10タップじゃないアホ美ちゃん

アホ美が口にした名前に驚き動揺する信吾

この三人は中学の時に友美や信吾と同じ塾に通っていて

同時期に信吾と交際をしていたことをアホ美に告白していた

蓮斗の言葉に遂に本性が露になり

友美や幸枝を酷く罵り

そんな信吾の態度にアホ美の怒りが爆発した

アホ美の飛び蹴りが信吾の腹部に命中

信吾はその場に崩れ落ちた

幼い頃

信吾は両親から過度の愛情を受けて育ち

両親や親戚、近所の人達から"かわいい"ともてはやされてきた

学校でも女子達から"かっこいい"と言われ

いつしか自分は選ばれた人間なのだと思うようになっていき

小学校高学年の頃から何人もの女子達に代わる代わる声をかけ

誘いを断った女子を徹底的にいじめ抜くと言う行為を続けていた

直接、手を下さず

回りの男子を焚き付けたり

今回と同じように嫉妬させて女子に攻撃させることもあった

中学三年の頃には学校の殆どの女子と関係を持っていて

新たな女子を求めて塾に通うようになり

飛鳥や由美子や楓に優しく声をかけ

同時進行で何人もの女子と交際を続けた

同時期に友美にも声をかけたが断られてしまい

その事で友美に対し怒りの感情を抱くようになった

更にその事に気づいた飛鳥が信吾を問い詰め別れを切り出すと

酷く罵ったことが原因で飛鳥は塾を辞めてしまい

それを知った由美子や楓も逃げるように塾を辞めてしまった

信吾はプライドを傷つけられたとして三人を罵る発言をしたが

塾のメンバーで信吾の話に耳を傾ける生徒は殆どおらず

信吾は学校でも塾でも孤立していった

そしてその原因をあろうことか誘いを断った友美に擦り付け

友美を勝手に復讐の対象にし

わざと志望校のランクを落として友美と同じ高校を受験した

信吾の父親はかなり有名な心理学者で

父親の影響なのか信吾は人の心を読み操るのが得意だった

友美への復讐方法を模索していた時

自分に対する幸枝の気持ちに気付き利用しようと考えた

わざと幸枝に見える場所で友美に声をかけ

友美が喜ぶような話をして

嬉しそうに笑う友美の姿を幸枝に見せつけ嫉妬心を煽り

幸枝が友美を攻撃するように仕向けたのだ

信吾の予想通り友美を攻撃し続ける幸枝

友美が担任の安藤に助けを求めたのは想定外だったが

調査すると言いつつ幸枝の態度に手の平を返し

いじめをなかったことにしようとした安藤のお陰で

幸枝の友美へのいじめは段々とエスカレートしていった

しかしその悪行もこうしてアホ美に全て暴かれ

アホ美の強烈な蹴りを受けることとなってしまった

信吾は高校に入学してから女子に手を出すのをやめていて

教師やクラスメイトからの評判もよかった

友美に復讐するためだけに演じてきた優等生の自分

その演技でこのまま教師達を味方にできると思っていたのだが

突然、掃除用具入れの扉が開き潜んでいた聖夜が現れ

ボイスレコーダーとスマホを印籠のごとく差し出した