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夏になると、今でも思い出す。

高校生の夏。

蝉の鳴き声がうるさくて、 嫌気が差すほど暑い教室での

君と2人だけの夏。

あーつーー

夏花

あついねー
川原くん

2人だけ補習とか、
意味わかんねー

夏休み。

俺と、雨宮夏花は

毎日学校で補習を受ける ことになった。

夏花

みんな頭良すぎ

先生来ないくせにさ

勉強に来る俺たちって

やっぱ偉いよなー

夏花

ねー
ほんと偉いわー

ふっ

夏花

ふっ

「あはは」

2人の笑い声が重なる。

毎日、こうやって笑いあって

2人で勉強していた。

雨宮がいるから、補習をしに 学校に毎日行った。

雨宮の太陽のような笑顔は

俺をいつも照らしてくれていた。

補習が始まって、数日経ったころ。

いつもの教室。

夏花

ねぇ、川原くん

……何?

夏花

司くんって
呼んでいい…?

勉強していた手を止めて、

雨宮はそう言った。

女子から下の名前で呼ばれること なんて無かったものだから

一瞬躊躇ったけど

いいよ

夏花

やった!

下の名前で呼ばれるのは、 なんだか嬉しかった。

補習が終わったあと、

前まではそれぞれで帰っていたのが

2人で一緒に帰るようになった頃。

夏花

司くん

夏花

私、夏休み
補習受けて良かった

そうだね

だいぶ頭よくなった
気するよな

夏花

うん

夏花

それもあるけど

夏花

司くんと、
仲良くなれたから

…え

夏花

あ、もう家着いちゃった!

夏花

送ってくれて、
ありがとうね!

雨宮はそそくさと家の中へ 入っていってしまった。

熱くなった顔が、

夕方の涼しい風に撫でられて

心地よかったことを覚えている。

夏休み最終日。

俺と雨宮は、補習の帰り道を ゆっくりと歩いていた。

夏花

もう、夏休み
終わっちゃうね

嫌だなー
終わってほしくない

学校が始まるから嫌なんじゃなくて、

雨宮と補習が出来なくなるから 嫌だった。

夏花

ね、夏休み終わっちゃうし

夏花

最後に私の下の
名前呼んでよ!

雨宮は、俺のことは下の名前で 呼ぶようになったけど

俺はなんとなく恥ずかしくて

雨宮のことは苗字で呼んでいた。

………

別に苗字で
いいじゃんか

夏花

だめ

何で?

夏花

…だって

夏花

好きな人には、
名前で呼んで欲しいから

夏花

好きだよ、司くん

一瞬、時間が止まったような気がした

心臓の音が急にうるさくなる。

俺も、雨宮に言わなきゃ。

(言え!)

(俺も好きだって、
伝えろ!!)

あんなことも
あったなぁ

あの頃は青春してたな

高校生だった頃のあの夏を 思い出していた。

俺はあの夏、雨宮に恋をした。

でも、

俺に笑いかけてくれた「雨宮夏花」は

もういない。

夏花ー

久しぶりに2人で
出かけに行こうよ

夏花

え、嬉しい!

夏花

行こ行こ!

今は雨宮じゃなくて

「川原夏花」になって、今も 俺の隣にいる。

あれから何年か経って、 一年前に俺達は結婚した。

夏花

最近仕事で忙しくて

夏花

出かけに行けなかった
もんね

そう言って、君は太陽のような 笑顔を見せる。

夏花

夏になると、
思い出すなー

夏花

司と毎日補習してた、
あの夏休み

俺も、思い出してた

夏花

私が告白したとき、
凄い緊張したんだけど

夏花

そのあと、司も、
好きって言ってくれて

夏花

凄い嬉しかったよ

俺は、夏花の手を自分の手と 絡めて握った。

夏花

ふふ、

夏花

今日はどこに行く?

そう言って、太陽のような笑顔で 俺に笑いかける。

君は、これからもその笑顔で

俺を照らしてくれるだろう。

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