「君の元へ馳せ参じます。」
なんて かしこまった文書いちゃって
困るなあ
もうそんな事出来ないのに
君らしくないよ
雨の日なんて 生まれてから何度もあった
その中の一度
お互いに傘を忘れて ずぶ濡れになった日
初めて雨が好きだって 思ったんだ
そんな日も 忘れてるかな
愛想を振りまいて
すぐに独りになるつもりだったのに
君はバカみたいに 気にしてきて
「今日一緒に帰ろう。」
だなんて
邪魔だ
何も要らなかった
私には 必要なかった
君と皆が バカバカしかったよ
独りじゃ何も出来ないくせに
何度も心の中で虐めてたよ
「仲良しごっことか嫌いだから」
土砂降りのある日
冷たく放ったのに
君は優しすぎるから
怒るなんてしなかったよね
「仲良しごっこじゃないよ」
震えていた声で
潤った瞳で
「君に優しくしたいだけ」
って君はどこまで バカなの
ずっとずっと 心は凍っているのに
独りに怯えてた
あの日も そんな雨の日だった
君はいつもの様に 声をかけてきて
冷たい私の手を握った
何も言わずに 微笑んできた
そうか君は
こんなにも側に居たんだね
その時に
心の奥の灯に気づけたよ
君の様子が可笑しかったのも
ある雨の日
赤く光る横断歩道に
俯いて足を出した君
──.
考えることよりも 身体が先に動いて
どうかしてたのかな
君を押して
ブレーキ音
サイレン
痛かったんだからね
目の前が暗くなると同時に
顔に何かが落ちてきて
君が目を真っ赤にしてるもんだから
もう困るなあ
やっと
見つけられたんだ
とても温かいもの
永遠の印
ずっと探し求めていた
トモ
遠回りしちゃったけれど ちゃんとトモになれたかな
きっと君は悔やんでいるんだろうけど
笑って
また そのバカみたいな笑顔を見せて
会えないまま大人になって
いつか君の元へ
「馳せ参じます。」
だって
ね?
fin.
コメント
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感動ですね…
怖くなかったかもー