TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

#1 お散歩

リリア

ほら、もっと早く
歩きなさいよ。

キララ

分かってるって
リリアさん。

キララ

でもキララまだ子供だし
多めに見てよね。

リリア

あれ?もしかして
森、一周しちゃった?

キララ

みたいだね。

キララ

うちのボロい建物が
見えるし、
多分そうだよ。

キララ

意外とこの森も
狭いんだねー。

リリア

相変わらずボロいわね。

キララ

うちの家
荷物がいつもより
散乱してるね。

キララ

何かあったのかな?

リリア

いや。

リリア

家じゃなくて
他の小屋よ、これ。

キララ

え?

キララ

汚いし、
うちに違いないよ!

リリア

あんたねぇ。

リリア

汚ければ全て
うちの家じゃないのよ、
分かってる?

キララ

分かってるけど
雰囲気からして家だよ。

リリア

まあ、確かに
汚いしうちの家かー

#2 牢のなかの姫君

リリア

汚っ!

キララ

ボロすぎる。

キララ

不・衛生的。

——助け……

リリア

誰かの声ね。

キララ

この声、聞き覚えが

キララ

キララ

ない。

リリア

あるわよ阿呆!

リリア

さっさと行くわよ!

キララ

えーー。

リリア

そうじゃないと

リリア

リリア

今日の昼ごはん
どうすんのよ!

リリア

あいつこき使うのに
都合いいから
殺すわけには
いかないのよ!

キララ

はいはい。

キララ

キララもそう思います。

キララ

結構奥の方から
音は聞こえますね。

リリア

そうね。

キララ

キララ、前に来た時より
怖いです。

キララ

確かこの奥は……

リリア

滝ね。

リリア

早く行きましょ。

リリア

いないわね。

キララ

声も聞こえなく
なっちゃいました。

キララ

ミラージュさん、
大丈夫かな。

リリア

さあね。

リリア

お昼ご飯さんは
大丈夫かしら。

キララ

リリアさん!
酷いですよ!

リリア

まあいいじゃない。
本人いないし。

リリア

ゴミ術師、
もう少し、
耐えてちょうだいね。

キララ

耐えると思いますよ!
ミラージュさんの
生命力は雑草以上です!

リリア

それはそれで気持ち悪い。

リリア

リリア

雑草野郎は
大丈夫でしょう。

リリア

放っておきましょう。

リリア

お腹と背中が
くっつきそうよ。
ご飯食べたい。

キララ

え、リリアさん
ってもしかして背骨も
内臓もないんですか?

リリア

物理的にじゃないわよ
表現的によ、馬鹿ね。

キララ

キララ

…………

リリア

なんで黙ってんのよ。

キララ

キララ

…………

……せ

キララ

声が、聞こえます。

リリア

間に合うわ!

キララ

キララ、分かりました!

キララ

この響き方は
トンネルの中です!

リリア

え?

リリア

さっきいなかったじゃない。

リリア

トンネルは直線で、
分かれ道もないのよ。

キララ

ならば!
隠し通路がどこかに
あるはずです!

キララ

キララ行きます!

ミラージュ

…………

ビシア

静かになりやがった。

ヴァロ

もう終わりだろうか。

ヴァロが退屈そうな声をあげると、首に下げた碧(あお)の宝石が揺れる。

ビシアはそれを見つめながら言った。

ビシア

いや、死んだふりだろ。

ヴァロ

脈もあるな。

ビシア

っち、この雑草め!

ビシア

こうなったら
とどめを刺すしかないな。

ミラージュ

キララ

あったよ、リリアさん!

リリア

よく気づいたわね!

キララ

トンネル全体に
白い粉を撒くことで
扉を誤魔化してたんだ!

キララ

でも、用心深く見れば
見つかったね。

リリア

よし、行くわ……

…………ぁぁぁ!

キララ

悲鳴だ。

キララ

もう間に合わないかも?

リリア

今行けば間に合う!

扉の先には

絶望的な"風"景が広がっていた。

リリア

なんで扉開けても
トンネルなのよ!

キララ

この直線を走り抜けて
奥の扉を開けば
着くはず!

リリア

間に合わないわよ!

リリア

だって、
150メートルはあるわ。

リリア

ゴミ術師ー!

キララ

悪魔女ー!

#3 さらに重なる罪

リリア

ついた、わ。

キララ

もうキララ、無理……

2人は部屋へ倒れ込む。

2人の足はすでに崩壊直前までに追い込まれていた。息までも白い蒸気と化し、2人は壊れかけた機関車のようだった。

キララ

キララ

ミラージュさん!
すぐに助け……

ミラージュ

キララ

ミラージュさん、
ミラージュさん!

リリア

おい雑草!
死ぬんじゃないわよ!

リリアはミラージュを助け起こそうとする。ミラージュはぐったりとして起きる気配もない。

突如リリアの視界は影に覆われた。

上を向く。 と、リリアの背中の筋肉がひどく強張る。

ビシア

ふっふっふ。

ビシア

お客さまでしたか。

ヴァロ

巻き添えにされるなんて
哀れだな。

リリア

ビシア!
なんの真似よ!

リリア

あたしの昼ごはん
どうすんの?

キララ

そうだそうだ!

キララ

キララのサンドウィッチ
どうするんだ!

キララ

今日ミラージュさんから
作ってもらうんだぞ。

ヴァロ

関係ない。

ビシア

サンドウィッチなら
ご馳走してやるよ。

ビシア

王国1のプロシェフに
作らせるぜ。
なあ王の息子さんよ

キララ

ビシアさん、
ふざけないで!

キララ

それにキララは
王様の子供じゃないよ!

ビシア

ビシア

妖魔……ふ。

キララ

こんなことして
なにになるんだよ。

キララ

ミラージュさん、
どうか……生きていて!

ヴァロ

こいつなら
もう脈も止まった。

ヴァロ

心肺停止すれば
医療でも与えられぬ限り
動物は死に絶える。

それはリリアにもキララにも分かる。

ビシア

そうだそうだ!

ビシア

こいつはもう
死んだも同然だ!

キララ

ビシアの馬鹿!

キララ

阿呆!

キララ

ゴミ屑!

キララ

あんたはクズ中のクズだ!

ヴァロ

感情的になるなよ坊や。

ビシア

うるせえ奴は
俺は嫌いなんだ。

ビシア

なあ、キララ。

ビシア

お前も串刺しに
してやるよ。

キララ

やめて!

キララはリリアの後ろに隠れる。

ビシア

リリア、
お前も連帯責任だ!

リリアの肉体を邪魔だと思ったのか彼女はナイフを空中にうならせている。

ヴァロ

ヴァロ

消えろ。

ナイフを突きつけられた。これくらいならきっと、見切れる!

そうよ、自然解凍。やるのよ! キララ、あんたはあたしが救う。

リリア

なんで……?

ヴァロ

思った通り、
すばしっこいな。

2方向から飛んできたナイフ。

それが皮膚を突き抜ける感触。

血液が撒き散らされて、あたりを全て赤く染め上げた。

ビシア

お、おい。
なんか、なんかやばいぜ!

彼女が言ったのはリリアの出血のことでも、キララがリリアに庇われて傷を負わなかったことでもない。

ヴァロ

ビシア

そうだ。

動物は心肺停止すれば死ぬ。

じゃあ……

ミラージュ

雑草は?

ミラージュ

やあ待たせたね、リリア、
キララ。

ミラージュ

迷惑をかけて
申し訳ないね。

キララ

ミラージュさん!

リリア

ミラージュ?

ミラージュ

今回は"ゴミ術師"とは
呼ばないんだね。

リリア

最期だと思ったからよ。

リリア

さすがにあんたのことだし
悪いあだなで
呼ばれたまま
死んだんじゃあ
悪霊にでもなって
出てきそうじゃない。

ミラージュ

はぁ……

ミラージュ

そんな無駄話は
いいだろう?

ミラージュ

さあリリア、キララ。
少し退いてくれ。

彼の赤い目は光の中では闇であり、闇の中では光である。

異端であること。それが "今時(このとき)の彼にとって"唯一誇れる長所なのかもしれない。

ビシア

お前……

ヴァロ

これは……

ミラージュ

ヴァロ、封印の
鎖が切れたようだね。

まさか、驚いた。このタイミングで切れるとは。

これを待って僕は生きてきたのか、または……

これのせいで、僕は延々と続く時計塔の針の中生きてきたのか。

いやあるいは……

ミラージュ

喰らえ、
殺戮魔法II。

生まれながらの運命があるのか。

リリア

あんた乱暴すぎるわ。
私たちももう少し
近くにいたら
巻き添えだったわよ。

リリア

雑草のくせに。

この"雑草"という呼び名は、今はなんだか不思議なことにミラージュを称えていた。

ミラージュ

……ごめんよ。

キララ

ミラージュさん、
カッコよかった!

ミラージュ

それなら、
よかったけどさ……

リリア

まあ、見直したわ。

リリア

ビシア、知らない人、
大丈夫ですか?

キララ

死んでますね。

キララ

ミラージュさん。
サンドウィッチ!

キララ

食べたいなぁ!

ミラージュ

いやぁ、今日は……

ミラージュ

リリア

焼き肉?

ミラージュ

違うさ。

リリア

リリア

ねえ雑草、
魔法は戻ったの?

ミラージュ

一時的に戻っただけさ。
さっきの魔法も
完璧じゃない。

ミラージュ

完璧には戻っていない。
せめてもの救いだよ。

ミラージュ

……血を浴びると
封印が解けるらしいから、
気をつけてほしい。

キララ

え?血なんて
キララ出なかったよ。

リリア

じゃああたしの血?

リリア

私の血であんたが復活……
気色悪いわ、生ゴミ野郎

ミラージュ

生ゴミ?

ミラージュ

ミラージュ

いやぁむしろ、
塵ぐらいかな。

#4 死体の中にただひとり

まさか2人を殺してしまうなんて、思わなかった。

いや、キララとリリアに彼らが手を出さなければ、彼らを殺したりなんてしなかったろう。

ミラージュ

ビシア、ヴァロ……

ミラージュ

死んだ……の?

ミラージュ

2人とは、もう少し
話していたかったよ。

ヴァロ

ヴィル……

ミラージュ

ヴァロ!

ミラージュ

生きてたんだね!

ヴァロ

一応吸血鬼だからな。
生命力はある。
お前ほどじゃないが。

ミラージュ

ビシア!

ミラージュ

おいビシア!

ミラージュ

返事をしてくれよ!

ヴァロ

お前がやったんだよ。

ヴァロ

やっと分かったか?

ヴァロ

何万もの人を
殺して殺して殺して。

ヴァロ

やっとそれで
分かったのか。

ヴァロ

さすがは低脳だ。

ヴァロ

もっと早く、
気づけなかったのか。

いや、気付けていた。

僕は魔法で遊んだことはない……

ずっと僕は、魔法に遊ばれていただけだったのだから。

僕は魔法のおもちゃなのだから……

ミラージュ

…………

ヴァロ

お前は最低な野郎だ。

ヴァロ

もう一度、
仕置きをせねばならぬな

ミラージュ

仕置き?

ヴァロ

当然だろ!

ヴァロ

お前には死んでもらう。

ヴァロ

いや、永遠に猛獣小屋に
隔離してやってもいいぞ。

ミラージュ

冗談は……

ヴァロ

思い起こせば
お前のせいで私の人生は
酷かった。

ヴァロ

私の孫娘
ビシアだってお前のせいで
死んだ!

ヴァロ

それ相応の仕置きが
必要ってことだろうな
兄上。

ヴァロ

ヴァロ

さあ、抵抗するな。

ヴァロ

永遠に苦痛を
加えてやるから
覚悟してろ!

苦痛?

何度だって何度だって味わった。

もう十分なほどに。

まだ?まだ罪を償えてないのか?

この生まれながら背負った罪を償えてないのか?

いや、償えた。お前は。

なんて、君がいうわけがあろうか。

ミラージュ

いや、絶対にいわない。反語法だ

ミラージュ

ヴァロ……

ミラージュ

ごめん。

ミラージュ

許してほしい。

ヴァロ

何をだ。

ミラージュ

僕は今から、
君を苦しめる。

ヴァロ

もう十分なほどに
苦しんだ。

ミラージュ

それは、僕も同じさ。

ミラージュ

ここで、
君は最期を暮らせ。

ヴァロ

ここか?

ミラージュ

永遠に外に、
出てもらうわけには、
いかない。

ミラージュ

おそらく20年くらいは
誰かが救いに来ない限り
外へ出られない
魔法は続くはずさ。

ヴァロ

じゃあ帝国を、
まとめるのは誰だ……

ミラージュ

さあ……

ヴァロ

後継のビシアも
お前が殺した。

ヴァロ

どうするんだよ。

ミラージュ

君にはリンとの間に
息子がいるだろ。

ヴァロ

だがあれは……

ミラージュ

王として終わるね。
君は間違いなく。

ミラージュ

でもさ、

ミラージュ

どうして自分の心配を
しないのかい。

ミラージュ

ヴァロ君が一番、
辛いはずだ。

ミラージュは、申し訳なさそうにうつむいた。

ヴァロ

……違う

ミラージュ

違う?

ヴァロ

本当に辛かったのは

ヴァロ

民衆でも私でもなく、
お前なんだよな。

ヴァロ

分かっていた。本当は。

ミラージュ

……どうして。

ヴァロ

本当は知ってた。

ミラージュ

何を?

ヴァロ

お前はあの鎖の正体、
知っててあの罠に
かかったんだろ……?

ヴァロ

でも自分が牢に
入れられるなんて
思わなかったんだよな?

ヴァロ

私は最低だ。

ヴァロ

お前を
何度も何度も裏切った。

ヴァロ

シャナと出かけた時も
お前をよく、
仲間はずれにして……

ヴァロ

私はこの程度、
大丈夫だ。

ヴァロ

ヴァロ

お前こそ、
情のかけすぎだ。

ヴァロ

私が外に出れないのは
日照時間だけ。
しかもたった20年なんて、
甘すぎる。

ヴァロ

私はもう子供じゃない。

僕は君のことを子供だなんて思っていない。

君は僕なんかより帝らしくて、強くて大人で真面目で……

ミラージュ

情けなんて、
かけるわけがない。

ミラージュ

君のことを
心の奥底から、
恨んで、憎んで、
そして妬んでいたさ。

ミラージュ

ミラージュ

でも、覚えている。

ミラージュ

本当に昔、僕が
シャナの前の使用人を
焼き殺す前さ……

ミラージュ

こっそり2人だけで
町の市場に出かけて、

ミラージュ

りんご飴と、
ガラス玉のネックレス、
買ったろう?

ヴァロ

ああ……

2人は、長く語り合っていた。

思い出のことも、今のことも、失ったもののことも。

全てを話し終えることはない。

ミラージュはヴァロを閉じ込める魔法を使ったことを気に病んでいたが、ヴァロは何もいわなかった。

ヴァロ

もう来るな。

ヴァロ

そして、お前が帝になれ。

ミラージュ

帝?僕が?無理だよ。

ヴァロ

お前にしかできない。

ヴァロ

ヴィル。

ヴァロ

いや、ミラージュ。

ヴァロ

お前に全ては頼む。

ミラージュ

ミラージュ

この雑草にお任せあれ。

ヴァロ

なんだ、雑草って。

ミラージュ

さあ……

ミラージュ

ミラージュ

1番の、褒め言葉かな。

キララ

あ、お話、
盗み聞きしちゃった。

リリア

一番の褒め言葉?

リリア

…………

リリア

リリア

きもっ

キララ

酷いですリリアさん。
そういうことじゃ、
ないと思いますよ!

この作品はいかがでしたか?

9

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚