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花は血で咲いた。

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花は血で咲いた。

19 - 第十七話 「黒花、咲ク。」

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2025年08月11日

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第十七話 「黒花、咲ク。」

山間の地下空間。

静寂の中、ひとりの人物が現れる。

その足元には、焦げたHYDRANGEAのマーク。

手には、かつて交わされた一枚の盟約書の切れ端。

山梨

奪われたんじゃない。

山梨

“黙って奪わせた”んだ、あの時。

彼の後ろには、各地方からの“HYDRANGEA未所属県”が、次々に並ぶ。

静岡、新潟、長野、富山、石川、福井、岐阜……

山梨

忘れるな。

山梨

俺たちは、咲くことさえ拒まれた花。

山梨

だから――咲くんだ。

山梨

“お前たちの血”でな。

緊急通達が七都市に届く。

《緊急報告:山梨、組織名“九花連盟(Hydrangea-IX)”を宣言》

《未所属県連合による、対HYDRANGEA戦線の構築が始動》

北海道の病室に、その情報が伝わる。

北海道

……“九花連盟”か。

北海道

皮肉な名だ。

宮城は舌打ちしながら会議に乗り込む。

宮城

つまりこれは、“除け者たちの戦争”だ。

福岡が苛立ちを隠さず叫ぶ。

福岡

いい加減にしろ!

福岡

このまま放っておいたら、

福岡

“花”なんかじゃなく“毒草”になるぞ!

愛知は一人、古びた屋根裏に登っていた。

埃をかぶった木箱。中には――

山梨との写真、

HYDRANGEA草案に記された“八番目の候補地:YAMANASHI”。

愛知

……言えなかった。

愛知

お前の夢、俺が奪ったこと。

愛知

だけど、それでも――

愛知

まだ、間に合う気がしてたんだよ。

広島の部下が青ざめた顔で報告する。

部下

第九からの予告文です。

部下

“8月15日、最初の花を散らす”。

広島

ターゲットは?

部下

不明です。が、文末にはこうありました。

『“奪ったお前たちへ。まずは、奪い返す。”』

東京が重く言う。

東京

九花連盟が、明確に敵意を持って動き出した以上、

東京

我々も非常体制へ移行する。

大阪が眉をひそめる。

大阪

言いたかないが……

大阪

“内側の傷”をそのままにして、外と戦えるか?

宮城

誰かが、いまだに九花連盟と繋がってるんじゃ、

宮城

背中から刺されるだけやろ。

宮城が静かに返す。

福岡

なら、逆に聞こう。

福岡

“繋がってた者”が、自ら手を引いた可能性は?

福岡が言う。

宮城

手を引いた?

宮城

それ信じて、命預けられるか?

沈黙。

そんな中、北海道がついに姿を現す。

北海道

……俺が、刺された理由を言おうか。

全員が彼を見つめる。

北海道

それは、“ある都道府県”が九花連盟に情報を流したからだ。

北海道

だが――裏切ったのは、そいつの意志じゃなかった。

北海道

“脅されてた”。家族をな。

夜の屋上、風が鳴る。

愛知は手に例の書状を握りしめていた。

そこへ、誰かが背後から現れる。

声は、静かで、懐かしかった。

山梨

まだ、あの日のことを覚えてるんだな。

振り返ると、そこにいたのは――

山梨。

大人びた目、淡い紫のスーツ、

手にはもう一輪の“黒い紫陽花”。

山梨

俺はまだ信じてる。

山梨

“一緒に咲こう”って言葉をな。

愛知が言う。

愛知

じゃあ、なんでこんな方法を選んだ――!

山梨は少し笑った。

山梨

俺は、咲きたかったんじゃない。

山梨

“咲かせてほしかった”だけだ。

山梨

それを拒んだのは……お前たちだ、HYDRANGEA。

そして、“8月15日”に、最初の攻撃が来る。

それがどこで、誰を狙い、何を奪うのかはまだ不明。

だが――

ついに、花は真に咲き乱れはじめた。

“誰か”が、失われる。何を失うかは……選べない。

“最初の喪失”は、都市そのものか、誰かの信頼か、絆か。

HYDRANGEAが試される、最初の刃が振り下ろされる――。

次回

第十八話 「最初の喪失」

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