HAPPY NEW YEAR

そう言いながら隣でだらけているキヨくん でも、今年も本当に早く感じた …まあ、BANのときは時が止まった感覚だったけど、

もうすぐ年が明けるのにこんなにだらけているのは俺たちだけなんじゃないかと思う まあでも、こんな風にいつも通りが一番いいんだけどね

俺だって色んなとこお出かけしたりしたいけど、もともと引きこもりってのもあるし…けどやっぱり一番は人の目だよね ファンとかそういう人たち 自分で言うのもあれだけど俺たち結構人気なほうだし、キヨくんなんかは背が高いからすぐバレちゃうだろうし… 俺たちがそんなしょっちゅう二人で歩いてたら付き合ってる疑惑とかでるの面倒だし…まあ実際付き合ってはいるけどね

じゃあ、実況なんてやらなくて普通に一般人でいればよかったか何て言われたら決してそんなことは思わない だって、実況やってなかったらキヨくんとは恋人にも、友達にもなれなかったから もしかしたら違う形で友達になってたかも知れないけど、そうだとしても今みたいにはきっとなれなかったと思う イベントだって絶対開かなかっただろうし、あんな経験したからこそ思うことだってある それに、正直あれでさらに俺たちの距離はギュッと縮まったと思う お互いの良いところ悪いところ含め、ほとんど全部を知って好きになって今がある ほんと、人生って何が起こるかわからないなぁ…

そう言うとキヨくんはガバッと起き上がり俺を見て目をぱちくりさせた

少しキヨくんを睨みながらふとテレビの時刻に目がいく 時刻は11時58分だった …ん？58分…？

キヨくんの右手と俺の左手を重ね、緩く指を絡ませギュッと恋人繋ぎをする そして、お互いの間の膝の上に手をのせた

チュッ

グイッ

チュッ

お互い照れていると、テレビからカウントダウンが聞こえてきた 視線がテレビに行くと同時にどちらともなく固く手を握り身を寄せあった

3！

2！

1！

0～！

ゴーンと鐘が鳴る音が部屋に響く 向かい合うと、キヨくんが先に口を開いた

握っていない方の手も繋ぐ キヨくんの熱い目と視線が合い、スッと目を閉じる テレビの音をかきけすように頭のなかにチュッとリップ音が響いた そして、2023年初めてのキス、と目の前の彼が少し気恥ずかしそうにヘラッと笑った