海奈(しいな)
萌愛はいい子だからきっと分かって貰えると思うんだよね。
海奈(しいな)
勿論、私から話してあげるから…
萌愛(もあ)
(何その上から目線…。)
自分がそんなに偉いとでも思っているのだろうか…。
海奈(しいな)
私、思うんだ。
萌愛(もあ)
ん?
海奈(しいな)
萌愛の理解者が他にいればって。
海奈(しいな)
絶好のチャンスじゃないかな?
海奈(しいな)
クラスで目立っているような子と話せるようになったら怖いものなんてないと思うの…
萌愛(もあ)
…。
私がしばらく黙っていると顔を覗き込んで言った。
海奈(しいな)
萌愛のために言ってるんだよ。
海奈(しいな)
知らない人に道を聞いて場面緘黙症を克服しようとしたのは知っているよ?それで怖い思いした事だって…
海奈(しいな)
でも、このままじゃ駄目だと思うの。
海奈(しいな)
これから大学に行って社会に出て…
海奈(しいな)
話せなかったらお終いだよ?
萌愛(もあ)
(そんなの…自分が一番わかってるよ…)
海奈(しいな)
萌愛せっかく頭いいじゃん、良く私にも教えてくれるでしょ?
海奈(しいな)
すっごく分かりやすくて助かってるよ?
海奈(しいな)
萌愛は自分に長所ないとか言うけど
海奈(しいな)
それが長所なんだと私は思うよ?
萌愛(もあ)
うるさいなあもうっ!
大きな声が出て教室に居た者が私に注目する。
声…でない。
恥ずかしくなって教室を出る。
萌愛(もあ)
(進学、就職したら困る事くらい…)
萌愛(もあ)
(でも…でも…何故か声が出ないんだもん。)
海奈(しいな)
萌愛!ここに居たの?
萌愛(もあ)
(海奈なんて嫌いだ!)
萌愛(もあ)
(海奈のせいでこんな事になったんだ!)
海奈(しいな)
ごめんね!私のせいで…
萌愛(もあ)
え?
海奈(しいな)
私がキツく言い過ぎた…
海奈(しいな)
一番辛さを知ってるのは私のはずなのに…ごめん。
萌愛(もあ)
…いいよ。
萌愛(もあ)
もう気にしてないから…
あの時の今日、海奈が許してくれたように私も許してあげる。
萌愛(もあ)
こっちこそ、私の為に言ってくれたのにごめん…
萌愛(もあ)
昔から私の事知ってて言ってると思うとなんだか…
そう言って教室にもどった。