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我々怪異研究部!!

第23話 - 呪われたプリクラ機

642

2025年03月12日

#司類

#冬彰

#ホラー

#ほのぼの

#感動

あかまる🍓🐾໊

ゲームセンター

類

放課後にみんなでゲームセンターかぁ…ふふ、高校生っぽくていいね。

彰人

類センパイ、そういう事する友達いなさそうですもんね。

類

彰人くん、事実は時に人を傷付けることもあるんだよ。

彰人

すみません

司

それにしても、冬弥がゲームセンター好きとは、少し意外だったな。

冬弥

元来、ゲーム自体が結構好きでして。

冬弥

司先輩は普段、ゲームセンターに来ることはあるんですか？

司

いいや、ほとんど無いな。今日だって久しぶりに来たんだ。

類

へぇ、最後に来たのっていつ？

司

む、最後……

司

…………小学生の頃だろうか？

彰人

え、そんな昔？

司

いや、ハッキリと記憶にあるのが小学生までなものでな。

司

中学一年生の記憶なら、かろうじてあるような気はするんだが…

冬弥

中学二年生と、三年生の記憶がない…って、不思議ですよね。

司

あぁ…そこだけ抜け落ちてるみたいなんだ。全く何も思い出せん。

彰人

卒アルとかは？見たら思い出しません？

司

卒アルか…失くしたんだよな。

彰人

失くした？？そんな事あります？

司

うむ…1度探してみたんだが、どこにも…

類

案外分かりやすい場所に隠れてるかもよ。

類

君、やましいものとか全部ベッドの下に隠しそう。

司

隠さんわ！！！

司

というか、やましいものなんか無いからな！？

類

司くんって助平じゃないか。

司

どこがだ！！？

彰人

…あれ、青柳は？

司

む？

類

え？そこに…さっきまでいたけど、

司

ま、迷子か？！？

彰人

ちょっと探してきます。

類

目処はあるのかい？

彰人

多分クレーンゲームでしょ。

司

冬弥ーーー！！！！！

冬弥

？！

類

良かった！案外近くにいたんだね。

彰人

せめて一声かけろよな。

冬弥

す、すまない。この台が気になってつい。

司

この台…おぉ、中々難しそうだな…

類

大きいぬいぐるみだねぇ

彰人

何回でいけそう？

冬弥

…

冬弥

3回だな。

司

ん？3回？これをか？！

司

(というか…随分と大きなぬいぐるみだな。冬弥は意外とファンシーな趣味があるのか。)

類

冬弥くん、凄いねぇ！本当に3回で取っちゃうなんて。

司

ああ！素晴らしいクレーン捌きだったな！

冬弥

ありがとうございます。思ったよりアームが強くて取りやすかったです。

司

ちなみに、それはどうやって持って帰るんだ？

冬弥

あぁ、東雲が…

彰人

青柳、袋もらってきた。

冬弥

あぁ、ありがとう！

類

手馴れてるねぇ

彰人

まぁ、最近よく2人でゲーセン来るんで。

司

何？！随分と仲良しではないか！

冬弥

はい、そうなんです✨️

類

ふふ、良かったねぇ。

彰人

そういや、本題はいいんですか？

司

あぁ、そうだった！今日はあの都市伝説を検証せねば！

冬弥

あっ、忘れてた…

類

普通に遊んじゃったね。

冬弥

初めて来たゲームセンターなので、ついテンションが上がって…

彰人

そんな事だろうとは思ったけど。

司

えっと、プリクラ機だったよな。

事の発端はある休み時間だった。

クラスメイト

天馬天馬！！

司

む？

クラスメイト

天馬ってオカルト部だったよね？！

司

「怪異研究部」だ！

クラスメイト

それそれ！ねぇ、都市伝説なんだけどさ！

司

ち、近いぞ！一旦落ち着け！

司

都市伝説がなんだ？

クラスメイト

知ってる？「呪われたプリクラ機」！

司

むむ…？初耳だ。

クラスメイト

最近出回り始めた都市伝説なんだって！

クラスメイト

ほら、あの地下にあるゲーセン知ってる？

司

地下にある…あぁ！行ったことはないが、聞いたことはあるぞ！

クラスメイト

そこのゲーセン、結構古いらしくて。珍しいゲームとか置いてあったりするんだって！

クラスメイト

中でも目玉なのが、プリクラ機！20年前に廃盤になったヤツが置いてあるらしいの！

司

ふむ、それが呪われてるのか？

クラスメイト

うん！

司

なるほど、詳しく頼む。

クラスメイト

まず、20年前に廃盤になったプリクラ機の話からするね。

クラスメイト

『ラブ&モーション』ってプリクラ機で、当時大人気の機種だったらしいの。

クラスメイト

ここからはあくまで噂ね。

クラスメイト

ある3人組の女子高校生がいて、その3人は幼稚園からの幼馴染みで、すっごく仲良しだったんだって。

クラスメイト

その子たちをそれぞれ、A、B、Cに置き換えるね。

クラスメイト

いつも仲良しな3人だったけど、Cちゃんにはとある悩みがあった。

クラスメイト

それは、学校等で2人組を作る時、いつもCちゃんが余ってしまうこと。

クラスメイト

AちゃんとBちゃんがいつも真っ先にお互いの場所に行ってしまう。

クラスメイト

他にも道路を歩いている時、2列になる時はいつもCちゃんが1人で後ろを歩く。

クラスメイト

まぁ3人組あるあるなんだけど、Cちゃんはそれが少し不満だった。

クラスメイト

ある日、AちゃんとBちゃんがカバンにお揃いのストラップをつけていた。しかも、そのストラップは某テーマパークのもの。

クラスメイト

「2人で行ったの？」と聞くと、AちゃんとBちゃんは顔を見合わせて、「Cちゃんが習い事の日だったから」と、言った。

クラスメイト

それなら私の習い事が休みの日に誘ってくれればいいのに、とCちゃんは思ったが、何も言えずにその話は終えた。

クラスメイト

ある日、AちゃんとBちゃんに「委員会があるから先に帰ってて」と言われ、Cちゃんは委員会には無所属で、部活もその日は休みだったので1人で帰宅していた。

クラスメイト

けど、なんとなく帰る気になれず、しばらく公園のベンチでぼんやりしていた。

クラスメイト

すると同じテニス部の子が通りかかって、不思議そうにCちゃんに話しかけた。「Cちゃんはゲーセン行かなかったの？」

クラスメイト

テニス部の子話によると、AちゃんとBちゃんは委員会ではなく、2人でゲームセンターに遊びに行ったらしい。

クラスメイト

それを聞いてCちゃんは我慢ならず、2人のいるゲームセンターに向かった。

クラスメイト

2人はプリシを撮ろうとしている所で、Cちゃんはそんな2人に怒りをぶつけた。

クラスメイト

「なんでいつも私だけ仲間外れにするの」「3人で遊びたいのに、なんで2人で遊ぶの」と、今までの怒りを全て放った。

クラスメイト

そんなCちゃんの怒りを見て、Bちゃんが呆れたように言った。「こっちの方こそ、ハブってるのになんで入ってくるの？」

クラスメイト

Aちゃんも「Bちゃんと2人で話したいのに、Cちゃんが入ってくるから少し迷惑。」

クラスメイト

「2人で遊びたいのに、入ってこないでよ」「というか、幼馴染みってだけで別にそこまで仲良くないでしょ」「まさか高校まで着いてくるとはね〜」「ウチら、Cのこと別にイツメンだと思ってないから」「Cって鈍感っていうか、空気読めないよね」

クラスメイト

次々と放たれる2人の言葉を、Cちゃんは呆然としながら聞いていると、「じゃあ、そういうことだから」と、2人はプリクラ機の中へ入って行ってしまった。

クラスメイト

ふつふつと、Cちゃんには抑えられない怒りが込み上げてきていた。そしてとうとう、プツンと何かが切れた。

クラスメイト

Cちゃんは丁度持っていたテニスラケットを持って、プリクラ機の中へと侵入。

クラスメイト

そして力の限りにBちゃんの頭にラケットを何度も、何度も振り下ろした。

クラスメイト

恐怖で腰が抜け、床にへたりこんでるAちゃんにも同様に、何度も何度も振り下ろした。

クラスメイト

叫び声と打撃音などを聞いて、一般客が警察に通報し、Cちゃんはその場で逮捕された。

クラスメイト

現場検証してた時に、とある警察官がプリシを見付けた。

クラスメイト

そのプリシに写っていたのは、Cちゃんが2人にラケットを振り下ろす所と、

クラスメイト

AちゃんとBちゃんの頭を両手に持って、満面の笑みで真ん中に写るCちゃんだった。

クラスメイト

Bちゃんは病院で死亡が確認され、Aちゃんは命に別状は無かったが脳の損傷が酷く、生涯植物状態になってしまったそう。

クラスメイト

その事件が起きたプリクラ機が、『ラブ&モーション』なんだって！

司

こ、こわ……

クラスメイト

まぁ噂だし、尾ひれはついてると思うけど〜

クラスメイト

この1件から、『ラブ&モーション』の会社に苦情や問い合わせが殺到したみたい。

クラスメイト

その内容が「出てきたプリシに血がついている」「血まみれの女子高生が写る」「機内が鉄のような、変な匂いがする」など、どれも不気味なものだった。

クラスメイト

これを受けて会社は『ラブ&モーション』を廃盤にし、ゲームセンターからも取り下げた。

クラスメイト

これで一件落着！ってことで、しばらくは20年は何も無かったらしいんだけど、

クラスメイト

あの地下のゲーセンに、『ラブ&モーション』のプリクラ機があるって噂が巷で出回り出したの！

司

ふむ……それで、確かめて来て欲しいってことか？

クラスメイト

ううん、もう自分で行ってきた！

司

自分で行ってきた？！

クラスメイト

そこで撮ったプリシがこちらになります！

見せられたプリシには錆がついており、少々変わった臭いがした。

司

？！？！

司

こ、この錆って、もも、もしかして……

クラスメイト

血かなぁ？

司

ひぃっ？！？！

クラスメイト

でさぁ、話戻すけど『呪われたプリクラ機』って言ったじゃん？

司

あ、あぁ…

クラスメイト

撮ったら呪われちゃうらしいんだよね！

司

撮ったら呪われる？！？

司

え、てことは…

クラスメイト

私、呪われたかも！

司

そんなテンションで言うことじゃないだろ！！！？

クラスメイト

あははっ、あくまで都市伝説だもん！

クラスメイト

ちなみに、呪われたら最後は死んじゃうらしいよ。

司

怖？！の、呪いを解く方法はあるのか？！

クラスメイト

そうそう！そこで、天馬にお願いがあるんだよね。

クラスメイト

『ラブ&モーション』で撮ったプリシを交換すれば、呪いが解けるんだって！

司

プリシを交換…なるほど。オレに撮ってこいと？

クラスメイト

そういうこと！

クラスメイト

で、安心して欲しいのが、交換したら2人とも呪いが解けるらしいよ！

司

なるほど。それなら安心だな。

司

いいだろう！そのプリシ、撮ってきてやる！

クラスメイト

マジ？！天馬ありがとー！！命の恩人！

クラスメイト

みんなビビっちゃってさー、誰も行ってくれないんだよねぇ

クラスメイト

だからありがと！マジ感謝！

司

あぁ！呪いはバカに出来んからな。

司

プリシを撮るだけでいいのか？他に条件とかは？

クラスメイト

とにかくプリシを撮るだけだよ！撮れたら学校持ってきて、交換しよ！

司

うむ、分かった！

彰人

にしても物騒な話っすよね。怖ぇ〜

司

あぁ……本当にな。

類

プリシって、司くんが1人で撮るんだよね？

司

え？？オレ1人で入れと？？

類

だって、クラスメイトにあげるんでしょ？

類

知らない人に見られるって、ちょっと抵抗あるなぁ。どこに流されるか分かんないし。

司

む…た、たしかに…

彰人

オレは見られんのは良いっすけど…プリシ好きじゃないんすよね。

司

あ、彰人まで？！

冬弥

あ…お、俺が一緒に撮りますよ！

司

とっ、冬弥…！！！！✨️✨️

司

ありがとうっ！！！冬弥！！お前は恩人だ！！

冬弥

俺もプリシ撮ってみたかったんです。

彰人

初めてのプリシが呪われたプリクラ機か。

類

ふふ、あとで普通のプリシも撮りに行こうか。

司

よし！では早速、そのプリクラ機を探すぞ！

司

『ラブ&モーション』…これだ！

類

ふむ…たしかに古いねぇ

司

まぁ、20年前に廃盤になってるくらいだからな。

冬弥

なんでそれがここに置いてあるんでしょうね…？

彰人

プリクラ機だけじゃなくて、他のゲームも見たことないやつあるし…ここだけ時止まってるみたいだな。

司

類と彰人はそこで待っててくれ。

類

了解だよ。

プリクラ機中

司

ふむ…中は普通だな。

冬弥

特に変な匂いもしませんね。

司

あぁ。至って普通のプリクラ機だ。

「モードを選んでね！」

冬弥

！！

冬弥

び、ビックリした…設定を選ぶみたいですね。

司

だな。こういうのはよく分からんし、適当に選ぶか。

「撮影を開始するよ！真ん中に寄って、カメラを見てね！」

司

冬弥、もう少し寄れるか？

冬弥

はい、こうですか？

司

バッチリだ！

「まずは1枚目！ラブラブズッキュンのポーズ！」

司

ん？？

冬弥

ら…何て言いました？

司

分からん…何の呪文だ…？

司

あ、見本があるぞ！あれの真似をすればいいんだな！

冬弥

あぁ、なるほど！

「3、2、1」

パシャッ

司

ふむ、中々よく撮れているな！

冬弥

おぉ…最早誰か分からない顔ですね。

司

あぁ。可愛くなり過ぎて怖いな。

「次は2枚目！なかよしのポーズ！」

司

お、今のは聞き取れたぞ！

冬弥

なかよし…えっと、

冬弥

あぁ、肩を組むんですね！

司

肩か！よし…

司

と、冬弥！すまんが屈んでくれるか？

冬弥

あ、すみません！これでいいですか？

司

あぁ。冬弥と類は背が高いからな…彰人なら丁度いいんだが。

冬弥

でも、司先輩も小さくはないと思いますよ。

司

4人でいると小さく見えるんだ！

冬弥

それは…まぁ、たしかに…

「3、2、1」

パシャッ

司

これ、何枚撮るんだ…？

冬弥

さぁ…3枚くらいでしょうか？

ガンッ

突如、何かに蹴られたようにプリクラ機が揺れた。

司

？！

冬弥

？！

司

な……なんだ？！揺れたよな…？

冬弥

は、はい。外から蹴られたみたいな…

司

蹴られただけでこんな揺れるか…？

司

いや、そもそも誰が？類と彰人がするわけないし…

冬弥

そうですね…

冬弥

外見てみますか？

「次は3枚mガg…ガガガpーッ」

司

？！

司

な、ななな、なんだ？！？

冬弥

さっきの衝撃で壊れてしまったんでしょうか…？古いですし、

司

れ、冷静過ぎんか…？？

冬弥

『呪われたプリクラ機』って時点から、何か起きる覚悟はしてましたから。

「ガ、ガガガ…pーッガガッ」

司

で…出よう！冬弥！！2枚撮ったし十分だろう！

冬弥

そ、そうですね。

「ねぇ、なんで？」

司

？！？！！

司

(さっきまでとは明らかに違う、女性の声……！！？)

「私もg撮りたかったpのに」

「pーッちゃんが悪いんgだよ」

司

と、ととと、冬弥っ！！！出ようっ！今すぐ！！

冬弥

ま、待ってください！

司

なんだ？！

冬弥

い……います、

司

何が？！

冬弥

外に…誰かが、

司

外っ？！

出口のカーテンの下を見ると、誰かの足が見えた。

明らかに類や彰人ではない、細い女性の足だ。

赤と白の花柄模様の靴下と、ローファーを履いている。

司

ひ、ひぃっ？！？！

「親g友だと思ってpたのに」

司

に、逃げ道無いじゃないか！！！？

カランッ

司

な、なんの音だ？！

音のした方を見ると、外の女性の足元にテニスラケットが落ちていた。

それも、血濡れのラケットだ。

司

ら、らららら、ラケット？！？

冬弥

都市伝説のままですね…

司

(ん…？ま、待て。あの靴下…)

赤と白の花柄模様だと思っていた靴下をよく見ると、花柄なんかではなく、赤い血が白い靴下に飛び散っているのだと気付いた。

司

？！？！？！

「嘘pつき」

「嘘つgき」

「許さない」

ガンッガンガンッ！！

何かに蹴られるように、プリクラ機が揺れている。

司

っ…！！

冬弥

せ、先輩！大丈夫ですか？

司

こ、怖すぎて腰抜けた…

冬弥

仕方ありません。流石にこれは…

ガンッガンッ！！

冬弥

っ、俺も…かなり怖いです。

司

と、冬弥……

司

(そりゃそうだ…怖いに決まってる。オレばっかり怖がってる場合じゃない…！！)

ガンガンッ！！ガンッ！！

司

(だが怖いものは怖い！！それに、どうすればいいかなんて…)

「ｷｬｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ！！！」

司

？！？

冬弥

っ！

ガンガンッガンッ！！

司

(ど、どうする……？！冬弥も大きい音は苦手だったはず、先輩としても部長としても、オレが何とかせねば…！)

司

(何かないか……考えろ…何か、ここから出る方法を…)

司

(…類ならどうする？)

「とりあえず思い切って出てみようよ。」

司

(オレの想像とはいえ、とんでもない事を言い出すな？！外にはあの怪異がいるんだぞ？！)

「呪われてるのはプリクラ機なんだろう？なら、呪いの中から抜け出せばいいじゃないか。」

司

(む、むむむ……想像とはいえ、類は類だな…)

司

(……分かった。お前を信じよう。)

司

冬弥！！外に出るぞ！！

冬弥

えっ？！そ、外？！

冬弥

でも、外は…

司

行くぞ、冬弥！！

冬弥

えっ！？せ、先輩？！

冬弥の手を引き、思い切ってプリクラ機の外へ飛び出した。

司

はっ！はっ、はっ…！！

冬弥

な…何も、いない……？

司

よ、良かった……！！

冬弥

良かった……

司

冬弥、大丈夫か？

冬弥

は、はい。先輩こそ…

冬弥

凄いですね。外に出れば大丈夫って、知ってたんですか？

司

いや…オレの中のイマジナリー類が「思い切って外に出てみなよ」って言うから、それを信じた。

冬弥

い、イマジナリー類先輩…

司

……って、本物の類と彰人はどこだ？

冬弥

え？……み、見当たりませんね。

司

探しに行きたいが…また腰が抜けてしまった。しばらく休もう。

冬弥

そうですね。俺も、まだ歩くのは厳しそうです。

司と冬弥がプリクラ機に入った後

類

彰人くん、本当に行かなくて良かったのかい？

彰人

オレ、プリシ好きじゃないんで。

類

へぇ。折角の冬弥くんの初プリシなのに、一緒に写らなくていいの？

彰人

別にいいっすよ。撮ろうと思えば、いつでも撮れるんだし。

類

へぇ…いいねぇ

類

でも、やりたい事は「今」やっておかないと、後で後悔するかもしれないよ。

類

人はいつ死ぬか分からないんだし。

彰人

それは…そうですけど、縁起でもないこと言わないでくださいよ。

類

ふふ、すまないね。

彰人

…このゲーセン、人全然いないっすね。

類

あぁ。そこが更に雰囲気出てるねぇ。

類

まぁ、少し入り組んだ場所の地下にあるし…場所が分かりにくいのも原因かな。

彰人

そうですね。

類

あ、ポップコーンある！

彰人

ん？？

類

彰人くん、ポップコーン作れるやつあるよ！

彰人

そ、そうですね。

類

ふふ、あとでみんなで作ろうよ。冬弥くんとか興味ありそうだし。

彰人

いいっすけど…ポップコーンでそこまではしゃぎます？

類

え、テンション上がらない？

彰人

そんな時期通り過ぎましたよ。

類

彰人くんは大人だねぇ

彰人

いや、アンタがちょっとガキっぽいだけでしょ。

類

そうかな？

類

ねぇ、プリクラってどのくらいかかるんだい？

彰人

落書きとか含めると…10〜20分くらいじゃないですか？

彰人

あー…けど、この機種古そうだし、もうちょいかかるのかも。

類

20分かぁ、ちょっと長いね。

ズキッ

彰人

っ…？

彰人

(ビックリした…頭痛か。)

彰人

(頭痛と言えば…司センパイの頭痛って、まだあんのかな？最近聞かないけど、)

類

彰人くん？どうかした？

彰人

あ、いや。なんでも。

クラッ

彰人

っと、

類

彰人くん！

彰人

ただの立ちくらみです。貧血かも。

類

あそこのベンチに座ろうか。飲み物買ってくるよ。

彰人

すみません、ありがとうございま…

彰人

っ、ｹﾞﾎｯ！ｹﾞﾎｯ！

類

！

彰人

す、すみません…ちょっと、気持ち悪いっつーか…

彰人

なんか…心臓が…ｹﾞﾎｯ、ｹﾞﾎｯ！

「親友だと思ってたのに」

「嘘つき」

「許さない」

彰人

(っ、耳、痛……)

類

……出よう、彰人くん。

彰人

え？

類

肩貸すよ。一旦、外の空気吸いに行こう。

彰人

け、けど…

彰人

……すみません、ありがとうございます。

類

歩けるかい？抱っこしようか？

彰人

は？それは勘弁…

類

おんぶがいいかい？

彰人

どっちも嫌っす…肩貸して下さい。

類

あぁ。歩くよ。

「なんでなんでなんでなんで」

「許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない」

彰人

(うるさっ……頭痛ぇ…)

類

彰人くん、何か聞こえるのかい？

彰人

あー……なんか、「なんで」「許せない」とか…

類

そうかい…気にしちゃダメだからね。

類

気を紛らわすために、世間話でもしてあげようか。

彰人

あぁ…お願いします。喋ってて下さい。

類

分かった。じゃあ…司くんと遊園地に行った時の話をしようかな。

「嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき」

類

駅で待ち合わせしてたんだけど、いつまで経っても来なくてね。心配になって連絡してみたら、彼、待ち合わせの駅を間違えてたんだ。

類

司くん、「デートだ！」って相当張り切ってたからねぇ。すごく謝られたな。

「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」

彰人

(あ、ちょっとマシ…)

類

その後すぐ遊園地に向かったんだけど…チケットがね、1週間後のやつだったんだ。

類

ふふっ、本当におっちょこちょいだなぁって思ったんだけど…司くん、かなり落ち込んじゃって。

「許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない」

類

すごく落ち込んでいる司くんに…僕、何も声を掛けてあげられなかったんだ。

類

本当はね、僕は遊園地なんて行けなくても良かったんだ。司くんと一緒に過ごせるなら、公園でもどこでも良かった。

「嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき」

類

「君と一緒に過ごせるならどこでもいいよ」って…ちゃんと、言えばよかったな、

彰人

…惚気ろとは言ってませんけど。

類

ふふ、ごめんね。

彰人

というか、言えばいいじゃないですか。その時言えなくても、今言えるでしょ。

類

…うん、今なら言えるよ。

類

ただね、その時言っておけば良かったなぁって…後悔してるんだ。

彰人

ふぅん…

類

階段あるけど、登れそうかい？

彰人

はい。大分マシです。

類

良かった。じゃあ、しばらく外で休もうか。

司

む、類！！彰人！！

類

おや、何故床に座ってるんだい？

冬弥

ち、ちょっと色々あって…

司

2人ともどこへ行ってたんだ？！

類

彰人くんの気分が悪くなっちゃって、外で休憩してたよ。

冬弥

えっ？！だ、大丈夫なのか？

彰人

あぁ、休んだからもう大丈夫。

司

(プリクラ機のせいか…まぁ、"居た"もんな…)

類

プリシは撮れたのかい？何か写った？

司

あ、忘れてた！！

彰人

忘れてた？

司

冬弥！シール出てるか？

冬弥

えっと……あ、出てます！

冬弥

けど、見たくないです…

司

お、オレもだ…

彰人

？

類

何かあったのかい？

司

あぁ…さっき、プリクラ機の中でな…

ー事情説明ー

司

そんなこんなで腰が抜けてしまったんだ。

彰人

こわ…

類

あぁ、怖いねぇ…

彰人

というか、イマジナリー類センパイってなんすか？

司

オレの想像の中の類だ。

類

中々解像度が高いみたいだね。

司

まぁ、長い付き合いだしなぁ

冬弥

長い？

司

ん……？

司

……いや、長くはないか。出会ったのは今年の5月頃だしな。

彰人

まぁ、感覚は人それぞれでしょ。

類

プリシ見るのが怖いなら、僕が見てあげようか？

司

あ、あぁ。頼む。

類

えっと、どれどれ。

彰人

うわっ、なんか指紋みたいなのついてません？

司

指紋？！？！

類

本当だ。赤い指紋がついてるね。

彰人

んー……でも、特に何も写ってませんよ。センパイと青柳が肩組んでるだけ。

冬弥

あ、あぁ。その写真か…

類

ふふ、いい写真じゃないか。

司

血の指紋がついたプリシがか？？

彰人

これ、クラスメイトと交換するんでしょ？どうぞ。

司

あ、あぁ…ありがとう。

司

ふむ…たしかに、指紋以外に変な所は無いな。

冬弥

良かった…

類

2人とも立てるかい？

司

うむ、もう大丈夫だ。帰ろう。

冬弥

あ、あのゲーム…

司

む？

冬弥

もう廃盤になったレースゲームです！まさかここで見られるとは…！

類

へぇ、折角だしやっていくかい？

冬弥

えっ、い、いいんですか？

司

ああ、もちろん！

類

2台だし…冬弥くんと彰人くんでやれば？

彰人

え、オレっすか？

司

おぉ、いいじゃないか。

彰人

青柳とレースゲームか…今日は負けねぇぞ。

冬弥

今日も負けない。

彰人

へぇ？

類

ふふっ、バチバチだねぇ

司

あ、彰人！！後ろからなんか来てるぞ！！

彰人

うるさっ！？ちょ、耳元で叫ぶな！

類

冬弥くん流石、上手いねぇ

冬弥

ありがとうございます。

司

(しかし、実写系のレースゲームとは初めて見るな。)

司

(ん？)

「ドォォンッ」(ゲーム音)

彰人

うわっ？！なんか後ろからトラック突っ込んできたんだけど？！

冬弥

あぁ、足止めトラップだな。

彰人

なにそれ？！

ズキッ

司

っ

ズキッ

司

(ぐ、また頭痛が…)

ザザ…ザ…

司

(ん？の、ノイズ…？)

ザザ…ザザッ…

司

(なんだ？一瞬、ノイズだらけの何かが脳裏に…)

司

(ノイズまみれで何も分からんかった…)

彰人

だーーっ！！負けたっ！

類

おお〜！でもいい勝負だったねぇ。

冬弥

東雲は反射神経もいいし、飲み込みも早いからあと何回かすれば負けてしまいそうだな。

彰人

その分お前も上手くなっちまうだろ…

類

ふふ、どうする？もう1回やる？

冬弥

いえ。今日はもう大丈夫です。

彰人

まぁ、18時だしな。そろそろいい時間でしょ。

類

もうお外真っ暗だもんねぇ。流石は11月かな。

冬弥

…司先輩？

司

！

冬弥

少し顔色が悪いように見えますが…

司

だ、大丈夫だ！少しボーッとしてた！

司

えっと…この後はどうするって？みんなでファミレスでも寄っていくか？

彰人

あぁ、いいっすね。夕飯時だし。

冬弥

あっ、じゃあ母に連絡しますね。

類

この近くだと…あぁ、角曲がったところすぐにあるね。

彰人

じゃ、飯食って帰りますか。

我々怪異研究部!!

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642

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いつも神作ありがとうございます！都市伝説が好きなので続きも楽しみです😊

今回もめちゃくちゃ良かった……✨ 幼馴染、それとテニスラケット…病気がちな金髪の少女を連想してしまったけど、そもそも20年前の話なので少し安心🤦😢 彰人の霊媒体質もなかなか治らなさそう（というか、治るものではないのかも）だし、司はほぼ確で交通事故とかに巻き込まれてそう…… 根拠はないが予想としては、咲希が交通事故に遭って、そのショックで記憶を喪失して、その事情を類が知っている…的なものなのかな