寒い。
ここは最北端に位置する極寒の雪国だ。
村のみんなは全員死んだ。
母さんも父さんも妹も
襲われた。奴らに。
残ったのは家族が奴らに撃たれて殺されていたのを身体をぶるぶると震わせて隠れていた僕と愛犬のソニーだけ。
僕は家族と生まれて18年間を共にすごした村と別れを告げ
大都会に来た。
坂柳 律
坂柳 律
ソニー
そこで僕はくたびれて倒れてしまった。
ここまで来るのに丸5日。
手ぶらで急いで村から出てきたもんだから金も飯も何も持っていない。
5日雪しか食べていない。
意識が遠のく。
ソニー
ソニーの声がどんどん小さくなる。
僕、死ぬのかなぁ。せっかくここまで来たのに。
最後に熱々のボルシチを腹いっぱいに食べたかった。
坂柳 律
ここはどこだ?
僕、どうなったんだっけ。
ソニー
坂柳 律
???
坂柳 律
ここは病室のような、治療室のような雰囲気の部屋だった。
そこに寝かされていたのか。
???
???
誰だこの男は。
長い髪をひとつに結い、黒のロングコートを羽織っている。
瞳は赤く、いやらしくつり上がった口角が妙に鼻についた。
坂柳 律
坂柳 律
???
???
???
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