一通りの打ち合わせが終わり
優真さんを自宅マンションまで送ることになった
沢田マリカ
高城寛貴(所長)
事務所を出て駐車場に向かう
緊張で重くなる足取り
こんな事件に関わったのは初めてだった
罪から逃れるために言い訳を繰り返す犯人や
逆に全ての罪を認めて反省の言葉を繰り返す犯人もいた
彼のように愛を主張した犯人もいたが
その愛は一方的で身勝手で
被害者にとっては恐怖でしかないものはかり
でも今回の事件は違う
きっと彼女も彼を求めている
助手席に荷物を置いて後部座席に並んで座る
彼にとって十日ぶりのマンション
十日前まで彼女と過ごしていた場所
一人で戻るのは辛いだろう
でもまさか
彼女を救い出すことになるとは思わなかった
優真さんは今日、釈放されたばかりで
あっという間に話が進んで
三日後には井川家に突入する
こんな展開を誰が予想できただろう?
事務所から車で四十分
意外と近くに彼のマンションはあった
距離が近づくにつれ
何やら人の騒ぐような声が聞こえてくる
沢田マリカ
高城寛貴(所長)
沢田マリカ
彼の住むマンションの入り口に
数えきれないほどの報道陣が……
高城寛貴(所長)
高城寛貴(所長)
沢田マリカ
気づかれぬように車の向きを変え
そのまま事務所に引き返すことになり
芹沢さんは驚いていたが
事情を話すと直ぐに納得してくれて
その後の話し合いで
優真さんは当日まで芹沢さんの家に泊まることになった
その日の夜
再び所長が車を出してくれることになり
私も同行して芹沢さんのマンションへ
事務所から車で約二十分
途中でコンビニに寄って食料を購入
マンションのエレベーターで住人の人とすれ違ったが
優真さんの存在に気づくこともなく行ってしまった
沢田マリカ
割りときれいに片付いている
芹沢大和
沢田マリカ
芹沢大和
芹沢さんはそう言いつつクローゼットから着替えを取り出す
芹沢大和
三村優真
独り暮らし用の小さなテーブルに座り
買ってきたお弁当を並べ四人で囲む食卓
昨日までずっと拘置所にいた優真さんにとっては
十日ぶりの誰かとの食事
芹沢大和
三村優真
芹沢大和
三村優真
三村優真
芹沢大和
三村優真
芹沢大和
三村優真
芹沢大和
芹沢大和
警察が一番頭を悩ませていたのはこれだった
一貫して拉致の事実を認めていたのに対し
監禁については否認を続けていた
しかも被害者からの裏付けは取れていない
沢田マリカ
本来であれば監禁の容疑で再逮捕されるはずだった
しかし訴えを取り下げた井川あすみさんの母親が
監禁についても完全に否定し罪に問われなくなったのだ
コメント
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母親はなにがしたいのやら