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宿題、多くないですか???(真顔)

2024/08/7投稿

第53話

「すれ違い」

え〜〜〜.......

ほんっとうに申し訳ございませんでした.....(土下座

床に頭くっつけてるないくん。 鬼の形相のほとけっち。 ないくんの目の前を仁王立ちのまろ。 全てを見守り遠い目をしてるアニキ。

....

そして口を出すタイミングが分からず かれこれ1時間この光景を眺める羽目になっている俺。

たしかにないくんはやりすぎだ。 初兎ちゃんにあんなに強いお酒を無理やり飲ませたんだから。

急性アルコール中毒にでもなっていたらどうするつもりだったのだろう。 彼も相当酔っていたっぽいし、酒というのは怖いものだ。

そんな顔しても許さないからね?

げっそりした顔のないくんにほとけっちが畳み掛ける。

ほんまバカやな

ゴメンナサイ....

酔ってたとはいえどやっていい事とダメな事の区別もつかないの?

ほんと、いい大人なのに

この2人からの罵倒が結構キツそうで、さっきから言葉の棘がないくんの心をグサグサ刺しているのが表情から見て取れる。

1時間これはりうらも無理かも。

あー....お前らそろそろストップせぇへん....?

やり過ぎというか....ほら、ないこの顔が...ヤバいというか......

り、りうらからも....お願いっ!

アニキが出した助け舟にりうらも便乗しておく。

俺からもお願いします......

....

....

2人が顔を見合わせる。

はぁ....もういっか

アニキらがそう言うなら

(ないくんの意見は入ってないんだ...)

ないくんの反省も見て取れる。 流石にもう許してあげてもいいと俺は思うけどな。

昨日、とりあえず初兎ちゃんを1番近かったまろの家で寝かせようということになりここに来たのだが、ないくんとアニキも寝てしまったのでほとけっちと俺以外はここで寝たらしい。

自身は自宅に帰って普通に寝ていた。 のだが、まだ暗い朝方にほとけっちに起こされた。そして説教のためここにつれてこられた。

最初は眠い中起こされたことが不満だったので、俺からも少し言いたいことを言わせてもらった。

(けど、1時間もやるとは.....)

あの2人は怒らせたら怖い。 りうらも気をつけよう。

ないこも流石に頭冷えたやろ

ほんと迷惑かけた。ごめんね

初兎ちゃんにも後で言うんだよ?

もちろん

(初兎ちゃん....)

まだ寝ているらしいけど、直に起きるだろう。 昨日の初兎ちゃんの顔を思い出す。

...初兎ちゃん、絶対何か隠してるよね

せやな

起きたら聞き出さなあかんな

自分たちのリーダーが頑固なのはみんな知っている。 多分なかなか口を割らないだろう。 でも一人で抱え込まれるのはごめんだ。

そう考えればないくんのあの行動も100悪いわけじゃない

あのまま解散してたらずっと逃げ続けられて何も聞けなかっただろうし

....たしかにそれは一理あるね

まぁ強引すぎだとは思うけど....w

でもこの機会は逃しちゃいけない

せっかくみんなここに居るんだから、絶対逃がさず聞き出さなきゃ

パーティー会場を離れていたときどこに行っていたのか、何をしていたのか。 せっかく閉じ込められている今、なんとしてでも吐かせないといけない。

起きたらパーティー会議やな

二日酔いとかしてないといいけど....

てかアニキとないちゃん大丈夫なの?

くっそ頭痛い

同じく

ほんとバカ.......()

ガチャッ

説教終了から10分ほどたった。 初兎ちゃんが寝ている部屋のドアが開く。

あ.....み、みんな...

おはよう、初兎ちゃん(ニコッ

おはよ

...おはよう

一応挨拶を交わしたものの、気まずい空気が漂う。 初兎ちゃんもまさか全員居るとは思って無かったんだろうな。

....初兎ちゃん、僕らみんな心配したし不安だったんだよ

話、聞かせて

ほとけっちが椅子を引く。 「聞かせて」という言葉を選んでいるけど、意味的には「意地でも聞くから」と大差無い。

初兎ちゃんは分かっていたのだろう。 大人しく座ってくれた。

心配....かけてごめん

昨日の俺、おかしかったよな

ないくんの謝罪が終わって、初兎ちゃんが話し始めた。

別に初兎のことは責めへんよ

なんか理由があったんやろ?

....(コクッ

乗り気じゃなさそうだが逃げるのはもう諦めているのだろう。初兎ちゃんが「言っても怒らへん?」と保険をかけるように聞いてきた。

自分たちから聞いといて怒らないよw

ないくんの言う通りだよ

聞かせて?

...省長に呼び出されたんよ

俺と、もう2人のリーダーだけ

つまり3人だけ....?

うん

省長ってめっちゃ偉い人なんじゃ....

魔物監視省長.....たしかアルトワ将軍だっけ

ないちゃんよう知っとんな

魔物監視省管轄下の軍隊の元隊長で将軍

先代省長が亡くなってから省の人間全員の後押しにより省長に昇格した人だよ

つまりどんだけ偉いの....?

彼が「クエストの報酬の金額基準を下げろ」って言ったら、俺らは食っていけないだろうね

ひぇぇ....

俺そんな人に....

さっきまでしょぼしょぼしてたないくんが心做しか生き生きしてるように見える。 役立つ情報を持ってたから嬉しいんだろうな。そういうとこあるよね。

そしてさっきの話を聞いて顔真っ青な初兎ちゃんは例の省長に一体なにをしたんだろう....

で、そんな偉い人に何言われたんや

....魔王討伐に選ばれた勇者パーティの手助けをしてほしいんやって

選ばれたパーティーの中でも優秀なパーティーとして、統率の協力を求められた

りうら達が......??

人違いやないの

そう思うやろ?

ほんまに言われたんよ。こっちの資料も用意されてた

俺らのこと、思ってる以上に調べられてる雰囲気やった

それは....なんか怖いね

裏ありそうやな

召集された時点で不思議だったのに、さらに「中でも優秀なパーティー」なんて直接言われれば疑うのも無理は無い。

勇者パーティーの手助けなんて、りうら達が出来るのだろうか。

...

でも、初兎ちゃんはなんで"それ"を隠そうとしたの?

あ.....

(たしかに....!)

不思議な話だけど、隠すよりむしろ話した方がいい話題じゃない?

たしかに....別に俺らが聞いても怒るような内容ちゃうよな

....

その話は今から話す...けど.....っ

怒らへんよな....?

だから怒らないってば、w

ほとけっちの言う通りだよ!

昨日あったことそのまま、話してみ?

初兎ちゃんは迷いと不安が入り交じったような顔をしていた。 でも聞かないとその顔も晴れないだろう。ちゃんと知ったら、みんなで解決してあげられるはずだ。

3人で集められた後、俺だけ残らされたんよ

「戦力調整」が必要やって言われた

戦力調整?

はっきり言って「スカイ」は弱い

だからパーティーメンバーを組み替える必要がある

っ....!

....そういう話やった

だから初兎はあんな怒っとる雰囲気やったん?

っ....

こんな生ぬるい言われ方してへん

はっきり内容言ってもええん?

多分まろは軽い気持ちで聞いたんだろう。たしかに昨日の初兎ちゃんはだいぶ苛立っている雰囲気だった。

強い口調・脅すような言い方をされてまろが言葉に詰まる。

...僕はいいよ

みんなが嫌なら無理に聞き出さないけど

言われたことを踏まえた上で、解決するべきだと思うな

覚悟のこもった声音だった。

り、りうらも....怖いけど聞いてみたい

俺も

俺も一緒や

...ないちゃんは?

俺も聞きたい

向こうはどう思ってるのか。どう言われたのかで見方も変わると思う

わかった

言いたくなかったのだろう。 まだ曇った表情のまま、一呼吸おいて話し始めた。

ないちゃんは元ジュスティス出身なことに食いつかれてた

事務もできそうだって

事務ねぇ....てか、ほんとに俺たちのことちゃんと調べてたんだね

武道家はDならそれなりに役に立つだろうやってさ

...

いむくんは.....ベルリナ家やから、後ろ盾かなって、

っ.....そっか

あとは....

毒使いは幼すぎる、黒魔術師はランクが低い

だからメンバーから外して、また別の冒険者を迎える必要がある.....って

っ.....!

....

戦力調整の対象は自分だったらしい。 「メンバーから外して」という言葉。戦力調整の意味は分かっていたはずなのに、実際に聞くと辛い。

刹那、まろがひどく傷ついた顔をする。俺は驚きの方が強かったが、彼自身は「ランクが低い」とド直球に言われてかなり傷ついたみたいだった。

そんな彼と目があった。

...

〜っ.....

何か言わないと。 この暗い空気を変えれるのはきっと言われた側。その中でも多分りうらだけ。 どんな言葉を選ぶべきか。

それは.....まだ承諾してないんだよね?

っ!当たり前やん!!

俺はこの6人やからパーティーやっとんねん

見知らぬ冒険者を加える気も、ましてやメンバーを脱退させる気も無い

....だよね、よかった(ニコッ

りうちゃん....っ

俺は大丈夫

「後ろ盾」だと言われたほとけっちも傷ついているはずだ。 ベルリナに生まれたことで苦しんだ過去の話はもう聞いた。彼はベルリナとしてでなく、あくまで1人の白魔術師として生きていきたいはず。

現にほとけっちは俺らにとって後ろ盾なんかじゃなくて同等の仲間。 「ベルリナだから」なんて思ってない。

この中の誰も俺らを追い出す気なんて無いのは分かってる

今はただ外野から言われただけ。まだ"最悪"な状況なんかじゃない

ねぇまろ

もちろん俺らだって、抜ける気なんて無いでしょ?

...当たり前やん

自分から手放すなんて馬鹿なことせぇへんよ

無理した笑顔を向けられて心が痛む。 まぁ、自分も取り繕ってないと言ったら嘘になるのだけど。

りうらの言う通りやな

何言われてもみんなで守るんやから、心配なんてせんでええ

そっと頭を撫でられる。 また子供扱いだろうか。別に嫌な気はしないけど。

思えばまろだって、俺がさらに不安にならないように笑顔を作ったのかもしれない。

アニキとりうらの言う通り、俺たちも追い出すとか絶対しないし何か言われたら全力で庇うよ

でも....

....できるのかな

そんな偉い人に言われたのに、覆せるのかな...っ

それは.....

「分からない」 言いたくないけどそれしか思いつかなかった。

りうらの言った"最悪"は、省長に無理やり戦力調整を進められることだ。 まろもその可能性を分かっているから「自分から」と付け加えたのだ。

相当位が高いことがないくんの話で分かった。多分相手は無理やりパーティーメンバーを変えることも可能だ。

話されたときはまだ「提案」みたいな感じやった

多分、どうするかは俺らに委ねだれてる状況やと思うんよ

あくまで決めるのは俺らってことな

リーダーの俺が許可せんかったら、戦力調整は今のところ行われない

から...どうにか向こうを説得とか....

でも、どうやって....?

それが問題なんよぉぉ.....

頭を抱える初兎ちゃん。 りうらも説得する方法なんて思いつかない。

まぁ.....まだ時間があるんならそんな急ぐ必要も無いんやない?

そうだね。みんな心の整理とかもしたいだろうし....

それもそうだね

じゃあお開きにする?

そうするか

また今度話そう!

とりあえずお開きということになりそうだ。

...なぁ、まろちゃんりうちゃん

ん?

なぁに〜?

他3人が帰った後、まだ残っていたお茶を飲んでいたりうらと机の上を片付けていたまろに帰りかけた初兎ちゃんが話しかけてきた。

2人は....自分から「抜けたい」とか、言わへんよな?

不安でいっぱいの表情でそう言われる。

なんで?俺もまろもそんなこと言わないよ

初兎らしないなぁw

....そうよなっ!

変なこと聞いてごめん!また今度な!

ばいば〜い!

お邪魔しました〜!

はーい

...初兎ちゃん、不安なのかな

かもな

お互い抜けんでいこな

当たり前じゃん!

りうら

あっ、まろ!

パーティー会議から4日後。 昨日と一昨日はみんなでクエストをして「明日は自由行動で」と言ってお互い帰路についたはずだった。

起きたらまろに呼び出されたけど。

どうしたの、寂しいの〜?(ニヤニヤ

違うわw

2人必要なクエストに行きたくて呼ばれたと思ったので冒険者用の服を着てきたが、正解だったみたい。 向こうも黒魔の服を着ている。

どんなクエスト?てか俺呼ぶの珍しいね

いつもこういうときはアニキ呼んでるんだと勝手に思ってた。

あー....クエストちゃうんよ

黒魔の服なのに?

とりあえず座れるとこ行こ

う、うん....

まろが気まずそうに視線を逸らす。 それを見て、どんな話が待っているのか少し怖かった。

これ、(渡す

....封筒?

てかこれって...

この前初兎ちゃんが持っていたのと同じ、真っ白な封筒を渡される

まろと....りうらの名前.....?

今朝俺の家に届いとった

多分俺の名前が先に書かれとったからやと思う

中、見たの?

いや、一緒に見た方がええかと思ってまだ見とらん

魔物管理省からまろとりうら宛に手紙が来てて、それはパーティー全体に向けてじゃなくて俺らだけへの内容.....?

...怖いね

やっぱそうよな....

ないこにでも相談しに行くか?

いやぁ....ないくん昨日のクエストでまだ寝てるんじゃないかな

「それもそうやな」とまろが苦笑する。 結局2人で見るしかなさそうだ。

怖いからまろ開けて

ん、わかった(受け取る

封を開けて中から手紙を取り出す。

え...

これって......

え....っ?

ごめん

....そういうことやから

パーティー会議から5日後。 りうちゃんといふくんが打って変わって「戦力調整をしないか」という提案をしてきた。

な、なんで....?

この前はみんなで守る言うたやん

それに、2人とも自分からは抜けへんって.....

初兎ちゃんの顔が困惑に満ちる。 まだにわかに信じられない様子だ。 もちろん僕も信じられない。

なにかあったの.....、?

...ほんまに、気が変わったんや

嘘でも冗談じゃなさそうな雰囲気に喉の奥がピリつく。 「気が変わった」って何?そんなので「わかった」なんて言うとでも?

いきなり2人揃って何言うんよ....

だ、だって俺らが許可すればみんなは魔王討伐に参加できるんでしょ?

みんな、したいって言ったじゃん...

メンバー変えてまでしたいって誰も思ってないよ....!!

分かってるよ!!!

りうちゃんの声が続く言葉を遮るように響く。 自分でも思っていたより大きい声が出たみたいで、僕の顔を見てバツが悪そうに下を向いた。

分かってるなら、なんで.....っ

....2人で話して、

みんなに何の足枷も無くやりたいことしてほしいよなってなったんよ

足枷だなんて言わないでよ....

でも実際そうやろ?

上司である省長に抗った時点で、参加できたとしても他のパーティーと同等の扱いになるとは限らんやん

さっきのりうちゃんとは違って淡々と話すいふくん。でもそれが本心だとは思えなかった。

さっきからりうちゃんもいふくんも誰とも目を合わせようとしない。

そんな....気持ちを無視してまで最善を選ぼうとせんでええやんか.....

っ!

初兎ちゃんの頬には涙が伝っていた。

結果だけを求めて過ごしてたんなら、俺は2人に会えてないのに

"今"は無いのに

急にそんなこと言うんおかしいやん....っ

初兎ちゃん....

「ごめん」と言って涙を拭う。 そこからは初兎ちゃんまでもが俯いてしまった。

....本当に自ら抜けたいんなら、そんな辛そうな顔しないよね

....っ

多数決だとしても2対4だよ

3対3になるまでは、保留が妥当じゃないかな

...ないこに賛成

僕も....それがいいと思う

もっとも、3対3になるわけない。 初兎ちゃんも、ないちゃんも、アニキも、もちろん僕も、抜けさせようなんて思うはずないのだから。

でも....もし2人みたいに急に気持ちが変わったら......?

(本当に話し合ってて変わったのかな....)

誰かに吹き込まれたとかじゃないのかな。2人がこんなことを言うなんて、まだ信じられない。

初兎は?

...俺も賛成

じゃあ、2人ともそれでいい?

....うん

...わかった

また後味の悪い解散となった。

初兎ちゃんっ!(駆け寄る

いむくん....?

あれから数日、気まずい空気なのに変わりは無い。 しかしクエストはしないといけないので、暗い雰囲気の中一日を過ごす日々が続いていた。

みんなで解散した後、少し回り道をして初兎ちゃんを待ち構えてみた。 アニキと一緒じゃないみたいだ。

どうしたん?

あの日から初兎ちゃんの顔は一向に晴れない。なるべく明るい雰囲気にしようと尽力しているつもりではあるが、やはり暗い顔のままだ。

ちょっと話さない?

話したいことがあって

ええけど....

そこのお店入ろ!

何頼む?

俺今そんなにお金持ってへんねんけど.....

僕の奢りでいいよっ

貸1!

また奢れってことな.....w

じゃあオムレツで

僕カレーにしよ〜♪

んで、話したいことって?

水を飲みながら聞いてきた。 顔を上げたことで数日続いている目元のクマが見え、心がぎゅっとなる。

りうちゃん達のこと

いや、りうちゃんといふくんに限らず、パーティー全体のことかも

....やっぱそうよな

なんかないちゃんらも隠れてコソコソやってるよな.....、?

初兎ちゃんもそう思うよね

クエストをしていても感じる。 りうちゃんといふくん・ないちゃんとアニキ・初兎ちゃんと僕に自然と別れてしまっていることを。

りうちゃんといふくんの2人はまだ分かるのだが、後の2人は分からない。 最近ないちゃん達までもが口を聞かなくなってきたのだ。

雰囲気だけでも元気なのは僕くらい。 板挟みというより双方から圧迫されてる感じがしてさらに疲れる。

....ないちゃんと悠くんも抜けたいとか思っとるんやろか

さすがにそれは無いでしょ

.....と、思いたいけどね

いふくん達の件があったから安易にそう信じることは出来ない。

悠くん、今まで宿一緒に帰っとったのに最近は1人なんよ

「用事がある」って、解散した後もずっとどっかに消えるし.....

それも、ないちゃんと一緒にね

多分2人でなにかしてる。 てかそうとしか思えない。

....りうちゃん達に「抜けたい」って言われた時からずっと考えとるんよ

俺がないちゃんの提案に賛成したんは正しかったんかなって

正しく無かったと思うの.....?

確かに抜けてほしいわけ無いけど

でも本人たちは「抜けたい」って言っとるし.....

俺がやってるのは、交渉しに行った時のジュスティスと同じことちゃうんかなって不安になってくる

その言葉に自身の心が大きく揺れたのがわかった。

たしかに見方を変えれば...いふくん達の立場から見ればそうなのかもしれない。 本当に抜けたいのに、僕たちが許可しないからしんどい思いをしているのかもしれない。

僕たちのやっていることは"悪"なの?

....

ううん。そんなはずない。

だってあれは2人の本心じゃない。 あんな苦しそうな顔だったのに。

....信じるしかないよ

たしかに本当にそうなら同じかもしれないけど

「気持ちを無視した最善」は、ダメなんでしょう?

初兎ちゃんの気持ちも尊重されるべきだ。

...

そうよな....ごめん、変な事言った

そう言ってまた俯いてしまった。 ポジティブな言葉をかけたはずなのに、最近何を言ってもこれだ。

もう.....w

あ、そういえばさ

もう僕ら出会って1年だよね

そう考えればそうかも.....?

時の流れは早いなぁ

ほんとねぇ

何か、伝えないといけない気がする。

....僕を見つけてくれてありがとう、初兎ちゃん

え....?ど、どういたしまして....?

僕、この1年最高に楽しかった

だから、これからも楽しい日々にしよ?

そのためには笑顔で居てほしいな

僕、出会った時から初兎ちゃんの笑顔大好きだからさっ!(ニコッ

...せやな!

びっくりしたぁ....別れ話かと思ったわw

たしかに流れがねw

そうだ。1年過ごした僕らなら大丈夫。

誰になんと言われようと__きっと。

魔物監視省の職員

君が「スカイ」の狩人か?

はい。ナイコ・ミヴェーニュと申します

家に届いた真っ白な封筒。 俺だけの宛名。 見覚えのある内容。

そして目の前に居る省の人間。

(そういうことね....)

こうやって呼び出されるのは数日前から予想していた。

パーティーの中でこの広間に呼ばれたのは4人だろう。 初兎ちゃん、まろとりうら、そして俺。

魔物監視省の職員

ミヴェーニュ、君に話がある

「戦力調整」.....ですか?

魔物監視省の職員

あぁ、話が早くて助かる

魔物監視省の職員

1番物分りの良さそうな君に説得してもらおうと思って

「あのリーダーを」

....って感じで、王城に行ってきた

ないこの予想が当たったなぁ

りうらとまろの次は俺かなって思ったからね

省の人間から話されのは、簡単に言うと「戦力調整をリーダーに承諾させろ」という内容だった。

大人で、大型パーティーの元会計係長で、ランクも1番高かったから俺を選んだのだろう。 そういうことは「1番物分りの良さそうな」という言葉から察せる。

やっぱり向こうは俺らを内側から崩そうとしてるんだと思う

ないこを説得したら少なくとも3対3になるもんな

少しずつ呼び出して....嫌な手口だよ

りうらとまろにどんな言葉を吹き込んだのかは知らないが、おおむね「お前らが居なければメンバーは魔王討伐の称号を得られる」とでも言われたのだろう。

2人とも優しいから、それで無理やり自分を納得させて「みんなのために」と自ら退こうとしてるのだ。

で、ないこはなんて返したん?

俺はあくまで中立で、パーティー内の意見が3対2になったら考えるって言っといた

だから次は、アニキかほとけっちが呼び出されるかも

向こうは思ったよりもこちらの構成を知っているようだった。そしてそれは戦力的な面でも、精神的な面でも。

ほとけっちは独りになったり責められたりすると不安定になるところがある。 それを知られていたら呼び出されるのはほとけっちだろうな。

...まぁそこは今じゃなんともできないから後々考えよう

頼んでたこと、分かった?

おん

ひとつは確証がもてたで

なんでこんなにこっそりアニキとつるんでいるかというと、2人である調査をしているからである。

この魔王討伐の勧誘、何度考えても少し引っかかる。

なぜ戦力調整が必要なパーティーを「中でも優秀なパーティー」とするのか。 なぜあのベテランだらけの中にスカイが混ざれているのか。

なぜそんなにも俺らに執着するのか。

りうら達は省と繋がってる(無いと思うけど)かもしれない。 初兎ちゃん達は今は精神的に休ませてあげたいし余計な負担はかけたくない。

でも1人で調査は大変。 ということでアニキを誘ってみたところ、快くOKしてくれた。 さすがアニキ。頭が上がらない。

最近いむしょーに不審がられてきてちょっと焦ってるが.....多分まだ大丈夫。

やっぱり、集められたパーティーの中には武道家が2人しかおらんかった

アニキ入れて3人.....

まず気になったのが戦力調整の対象。 「Dならそれなりに役に立つだろう」という言葉に引っかかった。

あんな手練だらけのパーティーが集まっていたらC以上の武道家が居てもおかしくない。 それなのになぜアニキは戦力調整の対象ではなかったのか。

はぁ.....なんかこれはこれで悔しいな

俺は武道家が少ないから残されただけやったんやな

もしかしたらスカイに執着する鍵がアニキにあるのかと思ったが、武道家不足だという線が当たったみたいだ。

上にとってはそうかもしれないけど、俺らにとっては唯一無二だよ

そうよな.....ありがとないこ

それに、

アニキもっと強いのに申請サボってるからDのままなんでしょ?w

...それは言わんお約束や

目をそらされた。 申請して筆記頑張ればCくらいあるのではという俺の見込みはアニキの気が向くまで正解かどうか分からないみたいだ。

じゃあ....やっぱり初兎ちゃんが鍵か

もうそれしか考えられへんよな....

ほとけっちは由緒正しい家系の人間だから無理やり脱退させにくいのだろう。

そう考えれば.....初兎ちゃんしか居ない。

でもなんで?

初兎って別に、特別な家系の人でも無い....よな?

サンタのじいさんは一般人なはず.....ならその養子の初兎ちゃんも特別な家系だとは考えにくい。というか戸籍上は親子なんだからそれが当たり前だ。

(もしかして引き取られる前.....血筋になにかある?)

でもそこまでたどれるの? 魔物監視省がなんで知ってるんだって話だし....

初兎ちゃん自身からもそんなこと聞いた事ない。

いや.....それは無い...はず

....ますます謎やな

家系以外に視線を向けるなら....

スキルとか道具とか?

そういえば、あの謎の盾は今でも使っとるよな

謎のダンジョンで突然現れたという盾。 たしかに初兎ちゃんは今でも大事に使っている。

なにか特別な盾なのかな....

というか"急に現れた"という時点で普通の盾では無い。 疑う価値はありそうだ。

剣士の盾に関して調べてみるか?

途方も無さそうだけど....それくらいしか思いつかないよね

俺としてはパーティー解散は絶対に防ぎたいところである。

挫折し続けて見つけた居場所。 俺の「やるべきこと」がある場所。 これ以上"大切"を失ってたまるか。

誰になんと言われようが今ある幸せもこれから続くであろう幸せも守り抜く。

それ、調べてみよう

はぁ〜っ、疲れた!!!

ほんとモンスターの量すごかったね!まぁ僕戦ってないんだけど....

そういやこの街、チーズが有名なんだって!✨️

宿の夕食とかに出てくるかなっ?

....かもね

宿まだかな

....みんな塩対応すぎない? この状態数日続いてるの精神的に辛すぎるんだけど?

宿も3部屋別々に別れちゃうし、クエストでも妙に距離とられてるから話しかけずらいし.....

本当はもっと喋りたいし心から笑いたいのに。できないのが辛い。

あ、アニキ宿見えたよ

ほんまや

っ....

宿見えたけどちょっとここでストーーップ!!(バッ

突然、初兎ちゃんが進行方向に飛び出て両腕を広げた。 みんな面食らった顔をする。

どうせ帰ったらすーぐ部屋戻ってまうんやろ!

そうはさせへんで.....!!

先程まで今まで通り浮かない顔をしていたように見えた初兎ちゃん。 今は思っていたことをようやく行動に起こせて生き生きしている。

最近隠し事多すぎやない?

なんでもかんでも塞ぎ込んで、お互い口聞かずにだんまり

なぁ、りうちゃんないちゃん(肩を組む

うぐっ....

....(目逸らし

2人もだよねー(引き寄せる

おわっ、

なっ....お前グルかよ.....

僕はグルというより助手だ。 捕まえる要員。

全員が無言なパーティーとか意味わからんからな.....

たっっぷり話し合おうやないの....!

あぁ、生き生きしてるなぁ(棒)

続け

無謀なクエスト挑戦中

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コメント

9

ユーザー

これは最後の言葉に少しだけ圧が感じるゾ

ユーザー

𝑶𝒉...続き楽しみすぎる✨ 最高ですありがとうございます!!

ユーザー

最高✨‼続き楽しみすぎる~~~✨ 省長に心でくたばれと思いました! 仲直りしてくれ~~🙏

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