君になりたくて

ーファイナルセットー

日坂 宙丘 5 ｰ 5

7 ｰ 6

あーもう疲れた

足が重い……

でも……諦めるわけにはいかない

優成は右手を挙げてトスを呼んだ。

ここで終われば、

キャプテンも引退だ

ってことは、光が泣くだろ

それはもう面倒だ＿＿

一颯は優成に託すように、トスをあげた。

優成の前には2枚のブロックが立ちはだかる。

バァンッッ！

優成のスパイクは相手ブロックを弾き飛ばし、コート外へと落ちた。

ピッ

8 ｰ 6

その時、

と、ネット越しから燈李が声をかけた。

燈李はじっと優成のことを見据えながら、言葉を続ける。

燈李はニッと口角をあげた。

優成はチラッとベンチ付近にいる光の方に目を向けた。

優成は光の隣にいる明里を見た。

8 ｰ 6

修也のサーブ。

レシーブは綺麗に咲久の元へと帰ってきた。

第2セットよりも思考は綺麗に澄んでいる

仲間がいるという事実だけで

こんなにも安心できるのか……

日坂に勝てれば、それでいい！

謙心と咲久の素早い速攻。

しかし、

バァンッ……！

凌のブロックによって、ボールは床に叩きつけられてしまった。

ピッ

9 ｰ 6

サッと血の気が引いていく。

やっと本調子に戻ってきたのに

それでも尚、一颯は俺の邪魔をするのか……

ピーッ！

ータイムアウトー

梢は選手たちにタオルやドリンクを配っていった。

燈李は咲久にゆっくりと歩み寄りながら、言葉を続けていく。

シン、…と静まり返る。

俺が

一颯に……勝つ？

今まで一颯を追いかけてきて

一颯になりたくて＿＿

そんな"目標"を越えろだなんて言われても＿＿

すると梢は咲久の方に手を伸ばし、

パチンッ

と、咲久の目の前で両手を叩いた。

すると梢は優しく微笑んだ。