19XX年
アメリカで、異常な猟奇殺人が行われた
人間の頸動脈を切断し生命活動を停止させ、死体になった人間の服を脱がせ血で体に何らかの宗教的イメージを与える模様を描き
犯人が用意したのだろう白いタキシードの様なものを体に描いた模様が見えるように羽織らせ
アイスピックの様なもので開けたのだろう穴に様々な種類の花をさす
そして犯行現場の壁にフックをとりつけ、死体を飾る
最初は犯人はすぐに捕まると考えられていた。しかし現場に指紋や髪の毛が一切落ちていなく、足跡や唾液も見つからなかった
捜査は難航し、犯人が捕まるまでに27人もの犠牲者が出た
そして多大なる犠牲を払い、捕らえることに成功した犯人はマリー・レイシスという当時23歳の女性だった
犯行時、太ももくらいの長さの白いドレスに白い花とレースをあしらったカチューシャをつけていた事から、マリー・マリー(Marry・Marie)と呼ばれた彼女は
逮捕されてから一年後に、死刑となった
シャルス
大学生のシャルスは、数十年前の犯罪者マリー・レイシスについて調べていた
マリー・マリーと呼ばれ、ドレスで多くの人を殺害したシリアルキラーだ
158cmと小柄でありながら、彼女自身よりも体格の大きい人間を難なく殺してきたのには、なにか裏があるのだろう
シャルスにとっては、凄く興味深い事だった
シャルス
見つけたのは、一冊の本で『白いドレスのシリアルキラー』というタイトルがつけられている
シャルス
本をパラパラとめくっていると、中から1枚の紙が落ちた
シャルス
落ちた紙を拾ってみると、それは1枚の写真だった
シャルス
マリー・レイシスの写真だ
おそらく死刑になる前に取られた最後の写真だろう
かなり貴重なものの筈だ
シャルス
白黒だが写真の中の彼女は美しく、恐ろしい印象を与えてきた
それと同時に、何故か頭がフラフラしてくる
シャルス
突然視界がブラックアウトして、意識が途切れた
19XX年代
シャルス
目が覚めると、見たことも無い場所のベンチに座って眠っていた
近くには古い公衆電話があって、中で髪の短い女性がどこかと連絡を取っている
マリー
マリー
漏れ出てくる会話内容から察するに結婚式場のスタッフのようだ
やがて話が終わったのか、受話器を置き、女性はこちらの方へ歩いてきた
シャルス
ショートヘアにキリッとした顔立ち
そしてどこか不気味に感じさせる笑み
間違いない
マリー・レイシスだ
どうやらマリーはこちらの視線に気付いた様で、
マリー
シャルス
マリー・レイシスは頭の切れる犯罪者だ
さすがにここで殺すような真似はしない
シャルス
しかしターゲットにされる可能性はある
何事も無く終わってくれ
マリー
マリーは疑わしそうにこちらを凝視すると、手帳にメモをとりながら、去っていった
シャルス
取り敢えずさっきの場所から移動して、考える
マリー・マリーのターゲットには一貫性がない
年齢、性別、住んでいる地域もすべてバラバラ
もしかしたら、目に付いた人間をターゲットにしていたのかもしれない
そうなると、マリーを見続け、話しかけられてしまった自分は……
シャルス
マリー
シャルス
カフェ内の自分の座っている席の向かい側に、マリーが立っていた
マリー
シャルス
シャルス
マリー
マリー
シャルス
マリー・レイシスがカウンセラーだったという記録は残っていない
これは歴史的新発見かもしれない
マリー
マリー
マリーが向かい側の席に座る
マリー
シャルス
マリー
一応マリーには、一部事実を変えてタイムスリップした事を伝えた
シャルス
マリー
シャルス
マリー
マリー
シャルス
マリー
マリー
マリー
マリー
シャルス
おそらくマリーは捕まらないと思っている
ここまで来る途中に新聞を確認したが、マリーの姿が目撃されてしまった時だ
それなら今日殺されるのは警察の調査から帰る途中の目撃者だ
捕まってしまうことをマリーに話す訳にはいかない
マリー
マリー
マリー
シャルス
マリー
マリー
マリー
マリー
シャルス
女性
女性
女性
マリー
女性
太ももの長さまでの短いドレスに、白い花やレースのカチューシャ
シリアルキラーのマリー・マリーは、女性が叫び声をあげるよりも前に、素早く頸動脈を切断した
これでも直ぐに死んではくれないので、首筋部分に手刀を叩き込み、気絶させる
マリー
前日に家をサーチした甲斐があった
会社の同僚から借りてきた車に血を出し続ける女性の死体を放り込み、借りたキーを回して車のエンジンをかける
マリー
そのままアクセルを踏み、女性の家へと車を発進させた
シャルス
こっそり後を追っていたが、まさか車で逃げられるとはおもってなかった
シャルス
自宅で発見されていた
となると、マリー・マリーは被害者の自宅に向かった可能性が高い
シャルス
マリー・マリーの犯行は時間がかかる
走っていけば間に合う筈だ
マリー
マリーは足跡を残さないように靴を履き替え、中へ入る
死体を引きずり、床に寝かせる
マリー
取り敢えず邪魔な服を切って脱がせる
そして体の要所要所にカッターで切り傷を入れ、そこから血を伸ばしていく
マリー
白い手袋を赤く染めながら、緻密な柄を描いていく
マリー
マリーは持ってきた袋の中から白い真ん中の開いたワンピースを取り出した
真っ赤な色で書かれた模様を崩さないようにそっと死体の体を持ち上げ、ワンピースを器用に着せていく
マリー
シャルス
一体どうするべきだろう
自分には到底マリー・マリーの犯行を止めることは出来ない
かなり体格差のある相手でも簡単に自分の美術品に変えてしまう女だ
きっと瞬殺されてしまう
シャルス
ずっと調べてした白いドレスの君
その犯行の様を少し見てみたい
ガチャガチャ
マリー
マリー
マリー
別に中まで人が入って来なければ大して支障はない
しかし誰かに楽しい時間を邪魔されるのはごめんだ
シャルス
扉の向こうから声がする
マリー
昼間に会った青年だ
一回撒いた筈なのにまさか追ってくるなんて
マリー
シャルス
マリー
ずっとずっと誰かに自分の作品を認められたかった
マリーの母
マリーの父
マリーの母
マリーの父
マリーの母
マリーの父
そうか…僕は……
誰かに、「これは芸術だ」って認めて貰いたかったんだ
扉が、ぎぃっと音を立てて、ゆっくり開いた
殺されるかもしれないと、思わず体を硬らせる
マリー
シャルス
マリー
シャルス
赤く濡れた手袋をした手にゆっくりと手を引かれ、彼女のアトリエへと足を踏み入れた
シャルス
気がつくと、写真を持ったままボーッと立っていた
なんか長いゆめでも見ていた気がする
シャルス
写真に目を落とすと、白黒のマリー・マリーは、満足そうに微笑んでいる様に見える
シャルス
写真を本の中にしまい、その本を借りて、シャルスは日常生活へと戻っていった
コメント
12件
めっちゃ面白かった! 読み始めてすぐ作品の世界に惹き込まれました…… 続編待ってます
描写がリアルで、とても面白かったです! シャルスは、共鳴してしまったんですね💦 マリーマリーのような事件を起こさないか心配です。
世界がとっても好きです!!