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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

 

※ 百 合 自衛お願いします

 

柩の中で瞼を閉じる貴女

啜り泣く親族

只管に頭を下げ続ける中年の男

嗚呼、貴女は消えてしまった

心底苦しい

私が何時も通り部活終わりの 貴女を動画に収めた日

あの後直ぐにトラックに轢かれたと聴いた

葬式にはクラスメイトの殆どが呼ばれ 皆浮かない顔をしていた

瑚 々 の 母 親

手を握ってあげて下さい

涙ぐんだ声で皆にそう伝える母親

そっと握った貴女の白い手は 酷く冷たかった

そして思った

思ってしまった

 

美しい

 

無礼だと解りながら

携帯を取り出して機械音の鳴らない カメラを起動させた

またひとつ

静かに貴女の姿が増えてゆく

柩から離れて様々な表情をした 貴女が映るフォルダを開いた

ひとつの動画でスクロールする 人差し指が止まった

何度削除しようとしたか分からない程に 嫌いな動画だった

屹度もう二度と押す事の無い 再生ボタンを押した

男 子

好きです、付き合って下さい!

イアフォンから流れ出す音声に苦しくなる

鈴 喜

あー、ごめん

鈴 喜

私、好きな人居るんだ 笑

男 子

だよ、な!悪ぃ、笑

居心地が悪そうに去ろうとする男子を 引き留めるあの子

鈴 喜

あのさ、好きな人が女子って言ったら引く、?

男 子

え?別に、応援するかな

鈴 喜

ほんと?

鈴 喜

洸ちゃん、って呼べる間柄でも無いかな

鈴 喜

荒井さんの事が、好きなんだよね、

携帯を落としそうになったのか 画面が酷く揺れた

あの子の声が脳を震わせて消えない

男 子

あー、結構可愛いよな

鈴 喜

え!分かる?もうほんとに美人で可愛いの!

此の時の記憶は曖昧だった

兎に角、脈が早くなって呼吸が苦しくて

貴女が愛おしかった

そして

心底、恨んだ。

貴女の気持ちを知っていながら 知らなかった事にしたくて伝えなかった

荒 井

馬鹿じゃないの、

消え入りそうな声は誰にも、 画面に映る貴女にすら届かなかった

こんな事なら伝えてしまえば良かった

阿呆らしくて

悔しくて

貴女の唇には劣る私の唇は 小さく弧を描いた

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