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井川あすみ
井川あすみ
あすみさんの卒業式の日
事務所に掛かってきた一本の電話
それはあすみさんの養護施設の退所日を知らせるものだった
退所後はケースワーカーさんのサポートを受けることになっていて
私は直ぐにそのケースワーカーさんに連絡を入れた
同時に芹沢さんが優真さんに連絡を取り事情を説明
彼女を迎えに行く意思があるかを確認した
最初は戸惑い迷っていた優真さんだが
同居している叔父の龍二さんに説得され
あすみさんを迎えに行くことを決めたのだ
あすみさんがまだ救急病棟にいた頃
離れる決意をした優真さんは
二度と会うことはないと心のどこかで思っていた
それが彼女のためになると自分に言い聞かせ
愛する彼女に別れを告げた
井川あすみ
優真さんはあすみさんの願いを聞き入れ
彼女をそっと抱きしめた
そして彼女にあの手錠を手渡したのだ
その手錠が
今も彼女の左手首にはめられている
施設にいる時はいつもはめて過ごしていた
学校に行く時には外していたが
鞄に入れていつも持ち歩き
不安な時には鞄に手を入れて握りしめた
井川あすみ
三村優真
一般病棟に移った時
まだ自力で起き上がることもできなかったあすみさんが
優真さんの元へと全力で駆ける
優真さんも駆け寄り
二人は強く抱きしめ合った
井川あすみ
三村優真
あすみさんは優真さんに両手ごと手錠を差し出した
井川あすみ
三村優真
井川あすみ
井川あすみ
三村優真
井川あすみ
井川あすみ
言い終わる前に優真さんが唇を奪う
三村優真
井川あすみ
三村優真
三村優真
井川あすみ
再び抱きしめ合う二人を
そこにいる全ての人が見守っていた
これで本当に彼女は幸せになれる
誰もがそう思えた瞬間だった
井川あすみ
井川あすみ
三村優真
三村優真
井川あすみ
井川あすみ
三村優真
三村優真
三村優真
三村優真
井川あすみ
再び二人は唇を重ねた
優真さんはあすみさんに山梨行きの切符を手渡し
離れないようにしっかりと手を握った
これから電車を乗り継いで
龍三さんや龍二さん達の待つ山梨へと向かう
三村優真
三村優真
深々と頭を下げ
去って行く二人の後ろ姿を
少し寂しそうな目で静(じん)さんが見つめていた
芹沢大和
井川静(じん)
井川静(じん)
井川静(じん)
次第に溢れる涙を拭いながら
井川静(じん)
井川静(じん)
静さんは去り行く彼女の姿を見送った