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王都アルシェリウム 中央宮殿・玉座の間
レオン・アウグストゥスは、その中心に立っていた
背筋を伸ばし、王族としての威厳を纏いながらも、その瞳は迷いを隠していなかった
彼の眼前には、重々しい声で決定を告げる枢密院の老臣たち
老臣
老臣
レオン
レオンは低く、しかし確かな声で返した
レオン
レオン
レオン
老臣
老臣
老臣の目が光る
老臣
老臣
老臣
老臣
...一瞬の沈黙
だがその中で、レオンは小さく笑った
レオン
レオン
レオン
その瞬間、彼の足元にあった影が揺れた
それは、王家の守護たる幻獣の気配だったが、すぐに音もなく消えていった
レオン
レオンはその幻に問いかけるように呟いた
レオン
レオン
翌日 王都近郊の廃教会
出立の準備をしていたミレイユたちのもとに、一頭の白馬が現れた
その背に乗っていたのは__
ジル
ジルが驚きの声を上げる
レオンはゆっくりと馬を降りると、ミレイユの前に跪いた
レオン
ミレイユ
ミレイユの問いに、彼は首を振った
レオン
レオン
レオン
ミレイユは一瞬だけその瞳を見つめ、そして微笑む
ミレイユ
ミレイユ
セリルは無言で一礼し、 ジルは苦笑混じりに片眉を上げた
ラズロは興味深そうに目を細め、 エルネストは静かに頷いた
サフィルはただその手を差し出した
ミレイユ
ミレイユがつぶやいたその言葉に、 朝の光が差し込む
世界が今にも崩れようとするその前に 彼らは静かに
選ばれたではなく、選び取った者たちの集いとして、最後の旅路に踏み出していった
月が、静かに中空に浮かんでいた
七人の旅人たちは、山中の廃れた修道院跡に身を寄せていた
明日からは、いよいよ神殿へ向けての最後の道が始まる
嵐の前の静けさ__そんな夜だった
焚き火の明かりがぱちり、と音を立てる
誰からともなく、輪になって座っていた
剣も、魔法も、罪も、使命も、 今だけは少し傍に置いて
ただ、焚き火の赤と、夜の静けさがあるだけだった
ミレイユ
ミレイユが、ぽつりと呟く
ミレイユ
ジル
ジルがおどけるように笑って、サフィルにウインクを飛ばす
ジル
ジル
セリル
セリルの冷ややかな一言に、皆が笑った
ラズロは炎の揺らぎを見つめながら、 くすりと笑う
ラズロ
ラズロ
ラズロ
沈黙が落ちた
だが、それは居心地のいい沈黙だった
サフィルがミレイユの隣に腰を下ろし 彼女の肩にそっと自分の肩を寄せる
サフィル
ミレイユ
ミレイユ
ミレイユは焚き火の奥、 仲間たちを見つめた
ミレイユ
ミレイユ
その時レオンが口を開いた
レオン
レオン
彼は静かに薪を一本くべる
レオン
レオン
すると、 無言だったエルネストが立ち上がり
一枚の布をミレイユとサフィルにそっとかけた
ミレイユ
彼は頷くと、静かに戻って座る
その背中に、火の粉がきらりと舞った
誰かが歌い出すわけでもない
誰かが誓いを立てるわけでもない
ただ、心と心が触れ合う 言葉にならない時間
それでもこの一夜は、確かに七人の記憶に
__魂に刻まれていく
やがて皆が、順に眠りへと落ちていった
焚き火の灯がゆらりと揺れていた
夜の帳が下りる
だが、誰も独りではなかった
そして、明日
七人の旅は 世界の理さえも揺るがす、最後の扉へと 向かっていく