思い出してみると 最初から彼は変わってた
自己紹介の後ほぼ無視されているにもかかわらずこちらがいいと言うまで頭を上げようともしない令息など見たことも聞いたこともない
菜穂
照れなくてもよろしいのですよ♪
白鳥美鈴
照れてないし菜穂が考えているような意味で彼を知ろうとしているわけでもないです
菜穂
まぁまぁ
そんなことじゃあ一生独り身ですよ
そんなことじゃあ一生独り身ですよ
白鳥美鈴
...
失礼なと言いたいところだけど 婚約者が逃げ出していく記憶の数々
彼らに未練なんて欠片もないけどならば私はどういう相手なら受け入れるのかと自問してもよく分からない
菜穂
菜穂はいいと思いますよ♪
お嬢ちゃんの旦那様に♪
お嬢ちゃんの旦那様に♪
白鳥美鈴
そう?
菜穂
えぇ♪そうです♪
白鳥美鈴
やけにきっぱり言い切るわね
たった3日でどうやら 菜穂は彼をいたく気に入ったようね
深澤家はどのような家なのか 彼はどんな環境で育ってきたのか
深澤家は白鳥家と同じ良家の家柄ゆえに当主の名くらいは覚えているけれどそれだけだ
婚約関係を続けるにしろ解消するにしろ詳しく調べる必要があるでしょう
白鳥美鈴
(厄介な事実が出てこないといいけど...)
ただでさえ多くない良家が さらにどうにかなる事態はごめんだわ







