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小紅姫

ね、ねえユーリさん

小紅姫

それって、さっき雑談投稿してたやつ?

ユーリ

そうです

ユーリ

Htttps;//XYZ.sn……

ユーリ

こちらから、アカウントを作ることが出来ます

小紅姫

それって大丈夫なの?危なくない?

ユーリ

大丈夫です、決して危ないものではありません

ユーリ

セラーノベルの運営にバレることはありませんし、貴方がこちらに来られても、決して不都合にはなりません

ユーリ

それに何かあれば、私達が責任を持って、小紅姫さんから危険を取り除きます

小紅姫

そうなんだ……!

なら安心だ。だって、ユーリがそういうのだから。

フォロワーの誰よりも、自分のことを気にかけている人が、そういうのだから。

小紅姫

きっと、あの時の嫌な予感は、勘違いかなにかだよ

小紅姫

だってこんなに、私のことを考えてくれてるんだもの!

つばきは意を決して、新規ユーザーのページへと飛び、必要な情報を入力していく。

小紅姫

早速登録してるよ!

ユーリ

ありがとうございます!

ユーリ

出来たら、教えてくださいね

小紅姫

後ちょっと〜……!

小紅姫

小紅姫

できた!

ユーリ

おや、アイコンは先日投稿した、あの顔写真ですか

ユーリ

これならすぐに、お迎えに上がれそうですね

小紅姫

やったー!

小紅姫

小紅姫

私、なんだか涙が出てきちゃった……ポロポロ……

小紅姫

何も悪いことしてないのに、運営さんにいじめられて

小紅姫

フォロワーさんにまで沢山迷惑かけて……ポロポロ

小紅姫

リアルでは嫌な一軍女子に絡まれたりするし?

小紅姫

私、本当に何も悪くないのに……!!

小紅姫

小紅姫

でも嬉しいの!こんなに愛されてるんだって、分かって!

小紅姫

だからちゃんと、ユーリさんにはお礼をしたいな

小紅姫

本当にありがとう、ユーリさん!

ユーリ

ユーリ

小紅姫さん、貴方は強い子ですよ

ユーリ

嫌な思いをしながらも、懸命に耐え抜いて

ユーリ

だからこそ、これだけ多くのフォロワー、つまり貴方の味方が生まれたんです

ユーリ

小紅姫さん。私は貴方に出会えてよかった

ユーリ

こちらこそ、感謝の気持ちで一杯です

小紅姫

ねえ、これからも私達、一緒におしゃべりしてくれる?

ユーリ

当たり前ですとも!

塵も積もれば何とやら、2人のやりとりの数はすでに、100を超えていた。

ユーリ

では、新しいSNSでも、よろしくお願いします

小紅姫

なんだかワクワクしてきた!

ユーリ

私達のSNS、『XYZ』へようこそ、小紅姫さん

小紅姫

うん、向こうでも沢山仲良くしてね!

このコメントが、セラーノベルにおける、ユーリの最後の書き込みだった。

後日ユーリの投稿は、何もかもが綺麗さっぱり、消えることになる……

大手SNS、XYZ。

そこに、小紅姫……つばきの姿はあった。

フォロワー欄には、ユーリを初めとするユーザーが数名、早速名を連ねている。

中にはセラーノベルもこちらも運用している、気力と体力があるユーザーの姿も見受けられた。

小紅姫

小紅姫

よし、初投稿完了!

小紅姫

ランドセルとかが写ってないか、ちゃんとチェックしないとね

小紅姫

ここって、そういうチェックが厳しいみたいだから、慎重に!

小紅姫

年齢制限?とかで、アカウントがまた消えないようにしないと!

小紅姫

一応、念には念を入れて……

小紅姫

小紅姫

プロフィールの所に、「学生です」って書いておこう!

小紅姫

そうしたらここの運営は、私が何学生なのか分からなくなるでしょ!

小紅姫

私ってあったまい〜い!

小紅姫

あ!

小紅姫

さっきの投稿、いいねがつき始めた!

小紅姫

けど、ちょっとしょぼしょぼ〜

小紅姫

こんなに待っても、いいねは6?

小紅姫

フォロワーの数より少ないじゃん

小紅姫

ユーリさんとそのお友達さんが、見てくれるんじゃなかったの?

小紅姫

セラーノベルみたいに、小さなところじゃないから、反応が薄いのかな?

小紅姫

それに……

つばきは画面をスクロールして、フォローバックしたユーリ達の投稿を眺める。

そこにはつばきを話題にしている者などおらず、ゲームのスクリーンショットや、面白みのない食事の写真が並んでいた。

小紅姫

なにこれ、つまんな〜い!

小紅姫

セラーノベルでは、あれだけコメントしてくれてたのに!

小紅姫

フォロワーって所詮、数合わせの為だけの消耗品なんだ!?

騙された、と思い込んだつばきだったが、ここであるものが目に入った。

あなたへのオススメとして表示された、1つのポスト。

そこにはずらりとタグが並び、自然な加工が施された美少女の写真があった。

小紅姫

タグ多っ……はっ!そうか、タグ!

小紅姫

前までは #雑談とか、#雑だぁぁぁぁん!!とか、そういうのを載せるだけでも見てくれる人はいたけど

小紅姫

ここってサイトが大きいから、それだけだと埋もれちゃうんだ!

小紅姫

そういう事だったんだね!

小紅姫

反応しないんじゃなくて、出来なかったんだ!

小紅姫

それなら許してあげるよ、みんな☆

小紅姫

次の写真はタグを新しく付けて、加工はあの写真のように見せて〜

しばらくすると、画面には、小紅姫の愛らしい笑顔が咲いていた。

画像加工を散々繰り返した結果とは思えないほど、自然な仕上がりである。

それだけでは無い。その写真の投稿には、セラーノベルの雑談投稿以上の、大量のタグが付いていたのだ。

小紅姫

ハァ、フゥ……やっと、やっとできた!

小紅姫

あのポスト?の真似だけど、どうかな

小紅姫

みんな見て

小紅姫

って、え!?

彼女が驚くのも無理はない。

なんと投稿から1分も経たないうちに、いいねやコメント、拡散といった反応が続々と寄せられたのだ。

小紅姫

これは想像以上の反響かも

小紅姫

わ、わあ!

小紅姫

そんなに時間も経ってないのに、みんながいいねを返してくれて……

小紅姫

コメントも可愛いってやつばっかりで、否定しないでいてくれる!

小紅姫

それだけじゃない!拡散してくれた人から、更に別の人に拡散されて!

小紅姫

すごい、すごいすごいすごい!

小紅姫

通知が止まらないよ!

フォロワー

はじめまして!とても可愛いですね、フォロー失礼します!

フォロワー

幼気な感じがして好きなので、是非フォローさせて下さい!

フォロワー

頑張ってください!応援しています!

フォロワー

拡散しました!これからに期待大!

フォロワー

友達にも教えました!とても可愛い方で羨ましい(´;ω;`)イイナ-!

フォロワー

その服、ベリーベリーラッキーのブランド物ですよね!?お金持ちですか!?

フォロワー

小物ひとつとっても、センスが良くってすごいんじゃ〜

フォロワー

元々はセラーノベルにいたんでしたっけ?沢山の人にフォローされてるんですね!

フォロワー

写真見てたらこっちまで嬉しくなりました(^-^)

小紅姫

大っきいSNSだからかなあ、みんなコメントが優しいよ〜!

小紅姫

みんなありがとう!ここでも楽しくやれそうだよ!

今日の夕食の写真とともに、つばきはポストを送信する。

まるで池にいる鯉や金魚のように、彼女の投稿に飛びつくフォロワー達を眺めながら、つばきは歓喜のため息を漏らした。

だが、その喜びも束の間。

先程までいいねを浴びる様にもらい、目にも止まらぬ速さで拡散されたのは、ほんの1時間程度の出来事だった。

小紅姫

もう、おしまいなの?

小紅姫

もう私には構ってくれないの?

小紅姫

なんで誰も何も言ってくれないのおおおおおお!!

画面の向こうでつばきが泣こうが、喚こうが、SNSの住民達はだんまりである。

小紅姫

また、セラーノベルにもどる?

小紅姫

いや!あそこはダメ、運営さんが敵なんだよ!?

小紅姫

せっかくユーリさんが、私を逃がしてくれたんだ

小紅姫

向こうのフォロワーのみんなにも、『XYZで活動する』ってコメントしちゃったし

小紅姫

今更後戻りは出来ないよ……!

小紅姫

もし逃げたら、ユーリさんの努力が無駄になる!

小紅姫

自分のアカウントを消された、ユーリさんの!

ユーリ

ユーリ

小紅姫さん、こんばんは

ユーリ

お夕飯の投稿見ましたよ、美味しそうでいいですね

小紅姫

ユーリさん!

小紅姫

ねえ、みんなが突然お話を止めちゃうの!

小紅姫

私の返信にいいねを付けて、それで終わり!

ユーリ

落ち着いてください、彼らにも生活があるんですから、仕方がないですよ

ユーリ

むしろ彼らを可哀想だと思ってあげた方がいいです

小紅姫

どうして?だって可哀想な目に遭ってるのは私だよ?

ユーリ

彼らだって、小紅姫さんを優先したくても、そうできないんです

ユーリ

貴方だって宿題や明日の準備で、どうしてもスマホから手を離すことはあるでしょう?

ユーリ

ですから、小紅姫さんは少し時間が経った頃に、また新しい投稿をすればいいんですよ

ユーリ

彼らは用事が終わったら、貴方の新しい投稿が見れて、幸せになれるでしょうね

小紅姫

あ、そっか!私って人気者だもんね!

小紅姫

でも……

つばきの不安は和らぐところか、むしろ拍車がかかった。

たった1時間で、自分の渾身の自撮りは消費されてしまう。 それに、自分だけを見ていてくれるわけではない。

彼らはまた別の投稿に群がって、その人を誉めそやすのだ。

小紅姫

面白くない

小紅姫

そんなの絶対に許せないんだから!

小紅姫

このフォロワーは私のフォロワーなの!他のヤツらの物じゃないの!

小紅姫

うぇえええん!

……などと叫びたい所だが、これではせっかくの新規フォロワーを無くしてしまうどころか、嫌われてしまうだろう。

小紅姫

わかった、少しだけ待つから

小紅姫

それまで次の投稿の準備をするね!

こうしてつばきは、なけなしの気力を振り絞って返信を返す。

ポチ、と着いたユーリからのいいねに、ほんの少しだけ、つばきの不安は和らいでいた。

しかしそれでは、根本的解決には至らない。

小紅姫

小紅姫

――なきゃ

小紅姫

作らなきゃ!

小紅姫

新しい写真を!新しいナニカを!

小紅姫

1時間でみんな見てくれなくなるなら、1時間おきに何か投稿出来ればいいんだ!

小紅姫

そうすれば、みんなはもっと私を見てくれる!

小紅姫

拡散してくれた先で、他の人も私を目にする!

小紅姫

こんなことしてる場合じゃない

小紅姫

写真、写真を……!

既に手に持っているというのに、つばきは自分のスマートフォンを探して、部屋の中を転げ回る。

瞬く間に『いいね中毒』を拗らせた彼女の体は、早速おかしくなり始めていた。

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