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これは最後の言葉に少しだけ圧が感じるゾ
𝑶𝒉...続き楽しみすぎる✨ 最高ですありがとうございます!!
最高✨‼続き楽しみすぎる~~~✨ 省長に心でくたばれと思いました! 仲直りしてくれ~~🙏
宿題、多くないですか???(真顔)
2024/08/7投稿
第53話
「すれ違い」
桃
桃
床に頭くっつけてるないくん。 鬼の形相のほとけっち。 ないくんの目の前を仁王立ちのまろ。 全てを見守り遠い目をしてるアニキ。
赤
そして口を出すタイミングが分からず かれこれ1時間この光景を眺める羽目になっている俺。
たしかにないくんはやりすぎだ。 初兎ちゃんにあんなに強いお酒を無理やり飲ませたんだから。
急性アルコール中毒にでもなっていたらどうするつもりだったのだろう。 彼も相当酔っていたっぽいし、酒というのは怖いものだ。
水
げっそりした顔のないくんにほとけっちが畳み掛ける。
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桃
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水
この2人からの罵倒が結構キツそうで、さっきから言葉の棘がないくんの心をグサグサ刺しているのが表情から見て取れる。
1時間これはりうらも無理かも。
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黄
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アニキが出した助け舟にりうらも便乗しておく。
桃
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2人が顔を見合わせる。
水
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ないくんの反省も見て取れる。 流石にもう許してあげてもいいと俺は思うけどな。
昨日、とりあえず初兎ちゃんを1番近かったまろの家で寝かせようということになりここに来たのだが、ないくんとアニキも寝てしまったのでほとけっちと俺以外はここで寝たらしい。
自身は自宅に帰って普通に寝ていた。 のだが、まだ暗い朝方にほとけっちに起こされた。そして説教のためここにつれてこられた。
最初は眠い中起こされたことが不満だったので、俺からも少し言いたいことを言わせてもらった。
赤
あの2人は怒らせたら怖い。 りうらも気をつけよう。
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桃
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まだ寝ているらしいけど、直に起きるだろう。 昨日の初兎ちゃんの顔を思い出す。
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自分たちのリーダーが頑固なのはみんな知っている。 多分なかなか口を割らないだろう。 でも一人で抱え込まれるのはごめんだ。
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赤
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赤
パーティー会場を離れていたときどこに行っていたのか、何をしていたのか。 せっかく閉じ込められている今、なんとしてでも吐かせないといけない。
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ガチャッ
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説教終了から10分ほどたった。 初兎ちゃんが寝ている部屋のドアが開く。
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一応挨拶を交わしたものの、気まずい空気が漂う。 初兎ちゃんもまさか全員居るとは思って無かったんだろうな。
水
水
ほとけっちが椅子を引く。 「聞かせて」という言葉を選んでいるけど、意味的には「意地でも聞くから」と大差無い。
初兎ちゃんは分かっていたのだろう。 大人しく座ってくれた。
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紫
ないくんの謝罪が終わって、初兎ちゃんが話し始めた。
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乗り気じゃなさそうだが逃げるのはもう諦めているのだろう。初兎ちゃんが「言っても怒らへん?」と保険をかけるように聞いてきた。
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さっきまでしょぼしょぼしてたないくんが心做しか生き生きしてるように見える。 役立つ情報を持ってたから嬉しいんだろうな。そういうとこあるよね。
そしてさっきの話を聞いて顔真っ青な初兎ちゃんは例の省長に一体なにをしたんだろう....
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召集された時点で不思議だったのに、さらに「中でも優秀なパーティー」なんて直接言われれば疑うのも無理は無い。
勇者パーティーの手助けなんて、りうら達が出来るのだろうか。
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桃
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赤
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初兎ちゃんは迷いと不安が入り交じったような顔をしていた。 でも聞かないとその顔も晴れないだろう。ちゃんと知ったら、みんなで解決してあげられるはずだ。
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多分まろは軽い気持ちで聞いたんだろう。たしかに昨日の初兎ちゃんはだいぶ苛立っている雰囲気だった。
強い口調・脅すような言い方をされてまろが言葉に詰まる。
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水
水
覚悟のこもった声音だった。
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言いたくなかったのだろう。 まだ曇った表情のまま、一呼吸おいて話し始めた。
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戦力調整の対象は自分だったらしい。 「メンバーから外して」という言葉。戦力調整の意味は分かっていたはずなのに、実際に聞くと辛い。
刹那、まろがひどく傷ついた顔をする。俺は驚きの方が強かったが、彼自身は「ランクが低い」とド直球に言われてかなり傷ついたみたいだった。
そんな彼と目があった。
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何か言わないと。 この暗い空気を変えれるのはきっと言われた側。その中でも多分りうらだけ。 どんな言葉を選ぶべきか。
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「後ろ盾」だと言われたほとけっちも傷ついているはずだ。 ベルリナに生まれたことで苦しんだ過去の話はもう聞いた。彼はベルリナとしてでなく、あくまで1人の白魔術師として生きていきたいはず。
現にほとけっちは俺らにとって後ろ盾なんかじゃなくて同等の仲間。 「ベルリナだから」なんて思ってない。
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赤
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赤
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青
無理した笑顔を向けられて心が痛む。 まぁ、自分も取り繕ってないと言ったら嘘になるのだけど。
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黄
そっと頭を撫でられる。 また子供扱いだろうか。別に嫌な気はしないけど。
思えばまろだって、俺がさらに不安にならないように笑顔を作ったのかもしれない。
桃
桃
水
水
赤
「分からない」 言いたくないけどそれしか思いつかなかった。
りうらの言った"最悪"は、省長に無理やり戦力調整を進められることだ。 まろもその可能性を分かっているから「自分から」と付け加えたのだ。
相当位が高いことがないくんの話で分かった。多分相手は無理やりパーティーメンバーを変えることも可能だ。
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頭を抱える初兎ちゃん。 りうらも説得する方法なんて思いつかない。
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とりあえずお開きということになりそうだ。
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他3人が帰った後、まだ残っていたお茶を飲んでいたりうらと机の上を片付けていたまろに帰りかけた初兎ちゃんが話しかけてきた。
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不安でいっぱいの表情でそう言われる。
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パーティー会議から4日後。 昨日と一昨日はみんなでクエストをして「明日は自由行動で」と言ってお互い帰路についたはずだった。
起きたらまろに呼び出されたけど。
赤
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2人必要なクエストに行きたくて呼ばれたと思ったので冒険者用の服を着てきたが、正解だったみたい。 向こうも黒魔の服を着ている。
赤
いつもこういうときはアニキ呼んでるんだと勝手に思ってた。
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赤
赤
青
赤
まろが気まずそうに視線を逸らす。 それを見て、どんな話が待っているのか少し怖かった。
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赤
この前初兎ちゃんが持っていたのと同じ、真っ白な封筒を渡される
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赤
青
魔物管理省からまろとりうら宛に手紙が来てて、それはパーティー全体に向けてじゃなくて俺らだけへの内容.....?
赤
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青
赤
「それもそうやな」とまろが苦笑する。 結局2人で見るしかなさそうだ。
赤
青
封を開けて中から手紙を取り出す。
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パーティー会議から5日後。 りうちゃんといふくんが打って変わって「戦力調整をしないか」という提案をしてきた。
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紫
初兎ちゃんの顔が困惑に満ちる。 まだにわかに信じられない様子だ。 もちろん僕も信じられない。
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嘘でも冗談じゃなさそうな雰囲気に喉の奥がピリつく。 「気が変わった」って何?そんなので「わかった」なんて言うとでも?
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赤
赤
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赤
りうちゃんの声が続く言葉を遮るように響く。 自分でも思っていたより大きい声が出たみたいで、僕の顔を見てバツが悪そうに下を向いた。
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さっきのりうちゃんとは違って淡々と話すいふくん。でもそれが本心だとは思えなかった。
さっきからりうちゃんもいふくんも誰とも目を合わせようとしない。
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初兎ちゃんの頬には涙が伝っていた。
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「ごめん」と言って涙を拭う。 そこからは初兎ちゃんまでもが俯いてしまった。
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桃
桃
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水
もっとも、3対3になるわけない。 初兎ちゃんも、ないちゃんも、アニキも、もちろん僕も、抜けさせようなんて思うはずないのだから。
でも....もし2人みたいに急に気持ちが変わったら......?
水
誰かに吹き込まれたとかじゃないのかな。2人がこんなことを言うなんて、まだ信じられない。
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また後味の悪い解散となった。
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あれから数日、気まずい空気なのに変わりは無い。 しかしクエストはしないといけないので、暗い雰囲気の中一日を過ごす日々が続いていた。
みんなで解散した後、少し回り道をして初兎ちゃんを待ち構えてみた。 アニキと一緒じゃないみたいだ。
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あの日から初兎ちゃんの顔は一向に晴れない。なるべく明るい雰囲気にしようと尽力しているつもりではあるが、やはり暗い顔のままだ。
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水を飲みながら聞いてきた。 顔を上げたことで数日続いている目元のクマが見え、心がぎゅっとなる。
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クエストをしていても感じる。 りうちゃんといふくん・ないちゃんとアニキ・初兎ちゃんと僕に自然と別れてしまっていることを。
りうちゃんといふくんの2人はまだ分かるのだが、後の2人は分からない。 最近ないちゃん達までもが口を聞かなくなってきたのだ。
雰囲気だけでも元気なのは僕くらい。 板挟みというより双方から圧迫されてる感じがしてさらに疲れる。
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いふくん達の件があったから安易にそう信じることは出来ない。
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多分2人でなにかしてる。 てかそうとしか思えない。
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その言葉に自身の心が大きく揺れたのがわかった。
たしかに見方を変えれば...いふくん達の立場から見ればそうなのかもしれない。 本当に抜けたいのに、僕たちが許可しないからしんどい思いをしているのかもしれない。
僕たちのやっていることは"悪"なの?
水
ううん。そんなはずない。
だってあれは2人の本心じゃない。 あんな苦しそうな顔だったのに。
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初兎ちゃんの気持ちも尊重されるべきだ。
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紫
そう言ってまた俯いてしまった。 ポジティブな言葉をかけたはずなのに、最近何を言ってもこれだ。
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何か、伝えないといけない気がする。
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そうだ。1年過ごした僕らなら大丈夫。
誰になんと言われようと__きっと。
魔物監視省の職員
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家に届いた真っ白な封筒。 俺だけの宛名。 見覚えのある内容。
そして目の前に居る省の人間。
桃
こうやって呼び出されるのは数日前から予想していた。
パーティーの中でこの広間に呼ばれたのは4人だろう。 初兎ちゃん、まろとりうら、そして俺。
魔物監視省の職員
桃
魔物監視省の職員
魔物監視省の職員
「あのリーダーを」
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桃
省の人間から話されのは、簡単に言うと「戦力調整をリーダーに承諾させろ」という内容だった。
大人で、大型パーティーの元会計係長で、ランクも1番高かったから俺を選んだのだろう。 そういうことは「1番物分りの良さそうな」という言葉から察せる。
桃
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桃
りうらとまろにどんな言葉を吹き込んだのかは知らないが、おおむね「お前らが居なければメンバーは魔王討伐の称号を得られる」とでも言われたのだろう。
2人とも優しいから、それで無理やり自分を納得させて「みんなのために」と自ら退こうとしてるのだ。
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桃
桃
向こうは思ったよりもこちらの構成を知っているようだった。そしてそれは戦力的な面でも、精神的な面でも。
ほとけっちは独りになったり責められたりすると不安定になるところがある。 それを知られていたら呼び出されるのはほとけっちだろうな。
桃
桃
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黄
なんでこんなにこっそりアニキとつるんでいるかというと、2人である調査をしているからである。
この魔王討伐の勧誘、何度考えても少し引っかかる。
なぜ戦力調整が必要なパーティーを「中でも優秀なパーティー」とするのか。 なぜあのベテランだらけの中にスカイが混ざれているのか。
なぜそんなにも俺らに執着するのか。
りうら達は省と繋がってる(無いと思うけど)かもしれない。 初兎ちゃん達は今は精神的に休ませてあげたいし余計な負担はかけたくない。
でも1人で調査は大変。 ということでアニキを誘ってみたところ、快くOKしてくれた。 さすがアニキ。頭が上がらない。
最近いむしょーに不審がられてきてちょっと焦ってるが.....多分まだ大丈夫。
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桃
まず気になったのが戦力調整の対象。 「Dならそれなりに役に立つだろう」という言葉に引っかかった。
あんな手練だらけのパーティーが集まっていたらC以上の武道家が居てもおかしくない。 それなのになぜアニキは戦力調整の対象ではなかったのか。
黄
黄
もしかしたらスカイに執着する鍵がアニキにあるのかと思ったが、武道家不足だという線が当たったみたいだ。
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桃
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目をそらされた。 申請して筆記頑張ればCくらいあるのではという俺の見込みはアニキの気が向くまで正解かどうか分からないみたいだ。
桃
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ほとけっちは由緒正しい家系の人間だから無理やり脱退させにくいのだろう。
そう考えれば.....初兎ちゃんしか居ない。
黄
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サンタのじいさんは一般人なはず.....ならその養子の初兎ちゃんも特別な家系だとは考えにくい。というか戸籍上は親子なんだからそれが当たり前だ。
桃
でもそこまでたどれるの? 魔物監視省がなんで知ってるんだって話だし....
初兎ちゃん自身からもそんなこと聞いた事ない。
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謎のダンジョンで突然現れたという盾。 たしかに初兎ちゃんは今でも大事に使っている。
桃
というか"急に現れた"という時点で普通の盾では無い。 疑う価値はありそうだ。
黄
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俺としてはパーティー解散は絶対に防ぎたいところである。
挫折し続けて見つけた居場所。 俺の「やるべきこと」がある場所。 これ以上"大切"を失ってたまるか。
誰になんと言われようが今ある幸せもこれから続くであろう幸せも守り抜く。
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....みんな塩対応すぎない? この状態数日続いてるの精神的に辛すぎるんだけど?
宿も3部屋別々に別れちゃうし、クエストでも妙に距離とられてるから話しかけずらいし.....
本当はもっと喋りたいし心から笑いたいのに。できないのが辛い。
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突然、初兎ちゃんが進行方向に飛び出て両腕を広げた。 みんな面食らった顔をする。
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先程まで今まで通り浮かない顔をしていたように見えた初兎ちゃん。 今は思っていたことをようやく行動に起こせて生き生きしている。
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僕はグルというより助手だ。 捕まえる要員。
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あぁ、生き生きしてるなぁ(棒)
続け