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三嶋

新入部員…

三嶋

来てくれるかなぁ…

鳴谷 蓮

ここでお菓子を食べながら待ってる時点で

鳴谷 蓮

可能性は低いと思いますけど?

三嶋

……それもそうか

三嶋

部員は三年の鳴谷(なるたに)君一人と

三嶋

入部以来、姿を見せない二年生二人…

三嶋

ここで新入部員が来なければ

三嶋

廃部の二文字が過るなぁ

鳴谷 蓮

むしろ

鳴谷 蓮

”この状況でよく部活が存続しているな”

鳴谷 蓮

と俺は思いますけど?

三嶋

そりゃぁ……

三嶋

僕の力?

鳴谷 蓮

へぇそりゃ凄いですねぇ

三嶋

死んだ目で言わないで…

そこで部室の扉が開き、

一人の女子生徒が顔を覗かせた。

滝津 七星

あの…

滝津 七星

プログラミング部ってここですか?

三嶋

ここだよ!

三嶋

わぁ!可愛い女の子

そこで、鳴谷が脇を小突く。

三嶋

うぐっ

三嶋

ごめんごめん

三嶋

さぁ!

三嶋

入って入って!

三嶋

お菓子食べる?

三嶋

紅茶もあるよ!

鳴谷 蓮

先生…

三嶋

なに?

鳴谷 蓮

彼女、どん引きしてますよ

三嶋

え……

滝津 七星

……

三嶋

……

滝津 七星

ふふっ

三嶋

え?

滝津 七星

楽しそうな空間だなぁって思って

三嶋

そ、そうなんだ!

三嶋

ここはとっても楽しい場所だよ!

鳴谷 蓮

ったく、調子がいいな

滝津七星(たきつ ななせ)と会ったのは、

そのときが初めてだった。

しかし、

滝津は鳴谷蓮(れん)のことを入学前から知っていたと言う。

滝津 七星

SNSに上がっていたプログラミングを見たときに

滝津 七星

この年齢で

滝津 七星

こんなことが出来ちゃう人がいるんだって感動したんです

滝津 七星

それで高校なら絶対ここだって思ってましたし

滝津 七星

絶対、プログラミング部に入ろうって決めてました!

三嶋

熱烈なファンだね

三嶋

よかったじゃん、鳴谷君

鳴谷 蓮

…まぁ…

鳴谷 蓮

やる気のある人が入ってくれたのは嬉しいけど

三嶋

素直じゃないなぁ

滝津 七星

三嶋先生とも仲が良いんですね

鳴谷 蓮

仲良くしてあげてるんだよ

三嶋

またまたぁ

三嶋

僕のこと尊敬してます!って言ってたくせに

滝津 七星

そうなんですか?

鳴谷 蓮

……

鳴谷 蓮

こんなんだけど

鳴谷 蓮

腕は確かなんだよ

鳴谷 蓮

あのプログラミングも先生との共同制作だし

三嶋

いやいや

三嶋

僕は横からあーだこーだ言ってただけ

三嶋

作ったのは鳴谷君だよ

滝津 七星

いい関係ですね

三嶋

よし、じゃあ滝津さんも僕たちといい関係になろう

鳴谷 蓮

それ、セクハラ発言じゃないですか?

三嶋

え、嘘…

滝津 七星

大丈夫ですよ

滝津 七星

私も先生と鳴谷先輩といい関係になりたいです

三嶋

うわぁいい子だぁ

三嶋

悪い大人に騙されないようにね

鳴谷 蓮

あんたが言うか?

三嶋

ええっ!?

滝津 七星

あはははっ

【ある日の放課後】

滝津 七星

先輩の書くコードって

滝津 七星

綺麗ですよね

鳴谷 蓮

は?

鳴谷 蓮

なんだよ突然

滝津 七星

無駄がないと言いますか

滝津 七星

整っていると言いますか

滝津は神妙な顔で

パソコンの画面を見つめる。

鳴谷 蓮

少し前に同じこと言われたな

滝津 七星

三嶋先生に?

鳴谷 蓮

あいつがそんなこと言うかよ

鳴谷 蓮

SNSで知り合ったガキ

鳴谷 蓮

勝手に俺のこと師匠って呼んできて

滝津 七星

ふぅ~ん…

鳴谷 蓮

な、なんだよ

鳴谷 蓮

別に師匠って呼ばれて浮かれてるわけじゃ

滝津 七星

私が最初に言いたかったなぁって

滝津 七星

そう思っただけです

鳴谷 蓮

師匠って?

滝津 七星

違います!

滝津 七星

先輩の書くコードが綺麗って

鳴谷 蓮

そんなことか

滝津 七星

そんなことって!

三嶋

何々?

三嶋

痴話喧嘩?

鳴谷 蓮

違いますよ

滝津 七星

ライバルの登場です

鳴谷 蓮

おい、滝津

三嶋

やっぱり痴話喧嘩じゃん

二人の様子を見て、

三嶋は楽しそうに笑った。

滝津と鳴谷が交際するのは

本当にごく自然の流れだった。

三嶋

二人が結婚するときは

三嶋

是非、呼んでくれ

三嶋

あ、仲人しようか?

鳴谷 蓮

気が早いんだよ

滝津 七星

そうですよ

三嶋

そうかなぁ?

滝津 七星

先輩、県外の大学に行っちゃいますし

三嶋

あ、そうだった

三嶋

こんな可愛い彼女置いて

三嶋

なんで県外なんか行くのさ

鳴谷 蓮

なんでって…

鳴谷 蓮

自分がやりたいことができるのが

鳴谷 蓮

その大学しか無かったんだよ

滝津 七星

……

鳴谷 蓮

どうせ追ってくるんだろ?

滝津 七星

もちろんです!

三嶋

うわぁ変わらず熱烈だね!

滝津 七星

ふふっ

滝津 七星

そうですね

滝津 七星

先輩がいるところなら

滝津 七星

私、どこでもどこまでも付いていきます!

三嶋

わぁお!

三嶋

じゃ、必ず結婚式には呼んでね!

滝津 七星

はい!

鳴谷 蓮

はいってなぁ…

やれやれとため息をこぼしながらも

鳴谷は内心嬉しかった。

滝津も鳴谷も

プログラミングが好き

という共通点もあったが、

親との縁が薄いというのも

共通点の一つだった。

鳴谷の父親は海外出張が多く

滅多と家に帰って来ることは無く、

それを良いことに

母親はあちこちで男を作っては

家を空けることが多かった。

そうなると

必然的に一人でいる時間が多くなり、

その時間を潰すために

彼はプログラミングにのめりこんでいったのだった。

彼が県外の大学に行くことを

両親は一切反対しなかった。

むしろ、

母親としてやっと邪魔者がいなくなった

と思っていたぐらいだ。

滝津のところは

シングルファーザーだった。

母親は七星を産んですぐ亡くなったという。

幼いころは

父親の祖母に育てられていたが、

高校に上がってすぐ祖母が亡くなり、

父親と二人きりの生活になった。

しかし、

今まで会話らしい会話をしてこなかったがゆえに

すれ違いの生活が続いていた。

滝津 七星

はぁ…

三嶋

どうした?

滝津 七星

あ、三嶋先生

三嶋

ため息なんか吐いて

三嶋

あ、鳴谷君からの連絡が無いとか?

滝津 七星

いえ

滝津 七星

先輩は毎日必ず連絡してくれます

三嶋

案外律儀なやつだったんだね

三嶋

私のメッセージは平気で既読無視するのに

滝津 七星

…そうなんですか

三嶋

本当に元気がないね

三嶋

どうした?

三嶋

僕には相談しにくいこと?

滝津 七星

あ、いえ

滝津 七星

……

滝津 七星

私も先輩を追いかけて

滝津 七星

県外の大学に行くつもりだったんです

滝津 七星

でも

滝津 七星

お父さんが来年再婚するかもって…

三嶋

へぇ…

滝津 七星

それで相手には幼いお子さんが二人居て…

滝津 七星

その学費のために県外の大学に行かせるのは難しいって…

三嶋

……

三嶋

今は奨学金制度もあるし

三嶋

そう難しいことじゃないと思うけど?

滝津 七星

それも言いました

滝津 七星

でも、お父さんも

滝津 七星

その再婚相手の人も

滝津 七星

できれば家に居て子供の面倒を見て欲しいって…

滝津 七星

そうしたらフルで働けるし

滝津 七星

もっと稼げるようになるからって…

三嶋

ふぅん…

三嶋

自分たちが働くために

三嶋

娘の進学を邪魔するのは

三嶋

正直、いかがなもんかと思うけどねぇ

三嶋

その話し、鳴谷君にはしたのかい?

滝津 七星

はい…

滝津 七星

無理して県外に来なくてもいいって

三嶋

え〜

三嶋

なんだよ、薄情なやつだなぁ

滝津 七星

あ、いえ!

滝津 七星

ちゃんとその後に

滝津 七星

でも、そこから逃げ出したいならいつでもこっちに来いって

三嶋

…言うねぇ

三嶋はニヤリと笑う。

三嶋

そりゃそうだ

三嶋

そこまでして滝津君が犠牲になる必要性は無いんだ

三嶋

いっそのこと

三嶋

鳴谷君のところに行っちゃえばいいじゃん

滝津 七星

先生も簡単に言いますけど

滝津 七星

しがないJKには

滝津 七星

そんな高跳びする資金なんてありませんよ?

三嶋

……そっか

三嶋

じゃあ…

三嶋

いいバイト先を紹介してあげよう

そう言って三嶋は

ウインクして見せた。

れん

バイト、始めたんだって?

ななせ

え?

れん

三嶋から聞いた

ななせ

あ、あ〜…

れん

来年受験生なのに

れん

バイトなんかして

れん

大丈夫なのか?

れん

そんなに無理しなくても

ななせ

大丈夫!

ななせ

大丈夫だよ

ななせ

ちゃんと二年生の間だけって

ななせ

お父さんにもバイト先の店長さんにも約束したし

ななせ

無理はしてないよ

れん

…それなら

れん

いいけど…

れん

で?バイトって何?

れん

喫茶店って聞いたけど

ななせ

そうなの

ななせ

駅裏にある喫茶店で

ななせ

三嶋先生のお友達がやってるお店なんですけど

ななせ

紅茶とケーキがすっごく美味しいお店なんで

ななせ

先輩もぜひ来てください!

れん

…わかった

彼女が楽しそうに働いている姿を見て、

止める気は失せてしまった。

美味しい紅茶の淹れ方を教わって、

嬉しそうに披露する姿が

愛おしかった。

店員のくせに

誰よりも先に新作のケーキを食べて、

お客さんと談笑している姿が

眩しかった。

でも、

このときにやっぱり

ちゃんと止めておけばよかったと

自分がしっかり働いて

いつでも彼女が来れるように

準備しておけばよかったと

今でも後悔している。

きっと、

この先も

後悔し続けるのだろう。

後悔したところで、

過去が変わることは無い。

そう…

わかっていても。

高校三年生の冬。

当然のごとく

滝津七星(たきつ ななせ)は

鳴谷蓮(なるたに れん)の通っている大学に

合格した。

もとより頭は鳴谷より良い。

余程のことが無い限り

落ちることはないと確信していたのは

どうやら鳴谷だけだったらしい。

滝津は合格通知の画像を送ってきて、

それから嬉しそうに報告してくれた。

ななせ

これからね

ななせ

バイト先の人たちと店長

ななせ

三嶋先生がお祝いしてくれるの

れん

俺のときには無かったのに…

れん

そっか

れん

楽しんでこいよ

ななせ

本当は先輩もいてくれたらよかったなぁって

ななせ

思ってるんですよ?

れん

来年から嫌でも毎日顔合わせるんだ

れん

別に今日ぐらいいいだろ?

れん

とりあえず

れん

受験が終わったんだ

れん

しっかり残りの高校生活を楽しんどけ

ななせ

……

れん

七星?

ななせ

今日ぐらいって先輩は言うけど

ななせ

私は毎日先輩に会いたいって思ってるし

ななせ

一緒にお祝いしたかったなぁ…

ななせ

って思ってるんだよ?

れん

……それは…

れん

まぁ…その

れん

すまない…とは思ってる

ななせ

……

ななせ

わかってる

れん

ん?

ななせ

先輩もバイトを始めて

ななせ

毎日忙しくしてること

ななせ

だから

ななせ

これ以上の我儘は言いません

れん

…七星

ななせ

来年になったら先輩とずっと一緒ですし

れん

その先輩呼び

れん

そろそろ止めないか?

ななせ

うぐっ…

ななせ

だ、駄目!

ななせ

高校を卒業するまでは…

れん

その縛りは何なんだか

ななせ

い、一緒に生活始めたら

ななせ

ちゃんと名前で呼んで…

れん

よし、言ったな?

ななせ

あ…

ななせ

は、はい

れん

これで楽しみが一つ増えた

そう、

年が明け、

高校を卒業し、

三月の末には

一緒に生活するはずだった。

鳴谷の部屋にはすでに

滝津の私物がいくつか置いてあり、

それを見るたびに

早く会いたいと

いつも思っていた。

そんなこと

恥ずかして彼女には

口が裂けても言えなかったが。

一緒に暮らすそのときを

今か今と心躍らせて

待ち侘びるはずだったのに。

現実は…

いつも…

残酷だ…

「滝津七星が行方不明になった。」

その連絡を受けたのは、

合格の報告を受けた

三日後のことだった。

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