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人の話は最後まで聞きましょう

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人の話は最後まで聞きましょう

1 - もりさこ。『計画的犯行』の後日談的な話。くがかぶもちょっとだけあるよ

♥

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2023年03月09日

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喫茶店の軒下にある、オープンテラス席に、珍しい組み合わせの二人が、座っていた。

佐古大和

急にお呼び立てして、すみません。ですが、もう小峠さんしか頼れる人がいないんです

二人は先日の飲み会の時に連絡先を交換していた。 そして、昨日の夜、相談したいことがあると言って、佐古が小峠を呼び出したのだった。

小峠華太

それは構わないが、相談したい事とは?

佐古大和

実は俺、守若の兄貴と付き合ってるんです。聞いて下さいよ!本当に、あの人、酷いんですよ!嫌だって言ってるのに聞いてくれないし、俺が頼んだ時はスルーされるんです!でも、怖いから、本人には言えない!

佐古大和

だから、一度だけでも、守若の兄貴にギャフンと言わせたいんです!

小峠華太

本人に頼んで言って貰う方が早いのでは?

小峠の返答はもっともである。力量の差を考えれば、到底、無理な話である。そして、実力行使が使えない以上、守若に頼んで言って貰う方が、どう考えても遥かに、ハードルは低い。

佐古大和

せめて、ギャフンが無理でも、驚かせるくらいはしたい

小峠華太

まあ、驚かすだけなら、出来なくもないが

佐古大和

本当ですか!是非、教えて下さい!

佐古にやや押し切れる感じで、小峠は佐古にレクチャーする事となった。

佐古大和

成る程!分かりました!早速、試してみます

小峠華太

あ、ちょっ、それ

小峠は引き留めようとしたが、既に佐古の背中は遠退いていた。

小峠華太

それは、誘惑する場合だったらという話なんだが。まぁ、流石に内容で気づくよな・・・

リビングを覗くと、守若が興味なそうにしながらもテレビを見ていた。因みに、こういう日は、佐古にとって安息日。要は、守若が気乗りしないので、襲われる心配のない日なのである。

何時もなら触らぬ神に祟りなしを貫くが、今日は違う!何故ならば、守若の兄貴を驚かすという、大事なミッションが、俺に課せられているから!

佐古大和

これでよし!っと

そして、佐古は小峠から聞いた方法を実践すべく、鏡の前で最終確認を終え、いざ、乗り出したのだった。

守若冬史郎

佐古ぉ~それ俺の服

佐古大和

すみません、守若の兄貴。最近、洗濯に行けてなくて、洗い替えの服がなくって、お借りしちゃいました。だめでしたか?

よっしゃ!第一段階の彼シャツで相手の目の前を横切り、相手の視線を此方に向ける作戦は成功。

守若冬史郎

いいけど、ズボンくらい履け~

それだけ言うと、また守若の兄貴の視線は、テレビに向き直る。

佐古大和

今日は少し暑くないですか?

守若冬史郎

ん~ふつう

今日は乗り気ではない為、会話もどこかお飾り気味。でも、そっちの方が、此方にとっては好都合。

よし!これより、第二段階へ移行する。

ソファに膝をつき、じりじりと守若の兄貴へと、にじりよっていく。所謂、女豹のポーズで。ここで肝心なのは、ボタンを開けすぎない事。見えるか、見えないかくらいの方が、相手の興を誘う。

ふふん!守若の兄貴、涼しい顔をしていられるのは今のうちだけだ!

佐古は守若の耳元に、そっと唇を寄せた。

佐古大和

実は今、俺、下はいてなんですよね

さぁ、くらうがいい、小悪魔(小峠さん)直伝の囁き攻撃を!

佐古大和

みます?

守若冬史郎

あ?

佐古大和

今、想像したでしょう?冬史郎さんのす・け・べ♥️

そして、この攻撃は、見事に決まった!

だって、あの守若の兄貴が、ガタタと音を立てて、ソファから転げ落ちたのだから。

ソファの下で、呆気にとられたままの顔で、守若の兄貴は、佐古を見上げてくる。

してやった!俺は遂にやり遂げた。その顔!その顔を見たかったんですよ!やっぱり持つべきものは、小悪魔な知り合いだ。

守若冬史郎

あ~あ、今日は気分じゃなかったのに~。佐古のせいで、やる気になっちゃったぁ♥️勿論、責任とれよコノヤロー

佐古大和

まさかのやぶ蛇!

当然ちゃ、当然の結果である。小悪魔に聞けば、結果はこうなるのは明白。だから、小峠もこの事を伝えようとしてくれたのだが、それよりも先に、佐古が席をたってしまったのだ。

佐古大和

も、守若の兄貴、明日、俺、早いんで今日はしないという選択肢は?

守若冬史郎

誘った佐古が悪いんだじょ~

佐古の当初の目的である、驚かす事には成功したが、その代償は大きかった。

教訓 人の話は最後まで聞きましょう。

おわり

おまけのくがかぶ

小峠華太

今日、佐古くんから、守若さんを驚かす方法を聞かれたんだが

久我虎鉄

あいつまたそんな事を・・・

小峠華太

教えるには教えたんだが、最後まで聞かずに席を立っちまってな

小峠が言わんとしている事に、久我は気付き

久我虎鉄

あー、そういば明日あいつ早番でしたね

久我は、おもむろにスマホを取り出し、野島に電話をかける。

久我虎鉄

通話終了

通話
00:00

野島翔

久我の兄貴、何かありましたか?

数コール目で、野島が電話に出ると同時に、開口一番に、野島は何かあったのか尋ねてきた。

久我虎鉄

佐古が明日、早番なんだが、これそうないんで、悪いが代わりに早番頼めるか?後で佐古には、ヤキ入れとくから

野島翔

はい!良いですよ。書類整理出来てないやつがあったんで、明日早めに行くつもりでしたから

久我虎鉄

悪いが頼む

電話を切ると久我は、小峠に向き直る。

久我虎鉄

これで明日の心配はなくなった、と。で、今日、泊まっていきます?どうせ、明日休みでしょ?

小峠華太

さぁ?それはお前次第だな

要は久我の頑張り次第で、泊まっていくか、決めるということで、もっと分かりやすく言えば、泊まって欲しければ、俺をその気にさしてみろ、という、久我への挑発でもあるのだ。

久我虎鉄

どうぞ、お姫様。寝室までお運びしますよ

久我は恭しく、膝をつき、傅いてみせる。

小峠華太

落とすなよ?

久我虎鉄

分かってますよ、お姫様

久我は小峠をお姫様だっこで抱えあげると、寝室へと向かって歩き出したのだった。

おわり

あとがき いつも佐古だけが、被害に合うのはフェアじゃないので、たまには守若も痛い目を見たらいいよ、と思ってソファから落としてやったぜぇ!フハハ、という話です。(性格悪っ) 前回の『計画的犯行』を書いてた途中で思いついたんだけど、元々、佐古と華太は公式的に接点がないので、何で知り合ったかという背景がいるので、計画的犯行の方を必死で仕上げた。予定より、長くなっちゃった。やはり佐古の絵は難しい。画力降ってこないかなぁ

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