白の母
……自己紹介?
瑠香
はい。
瑠香
白さんに、私と怪盗仕事をして頂く上で、親御さんにも私のことを知って頂かなければと思いまして、
白
……。
瑠香の真剣な目を見た 白、白の母は ゴクリと息を飲んだ。
瑠香
瑠香
改めてですが、私は月並瑠香と申します。
瑠香
2007年1月6日生まれ、18歳です。
白の母
18歳…ってことは学校とか行っているのかしら?
瑠香
いえ、学校は…行けてません。というか、行けないに等しいです。
白
…怪盗をしているから、ですか?
瑠香
瑠香
いや、理由は他に。
瑠香
瑠香
あ、そうだ
瑠香はズボンのポケットから紙切れを出すと、白の母へ差し出した。
瑠香
これに私が住んでるマンションの住所や私の電話番号、色々書いてあります。
白の母
あら、わざわざありがとう、月並さん。
白の母
…あら、高校から近い。白も引き続き学校に通えそう…
白
よ、良かったぁ……、
白と白の母が ほっと胸を撫で下ろすと、 瑠香は静かに立ち上がった。
瑠香
……と、今のとこは話せる事はこれくらいですかね。
白の母
わざわざ教えてくれてありがとう、月並さん。
瑠香
いえいえ、こちらこそ急に押しかけてしまいすみません。
瑠香
瑠香
じゃあ、白 私外で待ってるから、出発する準備整ったら外来てくれ!
白
は、はいっ!
瑠香
あ、白のお母様、淹れてくださったお茶 美味しかったです!
と、笑顔を振る舞うと 瑠香は 「お邪魔しました」と律儀にお辞儀をした後 外へ出ていった。
白
じゃあお母さん、今から準備してくるね!
白の母
分かったわ、月並さんを待たせないよう手短にね!
白の母
行く時また呼んでちょうだい。
白
わかった!
白は部屋へ戻り、 学校の教科書や制服様々な生活必需品を 旅行用の大きなバッグに詰め始めた。
そしてついに___
" この時 " が来た。
ぎっしりと重いバッグを持った白は、 おっとっと と、よろけながらも 後ろを振り向き、母親の方へ笑顔を向けた。
白
お母さん、今までありがと!
少しでも悪夢で苦しむ人が減るように、私瑠香さんと頑張る!
少しでも悪夢で苦しむ人が減るように、私瑠香さんと頑張る!
白の母
やっぱり、母として危険な道を渡らせるのは心配だけど…白が決めた事だものね…
白の母
母さんは全力で白を応援する、頑張るのよ!
白
うんっ!
白
じゃあ、行ってきます!
白の母
えぇ、行ってらっしゃい。
白の母は優しげな笑顔を浮かべた。
そんな笑顔を見て白も微笑み返し、 バッグを引きずるように持ちながら家から出ていった。
大きなバッグを持った白は 家の少し離れた道路に出た。
すると人気ない道路の真ん中の方で、瑠香とばくまるが 何やら楽しげに遊んでいた。
瑠香
よーっし、ばくまるシュート!
ばくまる
ばくっ!
瑠香が手で囲うようにして作ったサッカーゴールに ばくまるが 犬用の小さなボールをシュートした。
瑠香
ごーーるっ!ないす、ばくまる!
ばくまる
ばくばく〜
瑠香
へへ、ばくまるホント 体動かすの好きだよね〜
瑠香
瑠香
あ、白!準備終わった感じ?
白
はい、準備完了です!
瑠香
了解〜じゃあ今から一緒に帰ろっか!
白
はいっ!
瑠香はボールを拾い上げると、上に羽織っていたカーディガンのポケットにボールを突っ込んだ。
ばくまるは 瑠香の頭の上にポンと乗り、 眠たいのか大きなあくびをした。