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第3話 〚夕焼けと、鋭い予知〛
放課後の校門前。
白雪澪は、
えま・しおり・みさと と並んで歩いていた。
夕方の風が、少しだけ涼しい。
河野 みさと
最初に口を開いたのは、 みさとだった。
河野 みさと
河野 みさと
澪は、 歩く足を止めそうになって、
でも何も言わなかった。
しおりが、 眼鏡の奥で眉をひそめる。
石田 しおり
石田 しおり
村上 えま
えまが、急に声を荒げる。
村上 えま
拳を握りしめるえまの雰囲気が、
一気に変わる。
――ヤンキーモード。
村上 えま
村上 えま
村上 えま
河野 みさと
みさとが腕を組む。
河野 みさと
河野 みさと
澪は、胸がきゅっとなった。
白雪 澪
自分のせいで、 大切な人たちが怒っている。
白雪 澪
澪が、静かに口を開く。
三人が振り向く。
白雪 澪
えまが、すぐに言い返す。
村上 えま
村上 えま
しおりも、少し強めに言う。
石田 しおり
みさとが、ため息をついた。
河野 みさと
河野 みさと
その瞬間。
澪の中で、 ある考えが浮かんだ。
白雪 澪
三人が、同時に澪を見る。
白雪 澪
澪は少しだけ笑った。
白雪 澪
一瞬の沈黙のあと。
村上 えま
えまが即答した。
河野 みさと
石田 しおり
しおりも頷いた。
コンビニの冷凍ケースの前。
四人は、思い思いの アイスを選ぶ。
白雪 澪
石田 しおり
河野 みさと
笑い声が、少しずつ戻ってくる。
そのまま、
近くの海まで歩いた。
夕焼けが、水面に反射している。
波の音が、一定のリズムで続く。
防波堤に座って、
アイスを食べながら、
誰もすぐには喋らなかった。
やがて、えまが言う。
村上 えま
河野 みさと
みさとが笑う。
石田 しおり
しおりが真面目に言って、
三人が吹き出す。
澪は、その様子を見て 胸が温かくなった。
白雪 澪
小さな声。
白雪 澪
えまが、澪の肩に 腕を回す。
村上 えま
村上 えま
しおりも、静かに言う。
石田 しおり
みさとが、にっと笑う。
河野 みさと
夕焼けの中で、澪は思う。
――未来が見えなくても。
――この時間は、確かに本物だ。
予知じゃない。
妄想でもない。
ここにいるのは、
自分を守ってくれる人たち。
波の音に包まれながら、 澪は、初めて心から笑った。
りあは、あのときを「勝ち」だと 思っていた。
前期委員会を決める日。
白雪澪が、
小さく手を挙げた瞬間。
姫野 りあ
周りの視線。
ひそひそ声。
澪が、少し俯いたのを、 りあは見逃さなかった。
姫野 りあ
その事実が、妙に心地よかった。
姫野 りあ
姫野 りあ
姫野 りあ
りあは、委員会に入らなかった。
でも、それでいいと思っていた。
委員会なんて、地味。
やらなくても、
クラスの中心は自分。
――そう信じていた。
「白雪さん、委員会できるの?」
誰かが言った言葉に、 りあは心の中で頷いた。
姫野 りあ
だから。
橘海翔が、手を挙げたとき。
橘 海翔
その声を聞いた瞬間、
りあの中で、 何かが音を立てて崩れた。
姫野 りあ
放送委員。
地味で、目立たなくて、
誰もやりたがらなかった場所。
そこに、
橘海翔が、自分から入った。
しかも――
澪の隣に。
姫野 りあ
姫野 りあ
それからだった。
澪を見るたびに、
りあの中の感情は、
「苛立ち」から「恨み」に 変わっていった。
姫野 りあ
姫野 りあ
そう言いながら、 本当は分かっていた。
――選ばれたんだ。
一人で歩く帰り道。
周りには、誰もいない。
誘われることも、 引き止められることもない。
姫野 りあ
そう思おうとした、そのとき。
夕焼け。
防波堤。
そこに――
澪がいた。
村上えま。
石田しおり。
河野みさと。
四人で笑っている。
アイスを持って、
風に髪を揺らしながら。
りあの足が止まる。
姫野 りあ
楽しそう。
自然で。
無理をしていない。
――仲間。
胸が、ぎゅっと締め付けられる。
姫野 りあ
気づいてしまった。
自分は、
誰かの中心にいるつもりで、
実は――
どこにも属していなかった。
姫野 りあ
あの子は、
何もしなくても、 人を引き寄せている。
橘海翔。
友達。
笑顔。
全部。
りあは、唇を噛みしめた。
姫野 りあ
孤独が、嫉妬に変わる。
嫉妬が、恨みに変わる。
夕焼けの中で、
りあは一人、立ち尽くしていた。
――これは、
ただの意地悪じゃない。
この瞬間から、
りあは本気で、 白雪澪を“敵”だと認識した。
翌朝。
澪は、いつも通り 少し早めに教室へ入った。
机に鞄を置き、
取り出したのは一冊の本。
文字を追うことで、
ざわつく教室の音を遠ざける――
それが、
澪の落ち着く方法だった。
姫野 りあ
不意に、柔らかすぎる声がした。
顔を上げると、
そこには、りあが立っていた。
白雪 澪
姫野 りあ
姫野 りあ
姫野 りあ
姫野 りあ
姫野 りあ
次々に並ぶ言葉。
笑顔。
優しい声。
白雪 澪
澪の胸が、ざわつく。
その瞬間だった。
――頭の奥に、
いつもの“妄想”が流れ込む。
笑顔の裏。
ひそひそ声。
澪を見下す視線。
「ほんと、調子乗ってるよね」
という言葉。
白雪 澪
りあの言葉は、本心じゃない。
澪は、ぎゅっと本を握った。
白雪 澪
それだけを静かに返す。
りあは一瞬、
期待していた反応が 返ってこなかったことに
少しだけ、目を細めた。
姫野 りあ
そう言って、
りあは男子たちの集まる方へ 向かう。
姫野 りあ
姫野 りあ
急に声が高くなる。
身振りも、表情も変わる。
白雪 澪
澪は視線を本に戻した。
橘 海翔
白雪 澪
橘 海翔
白雪 澪
澪が少しだけ本を傾けると、
海翔は自然に、 覗き込んできた。
橘 海翔
距離が、近い。
澪の心臓が、 どくん、と跳ねる。
白雪 澪
橘 海翔
そのやり取りを――
りあは、見ていた。
ぶりっ子の笑顔のまま。
けれど、
指先が、ぎゅっと握られている。
姫野 りあ
姫野 りあ
りあの中で、
昨日芽生えた恨みが、 はっきりと形を持ち始めていた。
一方、澪は、 胸の奥で確信していた。
――嵐が来る。
予知は、 もう、始まっている。