零円の告白

あの日から1週間がたった今

特に何も話してない

いや…何もは嘘かもだけど

あんまり話してない

教室に入ると

既に宮くんは席に伏せてた

寝てるかと思ってたけど

横の男の子と話してるだけだった

私はその光景を見てから自分の席に着いた

最近は

話しかけてくれる女の子が増えた

私は数学のノートをペラっとめくる

私が…頼まれたんだけど

言葉に詰まっちゃったから

あそこでスっと貸せるようになりたい

スマートっていうか…

そんなことを考えてると人とぶつかった

あれこの人って…

なんか…元気な人だ

私達は先週と同じように

バレーボールをやっていた

今日は試合形式のため

真ん中をネットで仕切って

男女別でやってる

みんながそんな話をしてる中

私も横のコートを覗く

宮くんは男子とハイタッチをしながら

喜んでいた

ふとあの時の言葉を思い出す

「好きな子にかっこいいとこ」

「見せたいやろ」

かっこいい…

びっくりした…

急に

「好きな人」

とか言うから…

そんな会話をしてから試合が始まった

もちろんほぼストレートで点を取られ続けてる

ピーと合図がなってから

女バレの子はサーブを打った

私の方…？

一応手は伸ばしとこう

そう思って少しだけ手を出すと

鞭みたいな音が鳴った

ちょっとかすったぐらいかな…

家帰ったら桜子に見てもらえばいいか

その後私たちの出番は終了して

体育館の端っこに座っていた

ちょっとジンジンする…

体育館の外の水道場に私は手をついた

東京では体育本気でやる人なんて

ほぼ居なかったし

私はジャージを少しめくる

刺青と被ってて分かりにくいけど

内出血っぽくなってる

私は腕を後ろに回した

宮くんは私の手を取ろうとする

私はそう強くいい

手を払いのけてしまった

やばい…やりすぎた

私の手に湿布を渡すと

治くんは体育館に入っていった

それにしても

あの態度はすごく失礼だったよね…

謝らないと

放課後

私は少し先生に呼ばれたため

みんなより送れて帰宅することになった

どこやったっけ…

すると後ろから誰かが入ってくるのが分かった

ダメだ…このままじゃ行っちゃう

さっきの事謝らないと

どうしよう…なにから

何から話せばいいの？

分からない

男の子と話したことなんて

全然ないし…

私がそういうと

宮くんは頭を抱えてしゃがみこむ

やっぱり言い方強かったのかな

すごく傷つけたんじゃ…

そう

宮くんは

こんな人だった

誰かのために…

無償で何かをしてくれる

優しい人なんだ

私は…こんな人を

「好き」

好き…？

私が？

いや、そんなわけ

私はそう思いながら

宮くんの顔を見る

私がそういうと顔を覗いてくる

私はそう言い残し

足早にそこを去った

家に着くと

じゃらついたシャンデリアが私を迎える

使用人たちが一斉に

私に頭を下げる

私がため息を着くと

前からコツコツと

ヒールの音が鳴る

お母様は満足気に微笑む

何度も聞いたこの言葉

普通じゃない

あなたは特別

また…

何かを勝手に決められてる

広すぎる部屋が

私を寂しくさせる

学校では…

みんなが普通に接してくれる

ふとスマホに視線をやると

クラスLINEに

Hina】今日のミリオン動画送ります笑笑

治】角名寝てるよな、これ

角名】バリバリ目開いてるだろ

私は今日のことを何度も考えながら

その日は眠りについた