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俺が芽衣に惚れたきっかけ……

そんなモノない

桃園 芽依

2年の桃園芽衣です!

桃園 芽依

マネージャーしてます!

芽衣はニコリと微笑む。

1年の陽真はドキッと胸を鳴らせた。

多分、一目惚れというやつだった

菊池 陽真

(可愛い……)

それから俺は芽衣にアプローチをし続けた

芽衣も満更でもなかったように見えたので

1年の夏__

菊池 陽真

…好きです!

菊池 陽真

俺と付き合ってくれませんか?

桃園 芽依

桃園 芽依

はい。よろしくお願いします

その時は嬉しさが胸がいっぱいで

これから一生、芽衣が俺の隣に居続けてくれるんだと確信していた

付き合ってた頃は自覚してなかったけど

多分、俺は俗に言う「重い」という言葉が似合う男だった

他の人が死んでも、

芽衣だけがいればそれでいい。

芽衣だって、そう考えてるはずだって信じてた

……いや、押し付けていた

芽衣にとって、俺の気持ちがプレッシャーになってることも知らずに__

そして、ある冬の日だった。

菊池 陽真

……

陽真は校門前に立ちながら、タタタとメッセージを送り続けていた。

菊池 陽真

用事終わったよ

菊池 陽真

今日部活オフだけど一緒に帰れる?

菊池 陽真

どこいるの?

菊池 陽真

もう帰った?

菊池 陽真

……

菊池 陽真

(何かあったのかな…)

菊池 陽真

(返信ないと不安だな)

陽真は何度か電話をかけるが、

芽衣は電話に出なかった。

菊池 陽真

……

菊池 陽真

(一応教室…行ってみるか)

菊池 陽真

(芽衣は2年3組…だよな)

陽真は廊下を進んでいく。

空き教室を通り過ぎたその時だった。

「ねぇ。やっぱここは人来ちゃうよ」

陽真はピタリと足を止める。

菊池 陽真

(芽衣の声__)

空き教室から聞こえている声に耳を澄ませた。

「誰も来ねぇって」

「もー。いつもそれじゃん」

菊池 陽真

(男と話してる…)

菊池 陽真

("いつも"だって…?)

男と2人きりで空き教室にいること

その時の俺はその事実だけで

プツン、と俺の中の何かが切れた。

ガラララ!!

勢いよく陽真は教室のドアを開けた。

菊池 陽真

芽衣と見知らぬ男が窓際でキスをしていた。

菊池 陽真

な……

桃園 芽依

……っ!?

芽衣はバッと男から離れた。

桃園 芽依

は、陽真っ

桃園 芽依

なっ、なんで……

菊池 陽真

……

菊池 陽真

(今、芽衣……キスをしてたよな)

菊池 陽真

(俺以外の男と……?)

菊池 陽真

…なんで

桃園 芽依

…………

芽衣は真っ青な顔で陽真から目を逸らした。

菊池 陽真

(なんで弁解しないんだよ)

菊池 陽真

浮気を認めてるってことになるけど

芽衣は涙ぐみながら、こくりと頷いた。

菊池 陽真

ドンッと頭を鈍器で殴られたような衝撃が走った。

陽真はクルッと方向を変え、教室から出ていった。

芽衣の呼び止める声が後ろから聞こえたが、

陽真の耳には入らなかった。

菊池 陽真

(浮気……)

菊池 陽真

(芽衣が、)

菊池 陽真

(浮気…………)

その時の俺から先に出てきたものは

涙ではなく、

吐き気だった。

菊池 陽真

……うッ…

陽真は口元を抑えながら廊下を進んでいく。

その時、角を曲がるとドンッと誰かとぶつかった。

菊池 陽真

……っすみま__

尾瀬 一颯

陽真……?

菊池 陽真

尾瀬 一颯

なに、してんの?

尾瀬 一颯

そんな真っ青な顔して

菊池 陽真

一颯……

安堵からぶわっと涙が溢れ出てきた。

尾瀬 一颯

菊池 陽真

芽衣がっ、芽衣が……ッ

尾瀬 一颯

……ああ。

尾瀬 一颯

そういうことね。

尾瀬 一颯

……いっぱい泣きな

次の日から

芽衣が部活に来ることはなかった

直接話し合うことも出来ず、

芽衣にはLINEで別れを告げ、

俺たちの関係は終わった。

菊池 陽真

………

陽真は昔のことを思い出し、表情を曇らせた。

尾瀬 一颯

正直

尾瀬 一颯

今の陽真には凄いムカつく

菊池 陽真

…!

菊池 陽真

一颯は俺の気持ち__

尾瀬 一颯

「俺の気持ち知らないから」でしょ

尾瀬 一颯

陽真の気持ちを知ってても、俺は絶対逃げないけどね

それは一颯が強いからだろ……

俺は弱い人間だから__

尾瀬 一颯

陽真は光の気持ち、知ってるんじゃないの

陽真はビクリと肩を震わせた。

尾瀬 一颯

「芽衣みたいに裏切られたくない」?

尾瀬 一颯

そんなの言い訳でしかないでしょ

尾瀬 一颯

光のこと勝手に想像して、決めつけてる

尾瀬 一颯

陽真が光に対してしてること、

尾瀬 一颯

すっごい失礼なのわかってんの?

菊池 陽真

……

一颯はため息をつきながらその場に立ち上がった。

尾瀬 一颯

なんかちょっと幻滅

菊池 陽真

尾瀬 一颯

インターハイの時も陽真、こんな感じだったよね

尾瀬 一颯

自分に自信が持てないからってチーム皆に迷惑かけてさ

菊池 陽真

そ、れは__

一颯の言う通りだ……

尾瀬 一颯

陽真って何も成長しないね

一颯はクルッと陽真から目を向け、出口に向かって歩いていく。

陽真はその背中をじっと見つめていた。

一颯の言うことは正しい

……たしかに、俺は何も成長していない

涌井や、桐山……

倉見、一颯、光、志保__

俺以外、皆どんどん先へ行っていく

そんな皆は、キャプテンの「菊池陽真」を信じてついてきてくれる

だけど本当の俺は___

ずっと昔のことに縛られたままだ。

こんな俺より、前を向いて好きなものを好きという志保の方が

何倍もかっこいいよな。

バァンッッ

菊池 陽真

大きな音を立てて屋上の扉が開く。

水木 光

はぁっはぁ……

水木 光

キャプテン!

光は息の上がった様子で陽真の元へ駆け寄った。

菊池 陽真

え、光……?

菊池 陽真

なんで

水木 光

優成と廊下歩いている時に尾瀬さんとすれ違ったんです

水木 光

すれ違いざまに……

水木 光

「陽真。屋上で1人で泣いてるよ」って言ってて

水木 光

それはやばい!ってなって!

水木 光

慌てて来ました!

菊池 陽真

………はぁ?

菊池 陽真

俺泣いてないし……アイツなぁ

水木 光

泣いてないんですか!?

水木 光

はぁあ……よかった

菊池 陽真

(何であいつはしょうもない嘘をついたんだ)

今の状態で光に会いたくないってのに……

水木 光

でも、泣きそうな顔してますよ

菊池 陽真

陽真は目を丸くさせた後、

ニコッと笑った。

菊池 陽真

泣きそうにもなってないよ

菊池 陽真

優しいな、光は

水木 光

べ、別に優しくなんてないです!

光は顔をほんのり赤くさせた。

菊池 陽真

…………

陽真は光のことをじっと見つめ、

口を開けた。

菊池 陽真

光さ、

菊池 陽真

俺のこと好き?

この作品はいかがでしたか?

1,585

コメント

2

ユーザー

おぉっ、これまでの陽真くんじゃ有り得ない言動!! 率直に聞くねぇ⁉️ さぁ、光ちゃん、どう答える?!

ユーザー

きたきた!陽真くん、気持ち伝えるのか…??? 続き楽しみです!

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