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…まもなくアヴァロン行き列車が到着します

ミカ

え!?ここは…?どこ?

慌てて周囲をみわたした

ミカ

え…えええっ!?

そこは青空に浮かぶ駅だった。いや、駅とも呼べないかもしれない

手すりのないコンクリートのプラットホームが浮いていて「第三集合区域→魔法学園アヴァロン」と書いてある

ミカ

屋根もない…券売機もない…駅なの!?

思わずミカは一歩退いた

ミカ

ど、どうしよう…ここどこなの?ライト?

返事はない。あのうさぎの姿もない

ミカ

そんな…ねぇ!ねえ!ライト!出てきて!

ツナグ

うるさいなぁ…

ミカ

ひゃ!

いきなり聞こえた声にミカは飛び上がった

振り返ると一人の男子が立っている。びくっとするほど鋭いまなざし。

ミカ

え…えーっと…君はどうしてここに?

ツナグ

どうしてって…お前と同じだろ

ミカは怖くなってスマホを握りしめた

ツナグ

見覚えのない顔だけどお前も入学するのか

ミカ

そ、そういわれたけど…

そう言うとツナグは目つきを鋭くしてこう言った

ツナグ

落ち着きはないし、うるさいし、ライトの呼び出し方も知らない。とても名誉ある学園の生徒になるとは思えないな

思わずミカはむかっときた

ミカ

何も知らない人を馬鹿にしちゃいけないんだから!

ミカ

だれだって最初は何も知らないんだよ。それを馬鹿にするって、昔の自分を馬鹿にするってことだから!

ってこれ、実はミカのママが行っていた言葉

ツナグ

…変なやつ

ミカ

へ、変なやつってどういうことよ!

ミカの言葉を無視して男の子は、バックのなかから黒いスマホをだしてこうつぶやいた

ツナグ

…カムヒア、ライト

ライト

マスター、ご用件は?

ツナグのライトの黒うさぎは黒いマントを広げておじぎをする

ツナグ

何もない、そこに座ってるんだ

ライト

お珍しい。ご用もないのに呼び立てるとは

ツナグ

たまにはいいだろ

ツナグはそっけなくいって口をつぐんだ。黒うさぎも一礼をして黙る

ミカは戸惑って何回もまばたきをする

ミカ

信じ…られない

けれどその時はっと気づいた

あの男の子はライトの呼び方を教えてくれたのだろうか

ミカ

えーっと…カムヒア、ライト?

ライト

ああ、きゅうくつでございました!

そういってライトはミカの肩で背伸びをし、あわてておじぎをした

ライト

ご用件は?

ミカ

あ、あのね

ミカ

ご用件はじゃないでしょ。何一つ教えてくれないでいきなりこんなところに放り出して。あなたの呼び出し方だって知らなかったんだからね。

ライト

あれ?そうでございましたか。それでは、えへんえへん

ライトは胸を張り、もったいぶった口調で告げた

ライト

お呼びくださいマスター。カムヒア(おいで)、ライトと。さすればわたくし、いつ何時なりと、ただちに御許へはせ参じましょう!

ミカ

いま教えてくれても遅いよ…

ライト

まあまあ!ともあれ再開できてようございました

ミカ

よくなーい!信じられない!

ライト

晴れの入学の日でございますぞ。そうお怒りめされるな

ミカ

怒ってるんじゃなくてあきれてるの。それより魔法学園って…

ミカがたずねた瞬間だった

やっほーっ!よかった!間に合った!

いきなり威勢のいい女の子の声が響いた

ミカはまた飛び上がる。目を向けるとホームの端からポニーテールの女の子が走ってきた

寝坊しちゃったけど、なんだまだ少ししか来てないじゃん。あれ?

あんたも魔法学園に入学?初めて見たけど

ミカ

う、うん…そ、そういわれたけど…

アカリ

そっか!私はアカリ!これからよろしくね!名前は?

アカリは手を差し出した。ミカは戸惑いつつその手をにぎる

ミカ

えっと…私は原ミカ。よろしく

アカリ

ミカね!ふぅん…イレギュラーかな?珍しいよね

ミカ

イレギュラーってどういう意味?

アカリ

私達魔法使いの因子をもつ子どもたちは魔法学園入学前にプレスクール。つまり予備校に通うんだよ。

アカリ

そこで魔法の使い方や基礎知識を学んで入学に備えるの

アカリ

スクールに通わずに入学する子もいるらしいけど、それってすっごく珍しいんだって!だからミカは規格外、つまりイレギュラーってこと!

ミカ

魔法使いの…因子?

ミカが眉をひそめてくりかえすとアカリが目をまばたかせた

アカリ

魔法使いの血筋ってこと!ミカのパパかママが魔法使いじゃないの?

ミカ

わかんない…全然わからない…ママは考古学者で、パパは商社マンで…

ツナグ

くるぞ

ぶっきらほうなツナグの声と同時にアナウンスが響き渡った

列車が到着します。白線の内側まで下がってください

ミカ

列車?

ミカ

だけど空で、レールなんかもないのに…ああっ!

青い虚空の彼方から、滑るように何かが走ってきた。それを目にしてミカは叫んだ

ミカ

竜!!

まさしくそれは竜…ドラゴンだった 背中にはいくつもの座席のついた箱を乗せている

ドラゴンはホームに到着した

ミカ

信じ…られない

アカリ

ミカ!ほら早く!

ミカ

わっ!わっ!待って!!

ミカは前のめりになって座席に足をのせた。その拍子に、ぐらぐらとドラゴンの背中がゆれた

ミカ

ゆ、ゆれるゆれる、きゃあ!

バランスを崩しミカは後ろに倒れかかった

アカリ

ミカ!

ミカはプラットホームとドラゴンの間にあしを踏み外した!!

ライト

マ、マスター!!!

アカリ

ミカァァァ!!

ミカ

きゃあああああ!あ、あれ?

落下が止まった。ミカの両脇を誰かがささえているようだ

ミカ

はあ…助かった!ありがとう!

ツナグ

…ドラゴンにも乗れないくせに

ツナグ

口だけは達者なんだな

ミカ

なっ

むかむかむかっときてミカは眉を逆立てた

ミカ

そっちこそ!いちいち一言多いんだから!

周りからざわめきが聞こえてきた

「すごい…ツナグに言い返すなんて」

「プレスクールの先生も一目おいてたのに」

ミカは恥ずかしくなって腰を下ろした

アカリ

ごめんね…ミカ…私が強引に引っ張ったせいで

ミカ

平気!アカリちゃんが引っ張ってくれなかったら乗る勇気でなかったもんw

アカリが感激したようにいった

アカリ

改めてよろしく!ミカ!

ミカ

こちらこそ!アカリちゃん!

ふとミカは首をかしげる。

ミカ

(これって夢なのかな)

アカリ

でもすごいよね!ツナグにひるまないなんて

アカリがこっそりつぶやいた

アカリ

プレスクールのみんなはツナグを怖がってるの

ミカ

なんでだろう…

アカリ

それに、ツナグが誰かに優しくしてるとこ初めてみたよw

乗客の皆様。シートベルトをしめてください

ミカ

ん…?列車なのにシートベルト?変なの

アカリ

ミカ、ベルトベルト!

「アヴァロン行き列車、発車します」

ミカ

おお!

ミカがベルトをしめたらすぐに列車は発車した

ミカ

わあ…雲の中だ

思わずミカは歓声を上げた。 ドラゴンは雲を突き抜け青空を滑空する

ミカ

気持ちいい!すごいね!すごいね!アカリちゃん!

アカリ

ほんとにイレギュラーなんだなぁ…

ミカ

ねえ、ライト。これは夢?

ライト

現実でございます

ミカは夢の中で現実と言われてる気がした

ミカ

信じられないど家には帰れるの?

ライト

ご安心を。式が終われば帰れます

ミカ

それにしてもなんで私が入学できるのかなぁ

ライト

それはもちろんミカ様が魔法使いの因子を引き継いでおられるからです

ミカ

えええ!?

ありえない…そんなの嘘だ!えーっと…エイプリルフール特大の嘘 パパもママも普通の人だもの!

ライト

マスター…もうそろそろアヴァロンに入りますぞ

ミカ

うわぁ〜!

ミカの見た景色は、エメラルドグリーン色の海、カラフルなお花畑。優雅に飛びゆく鳥の群れ 晴れた空から降り注ぐ陽光に、すべてがきらきらしく輝いていた

ライト

ごらんください。美しいでしょう

ミカ

素敵…

ミカ

(夢なのかな…)

アカリ

あ、ミカ!あれが魔法学園だよ!

ミカ

ええ!お城みたい!!

「まもなく急カーブにさしかかります」

ミカ

カーブ?レールないのに…

アカリ

ミカ。手すり持ちなよ

ミカ

手すり?これ?そんなに揺れるの?

とっさにミカが手すりを握った瞬間

ミカ

ああ、あ、ああああああー!!

ドラゴンはお城をめがけて急降下!

つまりこれは列車なんかじゃなくて… ジェットコースターなんだ!

ミカ

いやああああっ!もう…信じられないーーーーー!!!

ミカの絶叫を背後に引いて、ドラゴンコースターはまっさかさまに落っこちた

ミカと魔法と不思議な世界

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