ここはとある中学校
へ向かう通学路。
井口ーイグチー
……。
井口は道端にうずくまっていた。
白石ーシライシー
(あれ、井口くんじゃん。)
白石ーシライシー
(あんなところにうずくまってどうしたんだろう。)
白石ーシライシー
(もしかして、体調悪い……?)
井口ーイグチー
……。
白石ーシライシー
井口くん、どうしたの?
井口ーイグチー
ん?
猫
ニャー
井口ーイグチー
猫と戯れてた。
猫
ニャ
白石ーシライシー
……。
白石ーシライシー
(余計な心配させないでよ馬鹿!)
井口ーイグチー
かわいいね〜。
白石ーシライシー
まぁ……うん。
井口ーイグチー
白石も撫でる?
白石ーシライシー
撫でる。
猫を前にすると嫌いな相手のことなんかどうでもよくなる。
そこに生まれる感情は「猫かわいい」だけだ。
猫
ニャーン
白石ーシライシー
(モフモフすぎでしょ。)
白石ーシライシー
(ずっと触ってたい。)
白石ーシライシー
(本当にかわいい。)
白石ーシライシー
かわいいかわいいかわいいかわいい。
井口ーイグチー
し、白石……?
白石ーシライシー
……。
白石ーシライシー
……声出てた?
井口ーイグチー
うん。
白石ーシライシー
……。
白石ーシライシー
井口くんのばーか!
井口ーイグチー
え、なんで!?
白石ーシライシー
ばかばか!もう知らない!
井口ーイグチー
し、白石〜!!
猫と戯れていただけで好きな人に馬鹿と言われた挙げ句置いていかれた井口。
ここまで来るとちょっと可哀想である。
井口ーイグチー
……。
井口ーイグチー
(なるほど、あれはツンデレってやつか。)
冷静に分析をするな。