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アルカマルの薄暗い廃棄病棟。 キラは膝を抱え、手の甲を見つめていた。
そこには、小さな砂時計の紋様が浮かぶ。 光らなければ、それはただの模様
能力が発動するとき その紋様は淡く輝き、周囲の"時間"を巻き戻す。
キラは息を殺す。 身体中に残る傷跡がズキリと痛む。
______父と母。 白衣 冷たい手 冷めた声
「この能力、どこまで使えるのかしら。」 「臨床データが必要だ。」 麻酔があまり効いておらず、痛みで泣き叫んでも誰も助けてくれなかった
そしてある日。
能力は発動しなくなった。
父と母は血相を変えて怒鳴り、キラの髪を掴んで 「利用価値の無い子どもなど要らない」 と吐き捨て、キラをアルカマルに "処分"として送り込んだ。
キラ
目を閉じたその瞬間_____
憬
低く硬い声がした。 キラは反射的に後ずさる。
薄暗い廊下に立っていたのは、黒髪の青年。 無機質な瞳が此方を射抜く。
有月憬
その後ろから、豹の様に身軽な少年が覗き込んだ
楽
楽
憬
キラは身を縮め、震えた。 この二人は誰なのだろうと。
だが有月はゆっくり、しゃがんで目線を低くする
憬
憬
キラ
キラは微かに頷く。
その仕草があまりにも小さく、楽が目を丸くした
楽
憬
その言葉は キラが今までで一度も耳にしたことがない "優しさ"だった
______これが、彼らとの最初の出会い。
♡ 100