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ヴァウルスのお母さん
ヴァウルスのお母さん
今日は13歳の誕生日。このグレイス家が信仰しているプレジエル様という神は、スライブ王国の国教だ。
そんなプレジエル様は気まぐれで、選ばれた物に神器であるノーブリスを与えるとされている。
ヴァウルスのお父さん
この頃から剣の道を歩み、騎士団の一員になった祝福なのか、そのノーブリスは私の手に渡った。
程なくして騎士団長の座を手に入れ、高揚感に浸った。これからもっと色んな人を守ることができる。困っている人を助けるのが私の使命だ。
ここまで上り詰めることが出来たのも、きっとこの剣のお陰なんだろう。新たな魔法、ミラクルも少しづつ使いこなせて来た。
国王
ヴァウルス
拍手喝采は鳴り止まない。
私は思わず、笑みが零れた。
努力が報われた嬉しさ、これからも信念を貫くことができる期待感。
そんなものに包まれながら、私はまた歩みを進めていった。
そんなある日、山が燃えているという通報を受け魔の森の東へ向かった。
燃えている方向から向かってくる人影がひとつ。
シュウ
長い耳に大きくふわふわとした尻尾を生やした獣人が慌てた様子で走ってきた。
シュウ
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
その獣人は警戒を解かず、素早い動きで私に触れてきた。
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
シュウ
シュウ
ヴァウルス
シュウ
シュウ
シュウ
シュウ
シュウ
ヴァウルス
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
そんな堅苦しい雰囲気の彼は、渋々スライブ王国に来ることを承諾し、とりあえず騎士団寮の私の部屋で保護することにした。
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
シュウ
シュウ
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
シュウ
ヴァウルス
少しづつだがシュウとの心の距離は縮まっていった。
だが…竜の居場所を突き止めるのはかなり難しく、危険なことだった。
シュウ
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
ヴァウルス
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
シュウ
ヴァウルス
北のことをずっと調べていたが、重要な情報は全く見つからなかった。
シュウがそこでドラゴンの記憶を読み取り、何か知識が得られたのならそれは大きな進歩だ。
だが、あまりにも危険すぎる。
それに、私の勇気もまだ足りていなかった。
死ぬかもしれないという恐怖。
ドラゴンは非常に凶暴だと聞く。捕まれば何をされるか…
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
シュウ
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
魔の森を抜けると辺りは雪に覆い尽くされている平原へと抜けた。
ヴァウルス
スライブ王国では雪は滅多に降らない。
その雪景色に興奮して雪を踏んだり触ったりして遊んだ。
シュウ
ヴァウルス
我に帰って目の前を見てみると山々に囲まれたこの土地に大きな街がひとつ。
その上空には大きなドラゴンがぽつぽつと飛行している。
ヴァウルス
その上空を飛行していたドラゴンがこちらに気がついたようで、勢いよく飛んでくる。
ヴァウルス
私はノーブリスを抜き、警戒態勢に入る。
シュウ
シュウ
ヴァウルス
渋々剣を収め、ドラゴンが勢いよく雪を踏んで着地した。
ドラゴン
シュウ
ドラゴン
ヴァウルス
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
ドラゴン
ヴァウルス
シュウ
シュウ
ヴァウルス
シュウは素早い動きでそのドラゴンに触れた。
シュウ
ドラゴン
怒ったドラゴンはシュウの方へと向かう。
ヴァウルス
ノーブリスでそのドラゴンの首を斬る。
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
シュウ
シュウ
ヴァウルス
気づいた時にはもう後ろから腹を貫かれていた。
シュウ
熱い。
寒いはずなのに…
グラナート
シュウ
シュウ
グラナート
グラナート
シュウが突き刺したはずの槍はいつの間にか折られ、その竜は圧倒的な力でシュウを跪かせた。
ヴァウルス
シュウ
グラナート
グラナートはシュウの体に触れ、魔力を流れ込ませる。
シュウ
シュウは苦しみ出す。雪の上で自信に付けられた火を消そうとするように、のたうち回る。
グラナート
シュウ
シュウは彼女の脚を掴み、最後まで抗おうとする。
グラナート
グラナートはシュウを軽く蹴り、炎の刃でその腕を切断した。
シュウ
ヴァウルス
真っ白な雪の上に、赤い血が滲んでいく。
シュウ
シュウもとうとう力尽き、残されたのは私だけになってしまった。
私は間違った判断を下してしまった。
私には、力も勇気も何も無かった。
あの時シュウを止めていれば…
今更そんなことを考えても、無駄なのだろう。
グラナート
ヴァウルス
後悔ばかりが残った。
ヴァウルスのお母さん
ヴァウルスのお母さん
どう、なっているんだ。
私は確実に死んだはず、それなのに。
国王
それ…なのに…
ヴァウルス
どうして、戻ってきている?
シュウ
ヴァウルス
シュウ
もう一度、君に会えた。
シュウ…
きっとこれはプレジエル様からの慈悲なんだろう。
シュウは私の手に触れた。
シュウ
シュウ
ヴァウルス
シュウ
シュウ
シュウ
私は我慢できずにシュウを抱きしめた。
シュウ
ヴァウルス
今まで罪悪感を抱えながら生きてきた。
シュウが生きているだけで、私はもうそれでいい。
そう、思うようになった。
そして、絶対に守る。
何があっても…
シュウだけは…
シュウ
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
シュウ
シュウ
ヴァウルス
やっと贖罪が出来た気がした。
シュウには前より笑顔が増えた。
私もシュウが笑う度に幸せを感じた。
ヴァウルス
その頃にはもうシュウは自立して情報部のトップまで上り詰めた。
部下も増え、槍の使い方も知らないうちに覚えていた。
シュウ
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
いつでも不安が取り巻く。
少しでも私が見ていなければ彼はきっと気まぐれな猫のように離れて行くような気がして。
それから何年かが経ち、この世界の異常の正体を突き止めることも出来ず、第二世界の魔力濃度は日に日に上がって行った。
そして、冬の寒い日。
致死量の魔力濃度で世界の秩序は壊れ、強い魔物が続々と発生した。この世界に住む人間も魔力を手に入れ、魔物が見えるようになったが、それと同時に魔物の獲物に。
そして死んだ人間は魔物へと変化していった。
シュウ
魔力に影響を受けやすい種族のシュウは日に日に上がっていく魔力にやられ、吐き気と目眩に悩まされるようになっていった。
だが、無理をしてこの日まで私と共にこの世界を救おうとした。
シュウは地面に倒れ、辛そうに呼吸をする。
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
他のメンバーは支部にあったマナバッテリーを使い、避難させたが…
もうマナバッテリーの残りは無く、今からシュウを避難させることも出来ない。
シュウ
シュウの体が徐々に魔力に蝕まれていく。このまま放置しておけば、シュウは魔物になってしまうだろう。
体が魔力によって変えられていく痛みに耐えながら、シュウはか細い声で喋る。
シュウ
シュウ
ヴァウルス
シュウの手を強く握った。それに応えるように弱く握り返される。
ヴァウルス
シュウ
ヴァウルス
ヴァウルス
シュウ
呆れたように、シュウは笑った。
シュウ
シュウ
ヴァウルス
初めて、本当の意味でシュウと呼べたような気がした。
シュウ
ヴァウルス
シュウ
シュウ
シュウ
空を飛ぶ終末の黒いドラゴンの赤い瞳がこちらを見つめる。
唸り声をあげた黒竜の放った炎がこちらへ向かってくる。
ヴァウルス