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僕はある日、記憶を失った
自分のことも周りの人のことも
何一つとして覚えていない
頭を強く打ったらしく
少しの間入院している
毎日1人の少女が見舞いに来る
彼女は僕の姉だと言っていた
僕の中には疑問があった
何故、姉が見舞いに来て
両親が見舞いに来ないのか
だが、その疑問の答えは出なかった
僕が退院まで数日のときから
彼女は来なくなった
普段、あまり気にしていなかったが
来なくなると寂しいものだ
そこで初めて僕は両親を見た
両親と共に家に帰ろうとしたとき
帰りの車の中で衝撃の事実を知った
僕は一人っ子だという事実を
なら、あの姉だと言っていた人は
誰なのか
突然吐き気がしてきた
その吐き気は徐々に強くなり
吐き気に継いで目眩もしてきた
僕は退院から一瞬にして倒れた
目が覚めた
倒れてから2日寝たきりだったらしい
その時気づいた
僕は自分の名前が分かる
両親の名前も
そして「姉」だと思っていた人の名も
僕は直ぐに病院を出た
彼女に会いたかった
彼女との思い出の場所なら
会えると思った
そこには微かに光るモヤがあった
僕
僕にはそこに彼女がいるように思えた
手でそのモヤに触れた
そこには見覚えのある
端麗な少女が居た
僕
少女
僕
少女
少女
僕は自分の中で堪えていた
抱え込んでいた何かが溢れ出した
僕
少女
僕は彼女を抱きしめた
そこには微かに彼女の温もりを感じた
だがそれは瞬く間に消え
彼女との2度目の別れを告げた
少女
僕
僕
少女
少女
僕
光っていたモヤが消え
辺りが暗くなった
彼女はずっと僕を見守っていてくれた
彼女の魂は存在していた
確かにまだ存在している
僕の心にはまだ光のモヤが残っている
僕にはそう思えた
だから前へ進もうと思った
彼女の分も生きようと思った
僕
少女
その声は風によって静かに消えた
だが、お互いの心に
きっと、届いていた