真冬
…………
僕は、部屋の中で1人畳の上に寝転がっていた
昨日の、あの任務で捕らえた殺人犯は、どうやら僕と面識があるようだった
真冬
(確かに僕も何か引っかかるというか…)
真冬
(昔の記憶に何か関係している…?)
真冬
……わかんないや
ちなみに彼方さんは今緊急で任務に行っている
僕と彼方さんは2人での仕事が多いが、たまにこうやってどちらかだけで任務にあたる時があるのだ
真冬
(…寂し)
おい相川〜
…相川?
真冬
…あ、はいっ
一ノ瀬…は、単独で任務に出ているのか
じゃあこの仕事は、相川単独でやってもらう
そういって差し出された、一枚の紙
真冬
わかりました
じゃあ、帰ったら報告頼んだよ
真冬
…………
任務内容
先日起こった、とある一家が殺された事件にて、犯人が父親であることが判明。
場所は西の街、今回は凶悪な事件の為、任務にあたる者はその場で犯人を斬ってくること。
真冬
…珍しいな、僕にその場で斬る任務が回ってくるなんて
僕は紙に一通り目を通すと、左に刀をさして外へ出た
僕は外に出て、その家がある場所へ向かうことにした
真冬
…………
いつもは彼方さんと任務のことで話しながら向かっているから、少し寂しい
真冬
(彼方さん、もう任務終わらせたのかな)
真冬
(難しい任務じゃないから、多分どこも怪我しないで帰ってくるんだろうな)
真冬
(…彼方さんに、任務の内容聞いてみよう)
と、色んなことを考えているうちに その事件が起きた家の前に着いた
真冬
ここ、であってるんだよね…
僕は刀を鞘から抜いて、右手で持った
そして、少しだけ開いている戸に手をかけた
真冬
っ……
ガララッ
僕が勢いよく戸を開けると、そこには一人の男性が僕に背を向けるように座っていた
…警官の方ですか?
真冬
(え…?)
真冬
…警察、ではないですが
真冬
……同じ役目を担っている、仕事です
そう問われたのは初めてだったから、少し戸惑った
…ならよかった
お願いします、どうか僕のことをここで殺してください
真冬
え……?
僕は、また戸惑った
言い訳では無いのですが、僕はずっと家族に酷い仕打ちを受けていました
それで、怒りが抑えきれなくなってしまい気づいたら、妻も娘もみんな…
真冬
っ………
いくら酷い扱いを受けていたからって、殺すのは許されない行為です
だからお願いします
どうか僕のことを殺してください…っ
僕は心の中に迷いが生まれていた
今まで僕が受け持ってきた任務では、自分が捕えられることに不満を持って襲ってくる者が大半だった
こんなふうに、自分の行いを悔やんで自ら死ぬことを望む人間は初めてだった
真冬
っ……!
刀を持つ手が、僅かに震えてくる
真冬
(僕は、僕はどうしたら…)
真冬
(人を斬って殺すのなんて、初めてだから、怖い…)
真冬
(こういう時、こういう時は……?)
真冬
……ごめんなさい…っ
僕はどうするかを決断した







