一覧ページ

上野原高等学校革命同好会

第44話 - 第五革命ゲーム　完全指名式はないちもんめ【１】

2025年10月19日

#ミステリー

#心理戦

#推理

#デスゲーム

#エターナル・コウタ・ブリザード

鬼霧宗作

教員室に戻ったイガラシは、その様子に言葉を失った。

イガラシ

これは――どういうことですか？

一足先に戻っていたであろうキョウトウへと問う。

振り返ったキョウトウは、困惑したような表情で首を横に振る。

キョウトウ

それはこっちが聞きたいくらいだ。

キョウトウ

戻ってきたらこの有様で。

教員室の中は、イガラシ達が外に出る前と全く変わっていない。

ただ、いないのだ。

イガラシ達を見送ったはずのみんなの姿が。

オオタ

え、これ――どういうことですか？

オオタ

他のみなさんはどこに？

イガラシに続いて戻ってきたオオタが、ほぼ無人となってしまった教員室を眺めつつ、目を丸くした。

イガラシ

分からない。

イガラシ

一体、ここを離れている間に何があったのか。

イガラシはとりあえずスマホを取り出す。

イシカワ辺りに電話をしてみるが、しかしコール音が鳴るばかりで、イシカワが電話に出る気配はない。

みな考えることは同じようで、キョウトウとオオタもまた、スマホを片手に首を傾げる。

イガラシ

――何が起きているんだ？

イガラシの疑問に呼応するかのごとくスマホが鳴る。

先ほど連絡を入れたイシカワから折り返しかかってきたのかと思ったが、どうやら違うらしい。

スマホの画面には懐かしい名前が表示されていた。

イガラシ

はい。

ツヨシ

おうセイヤ、久しぶりだな。

電話の相手は高校時代のクラスメイト、元３年Ｄ組のツヨシだった。

イガラシ

あぁ、久しぶり。

イガラシ

わざわざ学校まで駆けつけてくれてありがとう。

イガラシ

ちゃんとこっちでも観てたよ。

ツヨシ

まぁ、イチカに先を越されちまったがな。

ツヨシ

お前のことだから上手いことやったと思ってるし、あんまり心配してないんだが……その、無事か？

イガラシ

今のところはね。

イガラシ

まさか、生涯でこんなことに二度巻き込まれることになるとは思わなかったけど。

ツヨシ

全くだ。それでなセイヤ、俺達も俺達なりに動いてんだ。

ツヨシ

学校に駆けつけた連中でよ。

イガラシ

映像を確認した限り、イチカとマドカ、それにヒメと、見間違いじゃなければカシンがいたように見えたけど。

ツヨシ

そうだよなぁ、やっぱりカシンがいるのは違和感だよなぁ。

ツヨシ

でも、成り行きで一緒にいることも事実なんだ。

ツヨシ

それで、これまでで分かったことをセイヤにも伝えておこうと思って。

ツヨシの口から、これまでのことを簡潔に伝えられる。

イチカが何者かに殺害されたらしいということ。

ナポレオンに操られる形で、かつての担任だったシガの親族が動いていたこと。

現在はその親族を味方に引き込み、事件を追うとのことだった。

ツヨシ

ある意味、こっちはあっち側のスパイを雇ったみたいなものなんだよ。

ツヨシ

ただ、肝心のナポレオンの正体にはたどりつけずだ。

イガラシ

そうか。みんなにも生活があるだろうに動いてもらって申し訳ない。

イガラシ

みんなにもそう伝えておいて欲しい。

ツヨシ

――勘違いすんな、俺達を振り回しているのは【革命軍】とやらとナポレオンだろ？

ツヨシ

俺達はこれから元ナンバーズに会いに行ってくるつもりだ。

ツヨシ

どうしても、あの場にイチカが駆けつけたことが不思議でな。

ツヨシ

ナポレオンが方々に手を回しているなら、元ナンバーズのところにも手回しされているかもしれないしな。

ツヨシ

また、何か分かったら連絡するわ。

イガラシ

あぁ、ありがとう。

ツヨシ

気にすんな。

ツヨシ

セイヤ、気をつけろよ。

ツヨシ

この事件、俺達が思っている以上に規模がでかい。

イガラシ

マスコミを巻き込んで、あっというまに全国区だからね。

ツヨシ

あぁ、こっちもできる限りのことはやってみる。

ツヨシ

だからセイヤ、死ぬなよ。

イガラシ

あぁ、心配いらない。

イガラシ

だって俺達は、あの惨劇を生き延びたんだぞ。

ツヨシ

お互い、悪運だけは馬鹿みたいに強いってことか。

ツヨシ

それじゃ、また連絡する。

イガラシ

ありがとう。そっちも気をつけて。

ツヨシ

あぁ、またな。

かつての旧友とのやり取りを終えると、イガラシは現状を眺めて溜め息をひとつ。

イガラシ

さて――他のみんなはどうしたんだろうか。

キョウトウ

まさか、みんな【革命軍】に――。

イガラシ

現状に何かしらの形で【革命軍】が関与している。

イガラシ

その可能性は充分にあると思います。

イガラシ

でなければ、一度にみんながどこかに消えてしまった意味が分からない。

イガラシが呟いた時のこと。

またしても耳障りな合成音声が辺りに響いた。

革命軍

さて、教員室に戻った皆様方、現状に大変混乱しているのではないだろうか――。

革命軍

だが、心配はいらない。

革命軍

とある事情があってね、教員室にいた方々を別室へとご招待したんだ。

革命軍

今、モニターに出そう。

それが合図だったかのごとく、イガラシ達は自然とノートパソコンの前へと向かう。

すると、そこには画面が半分に分割された状態で、教員室と体育館の映像が映し出されていた。

イガラシ

(今さら驚きはしないが、これが全国区で垂れ流されていると思うと、やっぱりいい気持ちはしないな)

教員室を映し出した映像には、ノートパソコンを覗き込むイガラシ達の姿が映っている。

一方、体育館のほうには――。

イガラシ

(イシカワ、フワ先生、そしてヤナギ先生の３人か――)

イガラシ

(他の人はどうした？)

革命軍

さて、教員室に残っているのは３人、そして体育館にいるのもまた３人。

革命軍

３対３の状態で、画面越しに革命ゲームを行ってもらうとしよう。

イガラシ

(また革命ゲームか……。戻ってきてすぐなのに)

革命軍

次に行ってもらうゲームは――。

革命軍

完全指名式はないちもんめ――だ。

上野原高等学校革命同好会

作品ページ

次の話を読む

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

鬼霧宗作

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

上野原高等学校革命同好会

第44話 - 第五革命ゲーム　完全指名式はないちもんめ【１】

作者の他の作品すべて見る

#ミステリーの新着小説
一覧

関連するタグ

上野原高等学校革命同好会

第44話 - 第五革命ゲーム 完全指名式はないちもんめ【１】

作者の他の作品すべて見る

#ミステリーの新着小説一覧

関連するタグ

第44話 - 第五革命ゲーム　完全指名式はないちもんめ【１】

#ミステリーの新着小説
一覧