さとみ
待てよ!
さとみ
っ...はぁ...はぁ...
ころん
離して
さとみ
...なんでだ
ころん
そもそも、なんで追ってきたわけ?
ころん
馬鹿じゃないの?
さとみ
...泣いてたから
ころん
泣いてたからって恋人を無下にしてもいいとは思わないけどね
さとみ
じゃあなんで泣いてたんだ
さとみ
それだけ聞かせてくれ
ころん
言ってもなんにもなんないじゃん
ころん
言ったところで何?
ころん
僕に何かメリットでもある?
ころん
...ないでしょ?
ころん
それに、僕たちはもう他人
ころん
だったらさとみくんが追いかけてくる必要はない
ころん
...なんでついてきたの?
さとみ
だったら...本当に他人なら...
さとみ
どうしてお前は俺から逃げるんだ...!
ころん
...赤の他人は言い過ぎた
ころん
もう関係のない元彼と出会った
ころん
これなら逃げる理由にもなると思うけど?
さとみ
じゃあなんで...関係のない元彼の家の前にいるんだよ...
ころん
っ...
ころん
たまたま、通りかかっただけ
さとみ
そんなわけない!
さとみ
だってころんの家と俺の家は近所なんてもんじゃない!
さとみ
なんでそんなところにまで来てたんだ...
さとみ
なぁ、ころん、答えてくれ...
さとみ
お前はなんで
さとみ
なんで俺の家の前にいたんだ...?
ころん
っ__
さとみ
...ころん、俺はころんの気持ちが分からない
さとみ
...どうしてころんは好きだったのに俺の事を振ったのか
さとみ
どうしてころんは関係が切れた俺にこんなにも構ってくれるのか...
さとみ
分からないんだ
さとみ
それだからこそ、俺はこうやってお前を忘れられないんだ
さとみ
...まだお前が俺の事を好きなんじゃないのかって
さとみ
そんな馬鹿みたいな勘違いをしてしまうんだ
ころん
...そう
ころん
...そっ、か...
ころん
でも仮に僕が貴方を好きと言っても何も変わらない
ころん
さとみくんにはもう、恋人がいるんだから
さとみ
......それも、そうだな
ころん
...僕は、さとみくんに甘えていたのかもね
さとみ
甘え...?
ころん
そう、甘え
ころん
僕と別れても、すぐには誰かと付き合わないって
ころん
そう思っていたのかもしれない
ころん
さとみくんはずっと僕だけ好きになる
ころん
そう考えてたのかもしれない
ころん
...そしてまたいつか
ころん
付き合う未来だってあったりするのかもしれない...
ころん
そう考えていた自分が、少なくともいたんだと思う
さとみ
じゃあなんで別れたんだよ
さとみ
なんで自分から別れたのに、付き合う未来を考えていたんだ、お前は
ころん
さとみくんには分かってないかもだけど、僕って意外と繊細なの
ころん
すぐに怒っちゃうし、我儘を言っちゃう
ころん
僕は結局自分しか見えてなかった
ころん
さとみくんの事をちゃんと見れてなかった
ころん
だからこそ、こんな後味の悪い結末になったのかもね
さとみ
俺は...お前の思考回路が分からないよ...
莉犬と付き合っておらず、そもまま生活をしていたらワンチャン
またころんと恋人同士に戻るっていう未来もあったわけだろう...?
ころん
そうだね、僕もよく分からなかった
ころん
でも...さとみくんは知ってると思う
ころん
僕が思ってる事を口にしちゃうタイプだって
さとみ
あぁ...そうだな
ケンカはいつも、ころんが思った事を口にし、俺がそれに不満を思えて口論になる
さとみ
じゃあ、あの時も
ころん
うん、思わず口走っちゃったって奴
ころん
もちろん後から後悔もしたし、凄く辛い思いもした
ころん
いなくなってから初めて気が付いた
ころん
さとみくんの大切さを...ね
さとみ
ころ...ん...
ころん
すぐにでもよりを戻したかった
ころん
でも、話しかけられなかった
ころん
申し訳ない気持ちと、このまま付き合っても喧嘩ばかりじゃないかって
ころん
そう考えて、歩を進められなかった
ころん
...そうしてるうちに、赤園さんが気付けばさとみくんと付き合っていた
ころん
大好きだった故に、辛かった
ころん
だから先日皮肉を言ったし、大っ嫌いとも言った
ころん
...でも、大っ嫌いな相手にわざわざそんな事言うわけがない...
ころん
僕は未だにさとみくんの事が大好きなんだと思う
さとみ
......なんで...お前は
ころん
何?
さとみ
こんな時に、笑って言えるんだ、そういう事を...
さとみ
考えてみろよ!
さとみ
お前の大好きな人は今、違う誰かと付き合ってるんだぞ!
ころん
...そうだね
さとみ
なのになんでそんな笑顔を...
ころん
...笑い合って、さよなら
さとみ
っ__⁉
ころん
これを言ったのはさとみくんでしょ?
ころん
さよならを言う時は笑えって...ね?
何か言葉を吐きだそうとしても、口が動かせなくて結局何も言えなくなってしまう
ころん
さとみくんは知らないだろうけど、赤園さん意外と裏で働いてくれてたんだよ?
ころん
大好きなさとみくんの為に、僕のとこに来たり
ころん
様々な事をしてるのを見たし聞いた
ころん
赤園さんは僕の事嫌ってるだろうけど僕の場合、嫌いになれないんだよね
ころん
あの子は、好きな人のためならなんだってできる
ころん
そういう子
ころん
...対して僕は、自分勝手
ころん
これまでしてきた事全部自業自得
ころん
僕の勝手な暴走で、さとみくんを放してしまった
ころん
ねぇ、さとみくん
さとみ
...なんだ...?
ころん
あのまま付き合ってたらどうなってたんだろうね、僕たち
ころん
僕の我儘に耐え切れなくなって、さとみくんから別れを切り出すのかな
さとみ
...それは、ないだろうな
ころん
どうしてそう言い切れるの?
さとみ
俺はお前とずっと付き合っていた
さとみ
我儘だってたくさん聞いたし、喧嘩だって覚えてないくらいにはたくさんした
さとみ
でも俺はそれでもなお、別れようとは思っていなかった
さとみ
恋人はお前しかありえない
さとみ
そうとまで考えていた
ころん
...そっか...
ころん
...さとみくん
さとみ
どした?
ころん
少し、歩こっか
さとみ
...分かった