今日は圭子がいない
授業中は教師が目を光らせているため
特に攻撃されることもなく
安心して授業を受けることができる
しかしその安心と同時にイルは昼休みが来るのを恐れていた
ずっと攻撃の機会を狙っていた穂波は
微かな期待に胸を踊らせていたが
期末試験が近づいているからか
この日は昼休みになっても教師が居座っていたため
攻撃することができずにいた
坂井穂波
最悪……バカ松に攻撃できないじゃん!
高尾雄大
試験前だからみんなピリピリしてんじゃね?
吉崎隆
質問すんのに列できてるし
イルはその隙をついてトイレに逃げ込むが
それに気づいた女子達が後を追って何度も個室の扉を蹴った
女子生徒A
どうする?
女子生徒A
穂波ちゃん達呼ぶ?
女子生徒B
どうしよっか?
イルは耳を塞ぎじっと耐えていたが
頭上からバケツいっぱいの水が
突然イルの脳天を直撃した
浜松イル
きゃっ!
女子生徒A
うっわ~!
女子生徒B
やっちゃったー!
坂井穂波
ちょっとなにやってんの!?
女子生徒A
穂波ちゃん……
女子生徒B
ごめん、勝手に……
坂井穂波
担任に見つかったらどうすんの!
穂波は力いっぱい扉を叩く
坂井穂波
ねぇ!
坂井穂波
開けて!
イルは扉を開けようとしなかったが
穂波は後から来た雄大達の手を借り上から侵入
震えるイルの髪の毛を掴むと
浜松イル
いっ……
内側から扉を開け忍ばせていたハサミを取り出す
吉崎隆
ここでやんの?
坂井穂波
あっちはまだ先生いるし!
高尾雄大
それもそうだな
坂井穂波
あんたたち見張ってて!
女子生徒A
はーい!
女子生徒B
ぐふふ
浜松イル
や、やだ……
坂井穂波
はーい、あんたに拒否権はありませーん!
恐怖で震えるイルの髪を左手で掴み
右手に持っていたハサミで……
ジョキンッ!!
水に濡れ切られた髪が地面に落ちる
浜松イル
あ……
浜松イル
あぁ……
吉崎隆
すっげ……
高尾雄大
マジでやったよ……
女子生徒B
凄っ……
坂井穂波
みんな驚きすぎ!
坂井穂波
こんくらい余裕だから!
イルを指差し笑う生徒達
イルの瞳からは涙が溢れる
浜松イル
なん……で……
坂井穂波
はぁ?
坂井穂波
決まってんじゃん!
穂波は憎しみを込めて再びイルの髪の毛を掴む
浜松イル
いっ……
坂井穂波
ムカつくから!
坂井穂波
それ以外に理由なんてあると思う?
穂波は微笑みながら
掴んでいた残りの髪も
ジョキッジョキッ!
全て切ってしまった







