この作品はいかがでしたか?
487
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じゃぱぱ
のあ
彼女は首だけで振り向き、
その大きな目を瞬かせて不思議そうに俺を見る
同じぐらいの年齢かと思っていたが、年下だろうか
上目遣いで俺を見るその表情は、どこか幼さを感じさせた
数秒間見つめ合ったあと、
彼女は再び絵を描きはじめた
俺はどうしていたらいいのかわからず、
その場に立ち尽くすことしかできなかった
のあ
彼女は向かいの椅子に指をさして、そう言った
可愛らしい声だな、と思った
じゃぱぱ
じゃぱぱ
のあ
沈黙が気まずい
じゃぱぱ
のあ
それから十分ほど静かに待っていた
のあ
彼女は自分の描いた絵を見て頷いた
じゃぱぱ
のあ
じゃぱぱ
のあ
スケッチブックを受け取り、
俺は完成したばかりの彼女の絵を見る
まるで写真のように美しく、
俺の目はその絵に釘づけになった
色鉛筆だけでここまで綺麗な絵が描けるものかのかと感嘆した
じゃぱぱ
じゃぱぱ
のあ
のあ
のあ
彼女の曖昧な答えに、俺は首を傾げる
のあ
じゃぱぱ
のあ
のあ
のあ
じゃぱぱ
のあ
じゃぱぱ
のあ
のあ
じゃぱぱ
じゃぱぱ
のあ
彼女はなにも言わず、俺の手元にある自分の絵を眺めるだけだった
少し気まずかったので、俺はスケッチブックを一枚戻してみた
そこにも色鮮やかな美しい絵が描かれていたが、
俺はそれを見て思わず息を呑んだ
青空の下には海があり、
虹がかかっている
絵の中央には空へと続く階段がある
白いワンピースを着た後ろ姿の少女が、
今まさにその幻想的な階段を登ろうとしている
まるで、これから天国へ向かおうとしているかのような、不思議な絵だった
のあ
じゃぱぱ
じゃぱぱ
のあ
じゃぱぱ
のあ
じゃぱぱ
じゃぱぱ
のあ
のあ
俺は言葉を失い、彼女の絵を眺め続けた
彼女は初対面の俺をからかっているだけなのかもしれない
そうであってほしかった
のあ
のあ
のあ
彼女は平板な口調でそう言って、俺が手にしていたスケッチブックを取って、
再び色鉛筆で続きを描き始めた
のあ
絵を描きながら、彼女は他人事のように言った
じゃぱぱ
のあ
のあ
のあ
のあ
じゃぱぱ
のあ
言えなかった。
俺も重い病気で、あと一年弱しか生きられないだなんんて、
彼女のように軽々しく言えなかった
じゃぱぱ
のあ
じゃぱぱ
じゃぱぱ
のあ
のあ
のあ
のあ
のあ
のあ
彼女はそう言って、
ゆっくりとスケッチブックを閉じて、立ち上がった
のあ
俺も立ち上がり、彼女を見送る
本音を言えば、もう少し話していたかった
じゃぱぱ
ここに来ればまた彼女に会えるだろうか
のあ
のあ
じゃぱぱ
じゃぱぱ
彼女ともう一度会う口実を、俺は無理やりつくった
のあ
彼女は数秒黙り込んで、頬を緩めた
帰りのバスの中で、俺はずっと彼女のことを考えていた
本当に彼女はあと半年の命なのだろうか
俺よりも余命が短いのに、彼女は飄々としていた
彼女は自分のタヒを受け入れている様子だった
俺とはまるで考え方が違う
タヒぬのが怖い俺と、
タヒぬのが楽しみな彼女。
俺は彼女に興味が湧いた
じゃぱぱ
じゃぱぱ
彼女の病気のことも気になったが、
それは聞かないほうがいいだろう
じゃぱぱ
ため息をついて空を仰ぐ
空はオレンジ色に染まり、沈みゆく太陽は俺の頬を照らしている
俺はあと何回、この美しい夕焼けを見れるのだろうか
センチメンタルな気分になりながら歩き続ける
今ならいい絵が描けそうな気がする
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