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夜猫🌸依頼事務所～厄災の魔女～

第61話 - 第61話『救出』

2023年07月16日

#オリキャラ

#戦闘

#ファンタジー

#一次創作

🌙夜桜猫🌸

バキバキッ！

シュッ！

バキッ！

ガギンッ！

飛んでくる鋭い氷柱を黒い鎌が斬った。

立浪義信

(…緩む感じが
しないな。)

立浪義信

(気温もさらに
下がっている気がする…)

立浪義信

(このままでは
身体に悪影響が出る
可能性がある。)

立浪義信

(一旦、この場を
離れるか？)

立浪義信

(しかし、
壱の容態が…)

最悪な状況ね。

立浪義信

ッ！

義信は突然の声に驚き振り、後ろを返った。

すると、そこには見知らぬ女性がいた。

闇桜

……。

第61話

『救出』

バキッ！

バキバキッ！！

闇桜

(ドアが
開かなかったのは
こういう事だったのね。)

闇桜

(どうしたら
ここまで…)

立浪義信

…君は誰だ？

闇桜

…職場の仲間よ。

闇桜

貴方は、
青君のお父さんよね？

闇桜

彼は
どこにいるの？

立浪義信

…あの氷塊の中だ。

闇桜

ッ！

闇桜は義信の見ている方向に向く。

遠くには一際目立つ氷塊があった。

闇桜

(…2つに分離してる。)

闇桜

まさか、
切り離したの？

立浪義信

あぁ、切り離した。

立浪義信

その後、
あれが暴れ始めた…

闇桜

…大変な事を
したわね。

立浪義信

そうだな。

立浪義信

(時間が立てば
あれは消滅するだろう。)

立浪義信

(だが、壱の方が
心配だ。)

立浪義信

(呼吸が弱って
いた事が気になる…)

闇桜

…それは
そうなるわね。

立浪義信

ん？

闇桜

青君が
倒れているのは
魂が半分に
なったからよ。

立浪義信

(魂が半分？)

闇桜

貴方が
切り離したからよ。

立浪義信

(私？)

立浪義信

私が切り離したのは
壱に取り憑いた
悪霊だが…

闇桜

それが青君の魂の
半分なのよ。

闇桜

悪霊はね、
取り憑いてたんじゃ
ない。

闇桜

彼の半分の魂と
同化して存在してたの。

立浪義信

なっ、

闇桜

そうなった理由は
分からないけれど、

闇桜

青君の本来のと
あれと同化したもので
1つの魂だった。

闇桜

魂はね
半分になってしまうと、
瀕死状態に陥るの。

闇桜

今は青君が
倒れてるのは
瀕死状態だから。

闇桜

本来ならば
青君が制御しているから
あれは暴走しないけれど、

闇桜

切り離された事で
制御がなくなり
暴走を始めた。

闇桜

さらに、死を感じて
怒りと憎悪に
満ちている。

闇桜

もしあれが魔力を
使い果たして
消滅すれば、

闇桜

青君は二度と
目覚めない。

立浪義信

……。

闇桜

今のところは、
共存するしかない。

闇桜

でも、それは
問題なかったわ。

闇桜

あれは青君本人が
怒りや恐怖、不安を
感じなければ
大人しいの。

闇桜

そして、
彼の命に関わる事を
しなければね…

立浪義信

…私が壱を
危険に晒したと？

立浪義信

(そんな危険性は
聞いていない。)

闇桜

何を吹き込まれたか
知らないけれど、

闇桜

今の起きている
状況が事実よ。

立浪義信

……。

闇桜

どうして止めなかったの？

闇桜

本人は拒んでたんでしょ？

立浪義信

不自由は
いずれ幸せを
壊す事になるからな。

立浪義信

そうなる前に
取り除いてやりたかった。

立浪義信

(今まで沢山
見てきた。)

立浪義信

(特質等の
大切な人を傷つけ、
自らを壊し、)

立浪義信

(悲惨な最後で
終わった人達を…)

闇桜

…貴方は家族を
大切に思ってるかも
しれない。

闇桜

でも、
今している事は
逆じゃないかしら？

闇桜

貴方がそれを
求めるあまりに
家族の幸せを
壊している。

闇桜

取り戻せない程にね、

立浪義信

……。

闇桜

それに8年の間、
青君やお母さんの
どんな気持ちでいたか
知ってる？

闇桜

何を望んでたか分かる？

闇桜

彼らはね、
不自由の元を除く事は
望んでなかった。

闇桜

それよりも、
一番望んでた事が
あったのよ。

立浪義信

望んでたもの…

闇桜

まぁ、それは
私が言うより本人に
聞きなさい。

闇桜

私から言う事
じゃないから…

立浪義信

…だが、
壱はもう…

闇桜

…本来なら、
そうね。

闇桜

でも、大丈夫よ。

闇桜

私が治す力を
持っているから…

闇桜

だから、
治ったら
彼と話しなさい。

闇桜

言葉に耳を傾けて
表情をみて…

立浪義信

……。

闇桜

とりあえず、
今は危険だから
この空間の
外に出てて。

闇桜

貴方がずっと
ここにいると
凍死するわ。

闇桜

終わったら、
呼びに行くから。

闇桜は義信の横を通り過ぎ、氷塊の方へ向かう。

…オマエラモオナジクルシミヲ…

闇桜

(完全に敵だと
認識してるわね。)

ポワッ

バキバキッ！！

シュシュッ！

闇桜に向かって無数の鋭く小さな氷柱が放たれる。

チャリリリッ！

闇桜は黒い鎖が交差し動く壁を生み出し、氷柱を弾く。

ユルサナイ…

…オチロ…オチロ…

闇桜

(いつも以上に
怒りや憎しみの声が
聞こえる。)

闇桜

(見てたら、
頭が痛くなるわね。)

チャリリッ！

ギンッ！

闇桜は鎖を操作し、氷塊を狙って放つ。

だが、鎖は氷塊に当たると弾かれ地面に落ちた。

闇桜

(…頑丈な氷塊ね。)

闇桜

(鎖から魔力を
流して壊そうと
考えてたけど…)

闇桜

(氷塊に触れて
魔力を流して
壊すしかないわ…)

闇桜

ッ

シュッ！

闇桜が後退した瞬間、地面から勢い良く四柱の氷が伸びる。

バキバキッ

闇桜

ッ！

上方から音が聞こえ、闇桜は見上げる。

すると、天井には複数の鋭い氷柱が垂れ下がっていた。

ポワッ

シュッ！

そして、それは勢いよく落下し、

大雨のように降り注ぐ。

チャリッ！

ザザザザッ！

闇桜

ッ

闇桜は黒い鎖を球体上に囲い、防いだが、少し遅く闇桜の身体に氷柱が掠る。

闇桜

(攻撃を緩めるには
私の本来の魔法を
使う必要があるけれど、)

闇桜

(でも、今の
状況からはただ
使うだけじゃ
あれに効かない。)

闇桜

(精神的なものだから
彼らにとっての…)

シュッ！

闇桜

うッ

バキンッ！

闇桜は左から勢いよく伸びた四柱の氷に直撃し、空間の壁にぶつかった。

闇桜

…痛っ…

ポタッ

闇桜

(…ちょっと
切れちゃったわ。)

闇桜の頭の右から血が垂れる。

…オチロ…

…クルシメ…

…ユルサナイ…

闇桜

(…青君の気持ちも
混じってるのかも
しれないわね。)

闇桜

(お父さんに対しての…)

数時間前

～夜猫依頼事務所～事務員室

闇桜

…そうだったの。

闇桜

青君のお父さんが
あの施設に…

青影

変わらず
働いてるみたいですね。

闇桜

変わらず？

青影

あの施設は
医師になってから
ずっと務めてる
場所みたいです。

青影

捜査の中で、
分かった事なんですが、

青影

最初は本当に
いい施設で
問題なかった
みたいですよ。

青影

でも、いつ頃か
悪事を始めたみたいで…

青影

その頃に
父親も一緒に…

パキパキッ

青影

…あの日を堺に
父親のことを考えると
凍り始めるんです。

青影

それに、
怒りや憎しみの
声が聞こえてくる…

闇桜

青君もかなり
怒ってるじゃない？

青影

…そうですね。

青影

あの日を
台無しにされた事、

青影

さらに、危険な
薬を作って他の人の
人生を奪った事が
許せなくて…

闇桜

そう…。

青影

…でも、
一番は悲しみですね。

青影

自分の父親が
悪い事をしている事に
対しての悲しみ…

青影

それと、6歳の時
から父親と一切
顔をみてないですよ。

青影

家にはほぼ
帰ってくる事が
なかったから…

青影

帰ってきても
深夜ですぐ施設に
戻ってましたし…

青影

つまり、
会えない寂しさですね。

青影

(あの時が一番
悲しかったな。)

闇桜

(…寂しい思いを
したのね。)

青影

…もし、今夜
父親と会うならば
何としてでも
止めるつもりです。

青影

(最悪は、
殺してまででも…)

闇桜

殺しは駄目よ。

青影

誰かに危害を
加えるぐらいなら、
構いません。

青影

自分の手で…

青影

(これ以上、
悪事に手を染めてる
父親を見たくない。)

闇桜

…でも、青君は
そんな事
したくないでしょ？

闇桜

お父さんの事は
嫌いじゃない
みたいだし、

闇桜

きっと後悔するわ。

闇桜

それに、お父さんに
言いたい事
あるんでしょ？

青影

…やるしかない
んですよ。

青影

俺が伝えようとしても
あいつは聞こうとしない。

青影

聞こうとせず、
自分の正しいと
思った事をする。

青影

(きっと、
7年間と同じ事を
するだろうな。)

闇桜

青君…

青影

でも、もし
話が出来るなら
話したいですね。

青影

それは俺がずっと
望んでた事なので、

青影

口喧嘩ではなく、
楽しい談話を…

闇桜

(…そうよ、
話をしないと…。)

闇桜

(青君もお父さんも
このまま終わる
なんて駄目よ…)

ズキッ！

闇桜

うッ

闇桜の右ふくらはぎに地面から生えていた細い氷柱が貫通している。

闇桜

(…早く立たないと。)

闇桜

(次の攻撃が
来る前に…)

バキッ

闇桜

(あれ、抜けない…)

闇桜は右ふくらはぎに刺さる氷柱の根元を折り、立ち上がろうとしたが、

足首が小さな氷柱が交差している隙間にはまり、抜けなくなっている。

バキバキッ！

氷塊から巨大な氷柱が勢いよくはえ、

闇桜の方へと急速に近づいてくる！

闇桜

(早く逃げないとっ！)

闇桜

うっ…

闇桜は足首を動かす。

しかし、氷柱はビクともしない。

闇桜

(…駄目、
間に合わない。)

闇桜

ッ

バキバキッ！！

闇桜

…え？

闇桜

(攻撃を
逸らした？)

突然、氷柱は数メートル直前で左に逸れた。

闇桜

(どうして？)

氷柱が逸れた直前の地点、そこに何かが落ちている。

闇桜

(え、あれって…)

闇桜は左の耳上を触る。

しかし、そこにはさっきまでついていた赤い花の髪飾りがない。

闇桜

(…壁にぶつかった時に
落としたのね。)

闇桜

(でも、どうして
避けたの？)

パキパキッ

闇桜

ッ！

闇の足首を邪魔していた氷が解けており簡単にぬくことができる。

闇桜

(…力が弱まった？)

…チノ…ニオイ…

闇桜

？

…ドウシテ…ワタシタチガ…

カエリ…タイ…

…モドリ…タイ…

闇桜

(…深い悲しみ。)

闇桜

……。

闇桜は花の髪飾りを拾い、スカートのポケットに入れた。

ポワッ

闇桜

(おそらく、
彼らは花に
縁がある…)

闇桜

(それなら、
それを利用すれば…)

闇桜は両手を胸上あたりで組み、祈るようなポーズで目を閉じて集中し始めた。

しばらくすると、彼女の身体の周りから煌びやかな薄桃色の光が現れ始める。

バキバキッ！

シュッ！

空中に巨大な氷柱が作り出され、闇桜に向かって放たれる。

闇桜

……。

フワッ

その時だった。

薄桃色の光が空間地面に広がる。

そして、そこから色とりどりの花が出現し、一面が綺麗な花畑になる。

…ポタンッ…

放たれた氷柱が空中で解け始め、水となり地面に落ちた。

さらに空間内の気温が少しあがり、氷が所々解けている。

闇桜

(これで氷塊に
近づけるはず…。)

ズキッ！

闇桜

うっ…

闇桜

(上手く歩けない…)

バサッ！

ダッ！

闇桜は背中から黒い翼を広げ飛び、一気に氷塊までたどり着く。

闇桜

(この中に青君が…)

闇桜は氷塊に触れ、魔法陣を展開する。

しばらくすると、彼女の手の付近の氷にヒビが入る。

闇桜

(…もう少し、)

…ヤメロ…

…ワタシカラ…ウバウ…ナ…

花畑が消えた直後、空間には再び氷柱が出現する。

闇桜

(…まずいわ、
早くしないと…)

バキバキッ！

闇桜

ッ

氷塊から氷柱が出現し、闇桜の手に貫通する。

バキバキッ！

闇桜

うッ

さらに、闇桜は足元から伸びた四柱の氷によって勢いよく空中に飛ばされる。

だが、空中で体制を整え氷塊から遠く離れた地面に降り立つ。

闇桜

(…後もう
少しだったのに、)

闇桜

(触れる時間が
長いと駄目みたいね。)

闇桜

(一瞬で
あの氷塊を
壊さないと…)

闇桜

(アマリスが居れば
拳で簡単に壊せた
だろうけど、)

闇桜

(今の状況で
他に方法は…)

バキバキッ！

闇桜

ッ

ポワッ

ガキンッ！

闇桜

ッ！！

闇桜が魔法を出そうとした瞬間、黒い鎌が氷塊を斬り攻撃を阻止した。

彼女が振り返ると、そこには義信が立っている。

闇桜

(あれ、
出てなかったの？)

立浪義信

…さっきのは
まだ使えるのか？

闇桜

えぇ、使えるわ。

立浪義信

あれが
弱くなった瞬間、
私が氷塊を壊す。

闇桜

え？

立浪義信

特質上、
破壊する事は
容易い。

立浪義信

氷塊なら、
簡単に壊せる。

闇桜

(…そっか。)

闇桜

(特質のほとんどは
親か家系の遺伝…)

闇桜

(となると、
青君のお父さんも
同じ怪力の特質…)

闇桜

(でも、)

闇桜

ここにいると危険よ。

闇桜

気温が
下がり続けてて…

立浪義信

承知の上だ。

立浪義信

私が起こして
しまった事だからな。

立浪義信

(…もう清子のような
事になってしまうのは
嫌だからな。)

闇桜

…分かったわ。

闇桜

でも、氷塊は
魔法で作られたもの。

闇桜

魔力を手に込めて、
殴らないと壊れないわ。

闇桜

やり方は知ってる？

立浪義信

あぁ、問題ない。

闇桜

(なら、大丈夫ね。)

闇桜

ふぅっ…

闇桜は再度胸上あたりで手を組み、集中し始める。

バキバキッ！

ブンブンッ

シュッシュッ！

その間、義信が黒い鎌を用いて二人の方へ放たれる氷柱を斬り壊す。

数分後、闇桜の周りに煌びやかな光が現れ始める。

闇桜

…準備出来たわよ。

立浪義信

あぁ、

ダッ！

フワッ！

義信が氷塊に向かって走り出す。

それと同時に薄桃色の煌びやかな光が空間に広がる。

花畑が出現すると空中で待機していた氷柱がその場で溶け始め攻撃が止まる。

闇桜

(私も向かわないと…)

バサッ！

義信は氷塊の近くまで来ると、右拳を後ろに引き構える。

そして、氷塊に向かった勢いのまま突き出す！

ブンッ！

ガンッ！

バキンッ！！

義信の拳は分厚い氷塊の壁を貫通。

さらに、周りがひび割れ崩れ壁に大きな穴が出来る。

闇桜

(壊れたっ！)

立浪義信

あれが
修復する前に…

闇桜

えぇ！

2人は合流し、急いで氷塊の中へと入る。

中には仰向けに倒れている青影がいて、彼の頭の上に青い魂が浮いていた。

立浪義信

壱っ！

闇桜

(良かった、
まだ生きてる。)

闇桜

…今、
治すからね。

闇桜は右手で青い魂を掴み、青影の近くに座る。

そして、青い魂を青影の胸あたりに押し付けた。

闇桜

ッ

だが、青い魂は胸あたりで闇桜の手が止まる。

彼女はもう片方の青い魂にくっつけようとするが、寸前で押し止められるような力がかかる。

闇桜

(…魂同士に
反発が起きてる。)

闇桜

(理由は
分からないけど、
反発がなくならないと
治せない…)

バキバキッ！

立浪義信

ぐっ！

義信突然現れた四柱の氷に勢いよく押されて氷塊の外へと飛ばされる。

バキッ

バキバキッ

右手に持っている青い魂が黒く変色し始める。

同時にそこから冷気が増し、周りに鋭い氷柱が生み出される。

闇桜

(…冷たい…)

闇桜

(でも、
これぐらいで
離さないわよ。)

闇桜

(元に戻るまで
絶対に…)

ポワッ

闇桜の右手から煌びやかな薄桃色の光が青い魂と黒い魂を取り巻く。

闇桜

(…駄目ね。)

闇桜

(魔力を使い過ぎて
癒す力が負けてるわ…。)

パキパキッ

闇桜

ッ！

闇桜は右首に違和感を感じ、そちらを見る。

視界には彼女の右首からそして段々上へと凍っていく様子が映る。

闇桜

(…このままじゃ…)

闇桜

(…お願い、
身体が凍る前に…)

…カランッ

夜猫🌸依頼事務所～厄災の魔女～

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🌙夜桜猫🌸

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