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キーンコーンカーンコーン

友達

あ、杏…っ!

ん?……って、どうしたの?!泣いてる?!

友達

ごめっ…私、どうすればいいのか分かんなくて…!

う、うん!どうしたの?

友達

こ、これ……っ

……手紙?

友達

『不幸の手紙』らしくて…っ、48時間以内に誰かに同じ内容の手紙を渡さないと、不幸になるらしいの…!

友達

でも、私、友達少ないし……っ

友達

も、もうすぐ48時間経っちゃうから…!

友達

お願い!この手紙貰ってくれない?

えっ、私?!

友達

杏なら友達多いし、渡せる人たくさんいるでしょ?貰ったらすぐ誰かに同じ内容の手紙渡して!

……いいよ、分かった!それ私が貰うね!

友達

本当に?!ありがとう、杏!!今度スタベ奢る!!

あははっ、楽しみにしてるね〜

友達

本当にありがとう!すぐ他の人に渡してね!

はいはーい

(って、言ってもな〜……)

(不幸の手紙とか…他の人に渡すの、気が引けるなぁ…)

(でもでも、持ってて本当に不幸になっちゃったらどうしよう…!!)

(うーー!!怖いよぉ…!!そういうのホント無理なんだけど…!!)

(そもそも、不幸の手紙とかまだ流行ってたんだ…)

(…これ、どうしよ……)

友人

彰人、知ってる?不幸の手紙ってやつ。

彰人

あー、都市伝説だっけ?

友人

そうそう!ほら、チェーンメールとかめっちゃ昔流行ってただろ?

彰人

あぁ、母さんの時代とかな。聞いたことはあるわ。

彰人

で、急になんでその話?

友人

今、1年の間で流行ってんだよ!○○もこの間回ってきたんだって!

彰人

は?マジ?

彰人

つーか、不幸の手紙とか嘘くせぇもん、本当にあるわけ……

彰人

(…でも、無いとは言いきれないか。)

友人

彰人、もしお前が回ってきたら遠慮なく俺に寄越せよ!

彰人

はぁ?絶対に渡さねーわ

友人

お前ならそう言うと思った!

友人

でもさ、実際、不幸の手紙が友達から渡された時って…結構、複雑じゃね?

彰人

あー…たしかに。ちょっとはショックかもな。

友人

本当に、誰がなんの目的で広め出したのかな〜

彰人

だな。……って、ん?

友人

どうした?

彰人

いや、知り合いが……悪い、先行ってて。

友人

OK〜!この後移動なの忘れんなよ〜

彰人

おう

嫌だよこはねぇぇぇ!!!返してっ!!

こはね

だ、ダメだよっ!!

彰人

おい、うるさいぞ。廊下で何やってんだ。

あ、彰人ぉ……!!!!

彰人

えっ、お前泣いてんの?!どうした?!

うぅぅぅ…!!!どーしよう!!こはねが、こはねが!!!

彰人

は、はぁ?

こはね

だ、だって杏ちゃんが……!!

彰人

不幸の手紙を杏が貰った?!

彰人

それで、更にこはねがその手紙を(無理矢理)受け取ったって?

こはね

うん……

彰人

相変わらず杏はお人好しというか…

うぅ、嫌だよぉ……!!こはねが不幸になっちゃう…!!!

こはね

だ、だってきっと杏ちゃん、誰にも渡さないでしょ?

そ、そうだけど…!!

でも嫌だよぉぉ!!!

こはね

そ、そんな事言っても…もう受け取っちゃったから。

じゃあ返してよぉ!

こはね

だ、ダメだってば!

彰人

あー、はいはい。事情は分かった。

彰人

おい、こはね。その手紙俺に寄越せ。

こはね

えっ?

え?!ダメだよ!彰人が不幸になっちゃうじゃん!!

彰人

迷信だって。俺が貰って捨てといてやるから、それ貸せ。

こはね

す、捨てたり燃やしたりするのは絶対ダメらしいよ!その手紙にした事が自分の身にも起こるんだって!

何それ?!怖っ!!?

彰人

へぇ、そりゃ本当だったらシャレにならねぇな。

彰人

ま、怪異部にも丁度いい材料だろうし、寄越せよ。

カツアゲだ!

彰人

うるせぇ

こはね

で、でも…

彰人

大丈夫だって。いつまでも杏に泣かれる方がうるさくて困る。

酷い!

彰人

こはね、頼む。早くそれ渡せ。

こはね

う…でも…

彰人

はぁ…しゃーねーな

隙を見てこはねの手から手紙を取り上げた。

こはね

あっ!

あ!!勝手に取った!!

彰人

いつまで経っても渡さないからだろ。これは俺が貰っとくから。

でもでも!!彰人が不幸になったらどうするの?!

か〜え〜し〜て!!

彰人

無理。

キーンコーンカーンコーン

彰人

…あ、やべ!次移動じゃん!

こはね

あっ!し、東雲くん待って!!

もーー!!ホントに勝手なんだから!!

こはね

ど、どうしよう…あの手紙、色々良くない噂があるのに…!

あとで取り返しに行こ!私達も授業遅れちゃう!

こはね

う、うん!

放課後

生徒

なぁなぁ、聞いた?不幸の手紙。

(む?)

生徒

聞いた聞いた!あの、貰ったら他の人に渡さなきゃ不幸になるってやつだろ?

生徒

それそれ!

(不幸の手紙か……懐かしいな。母さんの時代辺りで流行ったんだっけ。)

(都市伝説としては有名で、一時は社会現象にもなった程だが…まさか、今聞くとはな。)

(ハッ、もしや、怪異部の新聞で怪異に興味を持つ生徒が増えたのか?!)

(きっとそうだ!また新聞部にお礼を言わねば!)

ガチャッ

おぉ、彰人ではないか!!

彰人

あ、こんにちは。

む、その読んでるのは…もしやラブレターか?

彰人

いや、不幸の手紙です。

そうかそうか!お前も隅に置けな…

………ん?

彰人

改めて読むとアホくせぇ〜

ん?!?!?彰人?!今、「不幸の手紙」と言ったか?!

彰人

え?はい。

ん?!?!ちょ、それ見せてくれ!!

彰人

どーぞ。

『この手紙は不幸の手紙です。  この手紙を48時間以内に別の誰かに渡しなさい。  手紙の文面は一切変えてはいけません。  これを守らないと不幸になります。  信じられないかもしれませんが、これを守らなかった三重県の鈴木宏美さんが、原因不明の死を遂げました。』

う、うぉ……!!!?

何故こんなものを?!

彰人

あー、今、1年の間で流行ってるらしくて…

彰人

………なんか、流れで貰いました。

なんと?!

ど、どど、どうする気だ?!オレが貰おうか?!

彰人

いや、絶対渡しませんよ。

緊急!緊急会議だ!早く類と冬弥を呼べ!!

冬弥

『この手紙は不幸の手紙です。
 この手紙を48時間以内に別の誰かに渡しなさい。
 手紙の文面は一切変えてはいけません。
 これを守らないと不幸になります。
 信じられないかもしれませんが、これを守らなかった三重県の鈴木宏美さんが、原因不明の死を遂げました。』

へぇ…不幸の手紙ねぇ、

冬弥

誰だ、東雲にこんなものを渡した人は…

彰人

あー、違う違う。俺が頼んで貰ったんだよ。

な、何故?!

彰人

そりゃ…その人が持ってたら、不幸になるかもしれないから?

なるほど、君はやはりかなりのお人好しなんだね。

冬弥

…東雲、その手紙俺に渡してくれないだろうか?

彰人

無理。万が一本物だったらどうするんだよ。

そ、それは彰人もだろう!!

ふむ……

……なら、僕にくれないかな?

彰人

いや、話聞いてました??

僕はきっと大丈夫だよ。今更不幸なんて怖くもなんともないし。

駄目だっ!!!!

わっ?!

探すぞ!不幸の手紙の断ち切り方!

司くん、そんな面倒なことしなくても、きっと僕は大丈夫だよ。

ダメに決まってるだろう!!

それに、考えてみろ。お前自身に不幸が降りかかるとは限らないだろう?

例えばオレや、彰人に冬弥…家族とか、身近な人に降りかかる可能性もゼロじゃないじゃないか。

そ……それは…困るね、

だろう?

それに、そうでなくてもお前が不幸になるのは嫌だ。

…そっか。

彰人

じゃあ探します?不幸の手紙の断ち切り方。

あぁ!!

冬弥

燃やしたり、破って捨てるのは?

彰人

あー、なんかダメらしいぞ。手紙にした事が、持ち主の身にも起こるらしい。

おや、それは恐ろしいね。

丁重に扱わねばならないじゃないか!ファイルにでも入れておくか?

冬弥

そうですね。万が一、破れたり折れたりでもしたら…

あ、あまり考えるのは辞めよう…

それにしても、不幸の手紙の断ち切り方なんてどうやって探すんだい?

それなんだが、たった今思い出したんだ。

えっと、どの床だったかな…

彰人

床……?

あぁ、あった!ここだ!

冬弥

?少し色が違う床ですね。

ここを、こうやって押しながら引っ張ると…

パカッ

彰人

?!

床が……あ、開いた?

ふっふっふ、なんと隠し収納庫になっているのだ!

冬弥

こ、ここ3階ですよね??

そんなスペース…というか、手作りのように思えるけど…?

先輩方が改造して作ったものだ!

彰人

やっっば

バレたら退学ものだね。

冬弥

マスターキーと言い、その先輩方は何者なんですか…?

まぁまぁ、細かいことは今はいいじゃないか。

ここに隠してある資料は、怪異や都市伝説について詳しく纏めてある。それこそ、ネットに出回ってないことまで書かれていたはずだ。

この中になら、不幸の手紙の断ち切り方も書いてあると思う!!

なるほど。とにかく、この資料たちを調べればいいんだね。

そういう事だ!

彰人

じゃ、手分けして探していきますか。

冬弥

そうだな。先輩、この床下の資料、上に引き上げていいですか?

ああ!とりあえず全部引き上げるぞ!

彰人

……ん?何だこれ

冬弥

どうした?

彰人

なんか箱があった。

箱だと?

冬弥

箱は箱でも…木箱のようだな。

彰人

…開けてみます?

ちょっっと待て!!もしも封印された呪い系とかだったらどうする?!

冬弥

先輩方が作ったものの可能性は?

そ、それは無きにしも非ずだが…

…その箱、開けられないと思うよ。

彰人

え?何でですか?

よく見て。箱に薄ら切れ目があるだろう?

冬弥

…本当だ。見えにくいですが、たしかにありますね。

それ、からくり箱だと思う。

か、からくり箱?

彰人

…あ、たしかに。普通にやっても開く気配無いっすね。

な、なんだ…そうか。なら、それは一旦戻しておこう。

今はとにかく資料探しだ!

うん、そうだね。

よし、これで資料は引き上げ終わったな。

冬弥

すごい量ですね…

ああ。これを4人で手分けして読むぞ。

とにかく、不幸の手紙について書かれた資料を探そう!

(コックリさんに、エンジェル様…ふむ、この辺りは降霊術の項目か。)

(中々見付からんな…)

彰人

ヤバい、眠くなってきた…目も痛ぇ…

うむ…流石に疲れたな。休憩するか。

冬弥

俺は大丈夫です。読書は好きですから。

僕ももう少し探すよ。

冬弥

(丑の刻参り、コトリバコ…この辺りは呪い系か。)

冬弥

(呪い系なら、不幸の手紙もあるかもしれない…!)

冬弥

冬弥

(チェーンメール!という事は、不幸の手紙も……!)

冬弥

……はっ?

む、見つけたか?!

冬弥

見付けた…のは、見付けたんですが…

冬弥

いや……え?

どうしたんだい?

冬弥

…無いんです、

彰人

無い?

冬弥

不幸の手紙のページだけ……破れてるんです。

……は?

ま、待て待て!!!破れてる!?嘘だろ?!

冬弥

ほ、本当です!このページだけ、綺麗に無いんです!

……本当だ、

さ、探そう!破れたページ!どこかに挟まったりしてないか?!

冬弥

…ダメです、この資料にはありません。他の資料も探します!

落ちちゃったのかもしれないし、床下も見てみるよ。

彰人

じゃ、俺は聞き込み行ってきます。

聞き込み?

彰人

誰か、知ってる人がいるかもしれないでしょ。あんまり期待はできませんけど。

た、たしかに……なら、オレも聞き込みに回ろう!

分かった。じゃあ、僕らはここで引き続き資料を調べておくね。

ああ!任せたぞ!!

廊下

手紙を貰ったのは何時だ?

彰人

えーと、昼休みですね。

なら、あと一日と半日ほどか…

もしそれまでに見つからなかったら、俺に渡してくれ。そうすればまた猶予が出来る。

彰人

えー

「えー」じゃない!

彰人

というか、この手紙って本物なんですか?

分からん…が、本物の可能性もあるだろう。

本当は無視するのが1番いいんだが…本当に何かあったら嫌だしな…

彰人

…ちょっと、確かめてみてもいいですか?

は?

な…何をだ?

彰人

この手紙にした事が、自分の身にも起こるんでしたよね。

お、おい…?何をする気だ?

彰人

ちょっとだけ破ってみていいですか?

馬鹿か?!ダメに決まってるだろ!!?

彰人

本当にちょっと!2mmくらい!

いやいや、ダメだろ!!その手紙寄越せ!!

彰人

考えても見てくださいよ。これで何も起きなかったら、多分偽物ですから無視できるじゃないですか。

そ、そうだが…しかし、その確認方法はあまりにも…

ビリッ

ア"ーーーーーーーー?!?!?

彰人

痛ッ

彰人っ?!?!?!

彰人

うわ〜……ホンモノっぽいです。これ。

彰人

本当にちょっと破いただけなのに、指が切れました。

彰人の人差し指には1cmほどの傷があり、そこから鮮血が滴っている。

な、中々に大きな傷だな!?

ハッ、止血!!消毒!!保健室!!

彰人

いや、大袈裟ですって。たかが切り傷に、そんな。

は?!切り傷だって立派な怪我だぞ!!

とにかく保健室!!担いででも連れていくからな!

彰人

あー、行きますから!担ぐのは勘弁。

……ダメだ。床下にそれらしいものは見当たらないよ。

冬弥

資料にも挟まっていませんでした…

冬弥

思ったんですけど、手紙って故人とか、例えば警察署とか…そういった所に送るとどうなるんでしょうか?

あぁ、なるほど…そうだね…

故人には、そもそも届けられないから恐らく無意味だろう。

警察署だと……受け取って中身を確認した人が、不幸になってしまうんじゃないかな。

冬弥

やっぱりそうですよね…後者に至っては、連鎖が続きますし。

冬弥

まぁ、警察の方なら不幸の手紙なんて信じずに捨ててしまいそうですけど…

そうだね。子供の悪戯程度に思われるだろう。

冬弥

でも、実際どうなんですかね?あれって、本物なんでしょうか?

そうだねぇ…確かめる方法と言ったら、実際に48時間以降も手紙を持っておくか、手紙を破ったり燃やしたりしてみるか…だけど…

……

冬弥

…い、いや。流石に東雲はそんなことしないと思いますよ。

冬弥

…多分。

でもさ、ちょっとだけなら…ってやりそうじゃない?

冬弥

や、やめてくださいよ。そんな不吉なこと。

冬弥

東雲ならたしかにやりそうですし…

あ、そうだ。丁度いい機会だし、君には話しておこうかな。

冬弥

冬弥

東雲が、霊媒体質?

そう。怪異を引き寄せたり、怪異の影響を受けやすかったりする体質の事だよ。

…心当たりあるんじゃないかな。

冬弥

…!

冬弥

(たしかに…東雲はよく、体調不良を訴えていたような…)

冬弥

(訴えるまでなくても、顔色が悪い時が何度もあったし…引き寄せる、か…それなら今までの事も、何となく納得出来る、)

冬弥

(でも、それなら…)

冬弥

東雲は…この部にいたら駄目では無いですか?

冬弥

怪異の影響を受けやすいなら、きっと苦しいだけですし…

あぁ。そうも思ったんだけど…

体質は体質だよ。どこへ行っても、何をしててもきっとそれは変わらない。

なら、気付いた僕らができる限り気にかけて、守ってあげた方がいいかと思ったんだ。

冬弥

……なるほど、

冬弥

たしかに…そうかもしれないですね。体質なら、たしかに変えることは難しそうですし、

理解が早くて助かるよ。

冬弥

気にかけておけばいいんですよね。分かりました。

あぁ、出来れば傍に居てあげて欲しいな。君の近くにいると落ち着くらしいから。

冬弥

えっ?

冬弥

し……東雲が、そう言ったんですか?

いいや、言っては無いけど…目は口ほどに、って言うだろう?

何となく、見てたら感じるよ。

冬弥

そ、そう…なんですか?

あぁ。だから、出来れば傍に居てあげてね。

生徒や先生にも聞いたが、これと言った情報は手に入らなかったな…

こっちもだよ。資料も無かった。

彰人

……あの、類センパイ。

なんだい?

彰人

あんた、青柳に絶対なんか言いましたよね??さっきから離れようとしないんですけど。

ふふっ、冬弥くんは素直だもんね。

彰人

マジで何言ったんですか?!

まぁ、いいでは無いか。お前も満更じゃないだろう。

彰人

は、はぁ?!別に…おい、青柳も何か言えよ。

冬弥

?えっと…東雲は甘い香りがするな。

彰人

いや、感想言えとは言ってねぇよ!?

ふふっ

冬弥

…東雲、この指はどうした?

彰人

え?

あぁ、そうだ。言ってなかったな。

彰人が、「この手紙が本物かどうか確かめる」とか言って、手紙を少し破ったんだ。

冬弥

?!

えっ、嘘でしょ?

彰人

いや、マジでちょっとですよ。本当に爪の先くらい。

いや、でもその傷1cmくらいいっただろ。

冬弥

や、破った…のか?確かめるために…?

彰人

いや、これで何も起きなかったら無視できると思って…

うわ…本当にやったんだ…やりそうだとは思ったけど、

本当に、コイツは人の話聞かんくてな…

一応、保健室でちゃんと消毒までしてもらった。

冬弥

東雲はもう少し、勝手な行動は控えるべきだと思う…いや、控えて欲しい…

そうだね。いっその事、手錠でも付けておくかい?

彰人

それはやめろ

冬弥

手錠……

彰人

え?青柳サン??

冬弥

そういえば、東雲がハロウィンで使ってたのが丁度あったな。

彰人

いやいや、え??類センパイも流石に冗談だと思うぞ?

ふふ、この件が終わるまでは、手錠付けててもいいかもね。

取ってこようか?

彰人

え、司センパイまで?!俺の味方は?!

今この場にはいないみたいだね。

おーい、あったぞ。手錠。

冬弥

あっ、ありがとうございます。

彰人

いや、「ありがとうございます」じゃねぇよ。

カチャン

彰人

……

彰人

……え、マジ?

冬弥

よし。

彰人

いや、「よし」じゃなくて

では、引き続き不幸の手紙の断ち切り方を探すぞ!

彰人

待て待て待て

この手紙が本物…となると、急いだ方が良さそうだよね。

彰人

あれ、俺の声聞こえてない?

あぁ。だが、資料も聞き込みもダメとなるとな…

冬弥

…鏡、

む?

冬弥

踊り場の大鏡…聞けば、答えてくれないでしょうか?

おぉ!!なるほど!

今は4時45分だから…まだ間に合うね。

冬弥

お、俺ちょっと行ってきます!

あぁ!気を付けて行ってくるんだぞ!

冬弥

(3、2、1…)

鏡の中の自分

今日の用件は?

冬弥

!!

冬弥

頼む!『不幸の手紙』の断ち切り方を教えてくれ!!

鏡の中の自分

『不幸の手紙』?あぁ、懐かしいな。また出てきたのか。

鏡の中の自分

教えてもいいが、条件がある。

冬弥

なんだ?

鏡の中の自分

俺と代わってくれ。

冬弥

?!

鏡の中の自分

俺はここから出られない。だから、お前が俺の代わりにこっちに来てくれ。

鏡の中の自分

…まぁ、流石にそんなことは…

冬弥

分かった。

鏡の中の自分

……何を?

冬弥

お前の条件だ。それで東雲が助かる方法が分かるのなら、別に構わない。

鏡の中の自分

…阿呆か?こんな条件、即決するものじゃないだろう。

鏡の中の自分

冗談に決まってる。条件なんて無くても教えてやろう。

冬弥

は、はぁ?冗談?

鏡の中の自分

からかっただけだ。お前は見かけによらず阿呆なんだな。

鏡の中の自分

それより、不幸の手紙だったな。

鏡の中の自分

この学校の近くに、裏山があるだろう。その山に、月蘭飛泉という滝がある。

鏡の中の自分

その滝から流れる水で、手紙の文字を洗い流せ。

冬弥

も、文字を…洗い流す?

鏡の中の自分

行けば分かる。それで、文字を全て洗い流した後、その手紙も細かくちぎってから滝に流せ。

鏡の中の自分

それで終わりだ。『不幸の手紙』は、また20、30年は現れないだろう。

冬弥

あ…ありがとう!本当に、助かった!

鏡の中の自分

あぁ。…っと、まずい。2分も話してしまった。

鏡の中の自分

時間だ。じゃあな。

冬弥

あぁ!

裏山

彰人

げ、月蘭飛泉ってどこだよ……

冬弥

すまない……そこまで聞いてこなかった…

裏山と言っても、広いもんねぇ

あぁ…小さいとはいえ、山だからな。

冬だから虫が少ないのが救いだな…

彰人

青柳耳いいだろ?水の音とか聞こえねぇ?

冬弥

…………

冬弥

……すまない、何も聞こえない。

なら、結構遠くにあるのかもねぇ

まだ一日半あるが、間に合うだろうか…

彰人

とりあえず直感で行くしか無いっすね。向こう行ってみますか。

グイッ

彰人

うわっ?!

下の方を何かに引っ張られ、バランスを崩して尻もちをついた。

ドサッ

彰人

痛ってぇ……

冬弥

だ、大丈夫か?!

彰人

あぁ…誰かに引っ張られたんだけど、

だ、誰も引っ張って無いぞ?

彰人

ですよね。

彰人

(普通に立ちくらみしただけか?)

グイッ

彰人

!?

おっと。

またさっきと同じように何かに引っ張られてよろけたが、類センパイに受け止められた。

彰人

あ、ありがとうございます…

大丈夫?たしかに何かに引っ張られているようだったけど…何もいないもんね、

彰人

やっぱそうですよね…

冬弥

どの辺りを引っ張られたんだ?

彰人

あー、なんかちょっと下の方…この辺?

引っ張られたであろう部分を触ってみると、ある事に気付いた。

彰人

……え、もしかして、

引っ張られたであろう位置にはポケットがあり、その中には『不幸の手紙』が入っている。

彰人

……この手紙か?

手紙?!

て、手紙が意思を持ってる…ってこと?

冬弥

意思…

冬弥

……もしかしたら、滝の方に行きたく無いのかもしれない。

な、なるほど。行ったら断ち切られるからか。

彰人

てことは…コイツが嫌がってる方向に滝があるって事か?

可能性は高いね。その手紙の嫌がる方へ行こうか。

彰人くんがいつでも引っ張られていいように、僕らが受け止める準備しとくよ。

彰人

じゃ、とりあえずあっち行きますね。

月蘭飛泉

あ…あった!!これだろ!多分!!

彰人

で、この手紙どうすればいいんだっけ?

冬弥

手紙に書かれている文字を、滝で洗い流すらしい。

彰人

…文字を洗い流す??

冬弥

やってみれば分かるそうだ。

彰人

分かった…じゃ、とりあえずやってみるぞ。

文字の書かれている方を上に向け、流れ落ちる水の間に入れた。

彰人

……?!

スルスルと手紙の文字が、言葉の通り滝に洗い流されていく。

彰人

(も、文字って流れるものだっけ??)

彰人

(いや…今更、こんなこと不思議じゃねぇか)

しばらくすると文字は完全に洗い流され、綺麗な白紙の手紙だけが残った。

水にさらしたはずなのに、手紙は一切濡れておらず、綺麗だ。

彰人

これを…細かくちぎって、また流すんだったよな。

冬弥

あぁ。

できるだけ細かくちぎり、パラパラと滝に流した。

手紙はすぐに水の中へ溶け込み、跡形もなく消え去った。

彰人

……終わった

冬弥

はぁぁ…よ、良かった…!

彰人

明後日の昼までは油断できねぇけどな。

いや、大丈夫だろう。あの大鏡は絶対、嘘はつかないそうだ。

まぁでも、一応明後日のお昼休みはみんなで集まろうか。

冬弥

そうですね。

2日後 昼休み

…よし、全員揃ったな!!

彰人

はい。あと、すみません。2人着いて来たヤツらがいるんですけど。

こはね

すみません、心配で…!

そうそう!!もうご飯も喉通んないもん!

彰人

いや、それは嘘だろ。

構わんぞ!事情は聞いてるからな!

ふふ、やっぱり君は愛されてるね。

彰人

…まぁ、そーかもしれないっすね

彰人

んで、もしかして青柳は昼休み終わるまでくっついてるつもりか?

冬弥

ああ。…ダメだろうか?

彰人

いや…別にいいけど。

こはね

あのっ!しゃ、写真撮ってもいいかな…?

彰人

げ、やめろ

冬弥

ぜひお願いします✨️

彰人

はぁ?!恥ずいからそれは無し!

カシャッ

彰人

あっ、おいこはね!!

こはね

ご、ごめんね!いい顔だったから…!

冬弥

小豆沢さん、その写真ぜひ頂きたいんですが。

こはね

もちろん!また現像して渡しますね!

わっ、ホントだ!いい写真!流石こはね〜!

彰人

ったく、お前らホント人の話聞かねぇな…

キーンコーンカーンコーン

彰人

あっ

冬弥

……終わったな、

終わったねぇ…

彰人!!何ともない?!

体調が悪いとか、どこか痛いとかは無いか?!

彰人

全く無いです。至って健康。

彰人

校庭20周できそうな元気はありますね。

よ……良かったーーー!!!

彰人

あっ!こら抱きつくな!!

こはね

うぅっ、良かった…!!巻き込んじゃってごめんね……!!

彰人

いや、あれは俺が巻き込まれにいったし。

う"っ、良かった…!!彰人ぉぉ!!!

彰人

え?!ちょ、流石にアンタまで来たら重い!!

冬弥

東雲…!!!

彰人

ぐぇっ?!おま、力強……!!?

彰人

る、類センパイ!!見てないで助け

…僕も入っちゃダメかな?

彰人

は?!野郎3人は流石に潰れる!!

いつの間にか現れ、あれだけ1年の間で話題となった『不幸の手紙』も、段々と噂を聞くことは少なくなっていき、1週間後には初めから無かったかのように全く聞かなくなった。

あれからも、不幸という不幸が訪れることは無く、いつも通り少し騒がしい日々を送っている。

NEXT

我々怪異研究部!!

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コメント

6

ユーザー

彰人が無事で良かった~それにチェーンメール久しぶりに聞いたなぁ

ユーザー
ユーザー

彰人くんが無事で本当に良かったです!!不幸の手紙、恐ろしいですね、嘘をつかない大鏡のおかげですね!怪異や都市伝説を、怪異や都市伝説で解決する、不思議ですごいですね✨️

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