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ーー1度失っても欲しいものは欲しいままだった。
黒尾先輩と別れたのは、
雨の日だった。
理由は簡単。
『 重い 』
『 距離が近すぎる 』
『 今は無理 』
全部、正しい。
私は泣かなかった。
泣いたら、終わるから
月詠 ( ツクヨ )
それだけ言って、
傘も差さずに背中を見送った
黒尾先輩は振り返らなかった。
それだけでいい
だってーー
終わったなんて、思ってない
別れてから、
黒尾先輩は少しずつ壊れて行った。
笑う回数がへって、
夜遅くまで起きて
誰にも弱音を吐かなくなった
私は知ってる。
その"空白"が、
どれだけ人を不安にさせるか
だから、何もしない
連絡しない。
近づかない。
でも、消えない
同じ教室。
同じ廊下
同じ放課後。
視界からは外れない。
ある日、
黒尾先輩が言った
黒尾 ( クロオ )
黒尾 ( クロオ )
その瞬間、
全部戻ってきた。
月詠 ( ツクヨ )
私は微笑む。
1番、無害な笑顔で
月詠 ( ツクヨ )
月詠 ( ツクヨ )
嘘じゃない。
奪いに行ってるだけ。
黒尾先輩は、
困ったみたいに笑った
黒尾 ( クロオ )
黒尾 ( クロオ )
ーーほら、
別れたから
自由になったんじゃない。
逃げ場が無くなっただけ
私は、もう一度だけ言う。
月詠 ( ツクヨ )
前と同じ言葉。
でも意味は違う
今度は、
逃げ道を塞ぐため。
壊れてもいい。
嫌われてもいい。
1度選んだ人は、
最後まで私のもの