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主
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風を運ぶ羊は、静かな願いに寄り添う
六奏神社の朝は、いつも風がいちばん先に目を覚ます。
木々の枝がさらりと揺れ、まだ白さの残る空気をふわりと撫でてゆく。
境内に広がる苔の香り、鳥居の朱色を照らす柔らかな光、しんとした静けさ――そのどれもが、風とともに動き出す。
その真ん中で、すちは竹箒を手に境内を掃いていた。
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桜の季節が終わりかけた六奏神社は、風が吹くたびに花びらが舞う。
美しいけれど、階段に積もれば滑ってしまうし、境内が汚れて見える。
すちは箒を軽く振りながら、階段の段をぴょん、ぴょん、と降りていく。
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誰もいないのを確認して、すちはふっと息を吸った。
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指先を軽く払うと、境内の空気が柔らかく渦を巻いた。
ふわり、と花びらが一斉に舞い上がり、風が軽やかにそれらを端へ運ぶ。
散っていく花びらは、まるで光を纏った羽のようだった。
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すちは自分に言い訳するように呟き、少し笑った。
六奏神社は、不思議な場所だ。
“行こう”と思って来られるし、“迷っていたら気づけば着いてしまう”こともある。
ふらっと歩けば辿り着く時もあれば、「ここに来るつもりじゃなかったのに」と立ち止まる参拝者もいる。
理由は簡単。
――六人の神様が見守っているから。
人間は知らないけれど、この神社はわずかに“道が導かれる”場所だった。
だからこそ、すちは毎朝の掃除を欠かさない。
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花びらを集めて階段の横へ寄せながら、すちは鼻歌を歌った。
すると――
階段の少し下の踊り場で、ひとりの少年がしゃがみ込んでいるのが目に入った。
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年は十歳前後。
額に汗がにじみ、息が少し荒い。
すちは箒を立てかけ、そっと近づいた。
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声をかけると、少年はびくりと肩を揺らした。
驚かせちゃったかな、とすちは柔らかく笑う。
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少年は苦しそうに息をしながらも、はにかむように笑った。
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すちは、少年の“小さな決意”を感じ取った。
きっと、頑張って来たかったんだ。
息が上がるくらい苦しかったのに、それでもここまで上ってきた。
そんな人を、放っておけるはずがなかった。
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少年は戸惑った。
だが、困ったようなすちの優しい笑顔に押され、
そっとすちの背中に腕をまわす。
すちは少年を軽々と抱え上げた。
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すちの歩幅は大きくて、どこか風に乗っているように軽やかだ。
少年は驚くほど楽に階段を登っていけた。
階段を登り切ると、途端に空気が変わった。
先ほどまでいた参道とは違い、社の前はどこか神聖で、静かで、澄んでいる。
少年はすちの背中から降り、深く頭を下げた。
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すちは軽く手を振る。
少年は賽銭箱の前へと進むと、ポケットから丁寧に小銭を取り出した。
カラン、と澄んだ音が響く。
そして両手を合わせ――小さく、小さく呟いた。
すちは思わず目を瞬いた。
風……?
自分の力を求める願いに、胸の奥で何かがふわりと震える。
少年の声は小さかったが、その願いには切実な響きがあった。
何かを吹き払いたいのか。
誰かの背中を押したいのか。
それとも、自分自身を動かす“風”が欲しいのか。
すちは聞き返さない。
神様は、祈りを強引に覗いてはいけない。
少年が願い終えると、ぺこりと頭を下げ、すちに笑顔を向けた。
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少年は元気よく階段を駆け下りていった。
すちはその背中が見えなくなるまで見送る。
そのとき――すちの身体に、ふわりと変化が訪れた。
髪の間から、ふかふかした羊の耳が生え、腰からは小さな尻尾がひょこんと現れた。
すちは両手を胸の前で合わせる。
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柔らかい声は、そよ風と同じ音で境内に溶ける。
すると、社の周りの空気が静かに揺れた。
見えないはずの風が、あの少年へ向かうように流れていく。
……これで、きっと大丈夫……
すちはそっと人の姿へ戻ると、再び箒を手に取った。
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いつもの声。
いつもの朝。
けれど、胸の奥のあたりがじんわりと温かかった。
その日の午後。
すちは、いるま(猫)の散歩に付き添いに出ていた。
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すちは少し不服そうに口を尖らせる。
その腕元には、大事そうに抱えられた黒猫がいる。
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少し諍い気味になりながらも、2人は散歩を続ける。
ふと、すちは足を止めた。
いるまはすちを見上げ、首を傾げる。
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河川敷には、今朝お願い事をしていた少年が紙飛行機を片手にしゃがんでいた。
少年は、祖父とよく紙飛行機を飛ばして遊んでいた。
然し、最近は紙飛行機は上手く飛ばないし、祖父も病院にいる。
また祖父と一緒に紙飛行機を飛ばしたい、その思いで、少年は風を祈った。
紙飛行機を握りしめ、深呼吸する。
指先から離れた紙の翼は、空へ向かってふわりと飛んだ。
そのとき――ひとすじの優しい風が、川面からそっと吹き上げた。
紙飛行機は勢いを失わず、くるりと綺麗に弧を描いた。
少年の目が輝く。
風は背中を押すように、ずっとそばに寄り添っていた。
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すちの頬が緩む。
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いるまは何も言わず、ただにゃん、と鳴く。
すちは止めていた足を少しずつ動かす。
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風を運ぶ羊は、静かな願いに寄り添う
コメント
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あらまぁ🍵くんの羊なんて絶対にかわいいじゃない〜♪(?) やっぱ📢くん🌸くんに怒られたんだwww 続き楽しみにしてます!!!