夏になると、今でも思い出す。
高校生の夏。
蝉の鳴き声がうるさくて、 嫌気が差すほど暑い教室での
君と2人だけの夏。
司
夏花
司
夏休み。
俺と、雨宮夏花は
毎日学校で補習を受ける ことになった。
夏花
司
司
司
夏花
司
夏花
「あはは」
2人の笑い声が重なる。
毎日、こうやって笑いあって
2人で勉強していた。
雨宮がいるから、補習をしに 学校に毎日行った。
雨宮の太陽のような笑顔は
俺をいつも照らしてくれていた。
補習が始まって、数日経ったころ。
いつもの教室。
夏花
司
夏花
勉強していた手を止めて、
雨宮はそう言った。
女子から下の名前で呼ばれること なんて無かったものだから
一瞬躊躇ったけど
司
夏花
下の名前で呼ばれるのは、 なんだか嬉しかった。
補習が終わったあと、
前まではそれぞれで帰っていたのが
2人で一緒に帰るようになった頃。
夏花
夏花
司
司
夏花
夏花
夏花
司
夏花
夏花
雨宮はそそくさと家の中へ 入っていってしまった。
熱くなった顔が、
夕方の涼しい風に撫でられて
心地よかったことを覚えている。
夏休み最終日。
俺と雨宮は、補習の帰り道を ゆっくりと歩いていた。
夏花
司
学校が始まるから嫌なんじゃなくて、
雨宮と補習が出来なくなるから 嫌だった。
夏花
夏花
雨宮は、俺のことは下の名前で 呼ぶようになったけど
俺はなんとなく恥ずかしくて
雨宮のことは苗字で呼んでいた。
司
司
夏花
司
夏花
夏花
夏花
一瞬、時間が止まったような気がした
心臓の音が急にうるさくなる。
俺も、雨宮に言わなきゃ。
司
司
司
司
高校生だった頃のあの夏を 思い出していた。
俺はあの夏、雨宮に恋をした。
でも、
俺に笑いかけてくれた「雨宮夏花」は
もういない。
司
司
夏花
夏花
今は雨宮じゃなくて
「川原夏花」になって、今も 俺の隣にいる。
あれから何年か経って、 一年前に俺達は結婚した。
夏花
夏花
そう言って、君は太陽のような 笑顔を見せる。
夏花
夏花
司
夏花
夏花
夏花
俺は、夏花の手を自分の手と 絡めて握った。
夏花
夏花
そう言って、太陽のような笑顔で 俺に笑いかける。
君は、これからもその笑顔で
俺を照らしてくれるだろう。
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