TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

テラーノベル(Teller Novel)

数日後───

波紅〇〇

あ、太宰さん!

太宰治

おや〇〇、最近はよく会うね

ポートマフィア本部ビルの廊下で太宰さんに会う。

太宰さんの云う通り、初めて会ったあの日から 毎日の様に顔を合わせるようになっていた。

たまたまビル内で会うのだ。そう、たまたま。

波紅〇〇

ですね、今迄一度も会った事なかったのに

太宰治

今日はこの後仕事があるのかい?

波紅〇〇

いえ、もう帰るところです

太宰治

これも何かの縁だ、飲みに付き合ってくれないかい?

波紅〇〇

!、勿論です

太宰さんの誘いに直ぐに頷く。

幹部様のお誘いなんて断る訳にはいかないし、 私自身もっと彼の事を知りたいと思っていたからだ。

波紅〇〇

迚も雰囲気の良いバーですね

太宰治

あぁ、私の行きつけでね

太宰治

よく友人と来るのだよ

太宰さんに連れられたのはルパンと云う 地下にあるバー。

行きつけと云うのは本当の様で、 席に座るや否やカクテルが二つ出てきた。

太宰治

乾杯

波紅〇〇

?、何にです?

太宰治

君と初めて此処に来れた事

波紅〇〇

!、ふふ、乾杯

グラスとグラスがぶつかる音が鳴る。

その後私達は他愛もない話で盛り上がった。

彼は余り自分の話をしなかった。 けれど私は根掘り葉掘り聴く事はしない。

話していくうちに、話題は私の恋愛事情についてに。

太宰治

彼を亡くしたばかりだったね

波紅〇〇

はい、もう恋愛はしないと決めているのに

太宰治

何故?

波紅〇〇

私が好きになった人達は、皆亡くなってしまうんです

波紅〇〇

私は…詛いに罹っているのです

波紅〇〇

だからあの墓地に眠る彼らは私の所為で…

気付いたら温い水滴が頬を伝っていた。 一粒、また一粒とこぼれ落ちる。

私はなんて弱いんだろう。なんて罪深いんだろう。

太宰さんは何も云わずに、ただ私の頭を肩に引き寄せた。

太宰治

辛かったね、君は頑張った

太宰治

一人で抱え込んできたのだろう?

太宰治

之からは私が話を聞こう。少しでも楽になれるかもしれない

太宰さんの手が私の頭を優しく撫でる。 其れが迚も心地よかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

波紅〇〇

ありがとうございました

太宰治

うん、また何時でも

私が落ち着く迄待ってくれた太宰さんは、 連絡先を交換して店を後にした。

また、一緒に来れるだろうか。

そう期待していた私は、きっと此の時には───

君 し か 要 ら な い

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

429

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store