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くのさんの語彙力に殺,されました 勉強がいるので、二度と目を覚ましたくないです(現実逃避) 死後の世界から離れているようで離れていない不思議な世界観で面白かったです( ¯꒳¯ )b✧
#死後の世界
長い長い黒い人生
捨てられた路地裏に響く譜
不自然に足を交差してみたり
ポッケの中の手でリズムを取る
「足りないものなんだ?」
「人生ゲームのスパイスに」
革靴とコンクリートの響
子供の知らない『闇』の音
昔この音に怖がったっけ
仮面の男は指を鳴らす
猫の嫌いな黒い鳥
仮面の男について歩く
おや、今日は早かったね
猫の足元に頭蓋骨
透明な水につけてやったら
こぽ、こぽ、と泡を吐き出した
なあん、と鳴く猫は笑う
黒に放たれた赤の色彩
美しいと思うのは不謹慎かな
前を向いて
もう一度不自然に足を交差する
猫はしっぽをふりながら歩く
「仕事だよ」
もうそんな時間?
仕方ないなぁ…
仮面の男は振り向かない
その代わり猫がこちらを向く
猫に見えた姿は幻覚か
それとも今目の前にいる
背の高い青年が幻覚か
「レトさん、戻れってさ」
『そんなん無視しとこ?』
『俺は俺らしくしなきゃ』
仮面の男は無表情
その下で赤い舌を覗かせる
ああ
俺を覚ますことの出来ない原因
『異論は無いやろ?』
「もちろん」
ああ
俺はこの人から逃れられない
暗い暗い闇の中で
彼だけの色彩を見て
静かな彼に惚れてしまった俺は
生きて帰ることも
もう時期闇に喰われる事実も
全て忘れてしまうのだろう
『さ、行きましょか』
捨てられた路地裏に響く譜
昨夜から猫を見たものはいない
仮面の男と背の高い青年
彼らは覚めることも無く
二人でこの世を楽しむのだろう