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輪ノちくわ
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輪ノちくわ
輪ノちくわ
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輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
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輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
私だけが
取り残されていくから
2年くらい前
光くんと私は
コンビニのバイトで出会った
尾張光
輪ノちくわ
初めて見た時から
寝癖のついた髪、丸まった背
眼鏡の奥で死んだ目が印象的だった
目も合わせずぼそりと挨拶するだけだったが
私が今まで会ってきた他人のような
冷たい印象はあまりなかった
私と同じように不器用で
店長からよく怒られていたからか
むしろ親近感を覚えていた
──いや、私の方が
圧倒的に不器用だったとは思う
店長
輪ノちくわ
店長
店長
輪ノちくわ
店長には本名を知られていたが
名札は防犯上仮名で
『佐藤』の私と
『田中』の光くんは
いつも二人で夜勤の当番だった
互いに本名も知らないが
互いにやつれていて
人生に絶望していることだけは
なんとなく分かり合っていたと思う
尾張光
輪ノちくわ
一言も交わさず
静かで気まずくて
でもどこか心地の良い空間が続いていた
ある日、ロッカーの机に置かれた
田中くんのスマホの通知が鳴った
私は偶然その画面を目にした
『紙屑さんが配信を開始しています』
『腐敗ゴキブリ丼さんも参加しましょう』
それはどうやら配信アプリの通知らしかった
輪ノちくわ
何よりも私は、酷いユーザー名に驚いた
自分をゴキブリと名付けるのは
一種の自傷行為であり
死にたい人のやることだ
心配と、純粋な好奇心もあり
帰宅後、私はそのアプリを入れた
『腐敗ゴキブリ丼』は確かにそこにいた
花壇のアイコンの見る専で
数人の配信者をフォローしていた
それらは揃って『自殺志願者』だった
ある朝の4時頃
そのうちの一人の配信に入ってみると
田中くんもそこにいて、コメントを送っていた
『俺も早く死にたい』
『誰か殺してほしい』
背筋が凍るようだった
それは恐怖ではなく
どうしようもない悲しみによるものだった
自分もいつも死のうとしているくせに
いざそういう人を目の当たりにすると
一層絶望に打ちひしがれるようだった
けれど配信者は馬鹿にするように
『また弱者が暴れてるw』
と彼を鼻で笑った
輪ノちくわ
私は腹が立った
わざと笑い飛ばすことで
気楽に思える部分があるのかもしれない
そういう気晴らしを求めて
田中くんはいつもそこにいるのかもしれない
でも、私は嫌だった
明るいなら明るいで
もっと寄り添いたいと思ったし
これ以上田中くんを
誰にも
彼自身にさえも
馬鹿にさせたくなかった
それはそれとして
私の希死念慮は
日常として続いていた
普通にバイトから帰ってきた後
ロープで首を吊ろうとした
ロープが切れてまた失敗した
苛ついて手足を切った
手足を失った戦場の人に申し訳ないと思った
カーテンの隙間から朝日がちらついた
子供のはしゃぐ声が聞こえた
よく分からなかった
どうなりたかった
分かんない
死にたい?生きたい?
分かんない
くだらない
馬鹿みたい
私は
私は
私は
何?
危険行為を助長している
危険行為を助長している
危険行為を
何言ってんの?
そんなのないよ
全部危険だよ
幸せなんてないよ
死ねばいいんだよ
死ねさえすれば
私はようやく救われるのに
私を差し置いて
私より先に
死ぬなんて卑怯だ
尾張光
なんかまた普通に起きてきちゃって
またミスをして
ひどく店長に怒られた後
空虚を見つめていた私の横で
ぼそりと田中くんが呟いた
──光が、宿った気がした
多分、心に
輪ノちくわ
喜びさえ上手く表現できなくて
力なく笑ってみせると
田中くんも眼鏡の奥で目を細めた
それが田中くんと私の
初めての交わりだった
そのうち田中くんは
糸が切れたようにバイトを辞めた
当然私もその後を追った
無職になった私は
意を決して配信を始めた
勿論君の為だった
といっても所詮ただの自己満足で
もっと君と話したかっただけに過ぎないのだが
どうせやるなら
ちょっと違う自分になってみたくて
思い切って髪を金髪にした
そのせいか君に気付かれる様子はなかった
死にたい死にたい言ってたら
君は普通に来てくれた
君が死にたいって言ったら
「わーい仲間だ」と喜んだ
君がまた死にたいって言ったら
その度に違った「死にたいね」を返した
調子に乗って毎日配信したりした
君は毎日来てくれた
私が適当に「カニ食べたい」と呟けば
君はカニの絵文字を沢山送ってくれた
本当に馬鹿みたいだけど
なんか嬉しくて涙が出た
私は君と話す
その瞬間の為だけに
少し死ぬことを手放すようになった
私は頭がおかしいから
君のアイコンの花壇から
勤務していたコンビニ近くの
徒歩で来れそうな距離のアパートの
庭にそれらしき花壇がないか
ス○リートビューで探し回って
ボロそうなアパートを特定した
何号室かまでは分からなかったけど
その前に立ち止まって
そこに君が生きていることを想像して
それだけで夜
少し眠れるようになった
君のことを少なからず
信じている証拠だった
それでもやっぱり死にたくなって
また失敗して
今度こそ、という時に
君の希死念慮も強くなった
というのも、前より一層「死にたい」より
「殺してくれ」と言い回る回数が増えたのだ
他の人に傷付けられたらたまったもんじゃない
そう思った私は
先手必勝のような感じで
ヤケクソになった君から住所を聞き出し
光くんの君と
ちくわの私として
再会することができたのだ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
ガチャッ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
輪ノちくわ
尾張光
尾張光
輪ノちくわ
尾張光
尾張光
尾張光
(頭を抱えてうずくまる)
輪ノちくわ
輪ノちくわ
つづく