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🟨「……ッ」

俺には兄がいた

俺が12歳の頃に死んだが

母「本当にごめんね」

母と父は謝るばかり。

ならお兄ちゃんを返せよ。

お前らの不注意のせいで

お兄ちゃんは死んだんだろうが

🟨「ううん、全然大丈夫!謝らなくたっていいよ!」

でもそんなこと言える筈も無く

白い木材のクローゼットに乗せられたお兄ちゃんの遺影はどこか悲しそうで

それらがまた、俺の怒りを沸騰させた

数年後、転入生がいるという噂が流れて、その噂は俺の耳にも入り込んだ

🟨「転入生…ね」

俺は何故か、転入生というものに期待を乗せていた

お兄ちゃんの事を考える

これだけが俺の生きがいだったのに

🟨「二年A組、鬼橋 胡です。体調が悪いので休みに来ました」

持久走は大の苦手なのでサボりに保健室へと足を運んでくると転入生がいた

何でわかったのかと言うと、本人が直接こう言ったからだ

🟦「あ、俺が転入する教室に載ってた名前の人!」

こう指を指されて言われた

🟨「えっと…て、転入生なんですか?」

分かりきったことを聞く自分

転入生は言った

🟦「俺の名前は犬 猍!短いでしょー?」

質問に対する回答には沿っていないが…別にいいか

🟨「い、いぬ、たぬき…さん」

なんか凄いからかわれそうな名前だなぁ…

🟦「猍くんって呼んで」

🟨「わ、分かりました」

猍くんは元から体が悪いらしく、学校に来る前も病院にいたと言う

でももう体調は最高。と自称している。幸せならそれでいいよな。うん

そこからおとぎ話のように仲良くなった俺らは、毎日のように屋上で雑談をしていた

🟦「はい!おにぎり!」

猍くんは料理が大の苦手らしいが、作るのは好きらしく毎日屋上で渡してくれる

ある時は塩が死ぬほど入ってた時もあったが…

まぁそういうのには慣れている

🟨「今日の話なんだけどさ」

俺は遂に言うことにした

誰にも言わないでいた、いや、言いたくなかった兄の話

そう話を切り出そうとすると、急に

🟦「ー、何が…ゥぐッ!?」

何も無いのに猍さんは苦しみ始める

でも頭頂部は物理法則を無視して浮いていて…

俺は何が起きているのか何も理解できない

🟨「猍さんっ!!?、」

そう叫ぶことしか出来ない

🟨「ぁ…ぇ……?」

猍さんの顔は既に青くなっていた

動くことも無く

俺はとにかく混乱していた

だってその後、猍さんが横になって浮いているんだもの

🟨「なんで…、浮いて…」

ガタンッ

ドアノブを片手に持っている

きっと野生の自衛心が逃げろと言っているのだろう

でも、…何故か……力が入らない

嫌な予感がした時にはもう遅かった

俺の手には見覚えのない切り傷

痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い…!!

指にどんどん血が付着していく

一体誰が…

🟨「お兄ちゃん…助けてぇっ、…!!」

もうここにはいやしない人の名前をただ叫ぶ

だが何故か名前を叫ぶ事に痛みは徐々に上がる

それでも助けを求めた

「ずっと殺したかった」

誰かがそう呟いた気がする

🟨「なんで俺なんかを…」

🟨「俺なんかしたかよぉ…!!」

涙で滲んでいく視界

数分後には意識なんて保てていなかった

珍しーねなんて言わないで

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