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栗原 紬希

善くんなんて

栗原 紬希

だいっきらい!!

紬希は部屋から出ていった。

どこかで気づいてたはずなのに

善くんが私のことを好きじゃないなんてこと

知ってたはずなのに…

いざ正面から言われるとすごく悲しい

どこかで私は善くんがキスしてくれる事を期待してたんだ……__

その時、ガチャと玄関の扉が開いた。

善の父親

…君、は?

栗原 紬希

…!

伊東 善

父さん!

後ろから善が声を上げる。

栗原 紬希

(善くんのお父さん…!)

善の父親

なんで泣いて__

栗原 紬希

す、すみ"ません"…

紬希は涙を流しながら善の父親の脇を通り過ぎ、

家を出ていった。

伊東 善

紬希ちゃん!

「紬希」という名前に善の父親の目が丸くなる。

善の父親

つ、むぎ…?

伊東 善

…俺の彼女だよ

善の父親

なっ…

すると父親は善の腕をガシッと掴んだ。

伊東 善

痛ッ…

伊東 善

なにすん__

善の父親

今すぐ別れなさい!!!

伊東 善

……、は?

ガチャ、とリビングへと入る。

栗原 理仁

ただいまー

…理仁!

おかえり

2人はダイニングテーブルに座っていて、理仁を見るとその場に立ち上がった。

栗原 理仁

ん?

栗原 理仁

何かあった?

……。

紬希は?

今日一緒に出かけてたんじゃないのかい?

栗原 理仁

……あー…

栗原 理仁

(紬希は善と話があるとか言って__)

栗原 理仁

友達と遭遇して、俺は先に帰ってきたんだ

そ、そうなのね…

栗原 理仁

(2人の様子がおかしい…)

栗原 理仁

なに?なにか隠してる?

……

お父さん…

ええ。そうだね

理仁。少し話があるからこちらへ来なさい

栗原 理仁

……う、うん

栗原 理仁

(何か嫌な予感がする…)

何か

すごく嫌な予感が___

理仁は黙って2人の話を聞いていた。

〜〜〜ということ、なの…

栗原 理仁

……っ

栗原 理仁

なんで

栗原 理仁

なんでそんなこと黙ってたんだ!!

理仁。落ち着け

理仁の気持ちも分かるわ…

だけど……これが菜々子(ななこ)の願いなの…

栗原 理仁

……

理仁はぎゅっと拳を握りしめていた。

栗原 理仁

…このことは

栗原 理仁

俺が伝える

栗原 理仁

俺から__

栗原 理仁

紬希に、言う

……

……

紬希は夜道を1人歩いていた。

栗原 紬希

……っ

善くんのお家から逃げてきちゃった…

善くんのお父さんにも色々勘違いされたかな

栗原 紬希

(私たち、別れなきゃいけないんだよね…)

栗原 紬希

(ちゃんと話さなきゃいけないのに…)

私はいつも逃げちゃう…

こんな弱い自分やだ…

栗原 理仁

紬希っ!!

栗原 紬希

栗原 紬希

お兄ちゃん!?

紬希は振り向くと、息の上がった理仁がいた。

栗原 紬希

なんでっ

栗原 理仁

……

栗原 理仁

話が、あるんだ

栗原 紬希

え……?

栗原 紬希

はな、し?

善くんのことでいっぱいいっぱいなのに

お兄ちゃんまで何なんだろう…

善と父親は話をしていた。

伊東 善

うそ、だろ……

伊東 善

父さん__

善の父親

今までこのことを隠してたのは悪かった

善の父親

でも紬希とお前がそんな関係だったら

善の父親

言うべきだと思ってな…

伊東 善

……

善は拳を握りしめた。

理仁は"このこと"を知っているのか…?

知っていたとしてもどこまで知ってる…?

伊東 善

(全部がむちゃくちゃだ…!)

とりあえず俺ができるのは…

俺は紬希ちゃんと恋人関係を切らなきゃいけないってことだけだ__

紬希と理仁は公園のベンチで座っていた。

栗原 理仁

………

栗原 紬希

…?

栗原 紬希

お兄ちゃん。話ってなに?

数分間、理仁は黙ったままだった。

何かを覚悟するかのように__

栗原 紬希

なにか怖いよ、お兄ちゃん…

栗原 理仁

………ふぅ

覚悟を決めたように理仁は紬希のことを見つめた。

栗原 理仁

俺はどんな事実があっても紬希の味方だ

栗原 理仁

一生、紬希は俺の妹ってことを忘れるな

栗原 紬希

…?

理仁はゆっくりと深呼吸をして口を開いた。

栗原 理仁

実は__

栗原 理仁

俺と紬希は

栗原 理仁

本当の兄妹じゃない

栗原 紬希

……ぇ?

栗原 紬希

兄妹、じゃない……?

何を言ってるの?

お兄ちゃん、おかしいよ

栗原 紬希

私、物心ついた時からお兄ちゃんはお兄ちゃんだったんだよ

栗原 紬希

今更、何言って__

理仁の真剣な表情に紬希は言葉を失う。

栗原 紬希

(本気、なの……?)

栗原 理仁

…紬希は

栗原 理仁

俺たちの母親の友達の子供らしい

栗原 紬希

…え

栗原 紬希

パパとママの本当の子供、じゃない、の……?

栗原 紬希

私だけ血が繋がってない…?

栗原 理仁

……

栗原 紬希

やだ

ひとりぼっち

栗原 紬希

やだよ

ひとりぼっち

栗原 紬希

ひとりぼっちはやだよ…っ

ひとりぼっち

栗原 理仁

……っ

理仁はぎゅっと紬希のことを抱きしめた。

栗原 理仁

俺がいる

栗原 理仁

血が繋がってなくても

栗原 理仁

俺は紬希のお兄ちゃんだ

栗原 理仁

お前は1人じゃない!

栗原 紬希

……うっ

栗原 紬希

うわぁあ〜んっ

紬希は涙を流して

何時間も理仁の胸の中で泣き続けていた。

次の日の朝。

……紬希

朝よ。

栗原 紬希

…ん

紬希は重い瞼を開ける。

栗原 紬希

ママ…

栗原 紬希

(瞼重い…)

昨日あんだけ泣いたもん

腫れてるのかな

栗原 紬希

ママは…

栗原 紬希

ずっと私のママだよね

…紬希

聞いたのね、理仁から__

栗原 紬希

うん

母は紬希の頬を優しく撫でた。

ママは紬希のことも、理仁のことも

同じくらい大好きで愛してる

この愛は偽物じゃない

栗原 紬希

…!

今まで黙っていてごめんなさい

紬希の本当のお母さん……

私の友達でもある。菜々子が言ってきたの

紬希が家に来てから15年後に、このことを言ってって

そして昨日がその日だったの

栗原 紬希

……そうだったんだ

栗原 紬希

…私の生みの親の菜々子…さんは

紬希が物心つく前に死んだわ

栗原 紬希

だから貴方を預けたのよ、私に

菜々子は夫と離婚していたから__

栗原 紬希

………

栗原 紬希

私を邪魔だと__

思ったことない!!

紬希はたった一人の娘なの

これまでも、これからも

愛してるのよ

栗原 紬希

……っ、ママ__

紬希の目からぶわっと涙が溢れた。

そうだよ

ママとパパちゃんと私を愛してる

だから

大丈夫

きっと私は1人じゃない

私の大好きなお兄ちゃんたち

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コメント

1

ユーザー

設定が良いな〜〜……!!お兄ちゃんの優しさが溢れ出てる(*˘︶˘*)💞 最高~~~っっ‼️✨️☆ミ

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